著者
河野 哲也 福島 千鶴 松瀬 厚人 土田 朋子 尾長谷 靖
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

現代の食生活において、世界的な肥満の増加と健康意識の高まりから、カロリー摂取量を抑制する目的でゼロカロリーの人工甘味料が広く用いられている。一方で、カロリーを抑制するために用いているにも関わらず、人工甘味料摂取が逆に肥満や2型糖尿病のリスクを上げることが報告されており、その健康への影響が注目されている。本研究の喘息モデルマウスでは容量依存性にアスパルテーム投与でアレルギー性気道炎症の亢進を認めていた。今回の研究により、人工甘味料:アスパルテームは既存の気管支喘息のアレルギー性気道炎症を増悪させるだけでなく、それ自体が気道炎症惹起のリスクになると考えられた。
著者
原 敦子 深堀 範 中田 裕子 福島 千鶴 松瀬 厚人 河野 茂
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.574-577, 2006
被引用文献数
2

症例は21歳,男性.夕食摂取後に突然のくしゃみ,咳嗽,鼻閉を伴った呼吸困難が出現し,救急外来を受診したところ,低酸素血症,高炭酸ガス血症を認め,全肺野で笛声音を聴取し,顔面・前胸部・四肢に膨疹を認めた.夕食は市販の粉を使用して作ったお好み焼きであり,この粉は数カ月前に一度開封した後,室温で保存されていたものであった.皮膚プリックテストでは原因となったお好み焼き粉とハウスダストに対しては陽性であったが,開封直後の粉に対しては陰性であった.そのほか免疫学的精査の結果から,お好み焼き粉に混入したダニが原因のアナフィラキシー症例であったと考えられた.
著者
河野 哲也 松瀬 厚人 深堀 範 土田 朋子 福島 千鶴 河野 茂
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.866-867, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
8

緑茶喘息は浜松のShirai等により職業喘息の一つとして報告されており,そのメカニズムは緑茶カテキンに対するI型アレルギーであることが証明されている.今回我々は長崎県において緑茶製造業に携わっていた緑茶アレルギーを合併した緑茶喘息の一例を経験した.既報に則っての診断に至るまでの過程の報告に加え,抗ヒスタミン薬の前処置による抑制効果についても検討を行った.
著者
藤原 雄介 山本 弘史 福島 千鶴 小守 壽文 田中 義正
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.6, pp.327-331, 2015 (Released:2015-12-10)
参考文献数
1
被引用文献数
1

アカデミア創薬の環境はこの10年で大きく変わった.それでもアカデミアの創薬は大きな困難を伴う.最大の問題点は,製薬企業が評価を行うことができるまで創薬開発を進めていくことは,ひとつの研究室だけでは非常にハードルが高いことである.創薬のターゲット候補の発見,スクリーニングによる候補化合物の同定,最終的な薬物候補への最適化,臨床研究という創薬に必要な多くの過程をひとつの研究室で行うことは不可能に近い.もしもひとつの創薬シーズにおいて,多くの専門家,研究室が参加することができれば,アカデミアの創薬開発は大きく進むだろう.こういった状況の中で,長崎大学が創薬に対してどのようにオープン・イノベーションに取り組んでいくかを紹介する.