著者
佐野 肇 荻原 敦子 鈴木 恵子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

補聴器を安定装用している難聴者25人40耳の補聴器増幅特性の研究において、下記の結果を得た。1)適合十分耳は34耳(85%)であった。2)適合十分耳の65dBの語音入力時の実耳挿入利得は1000、2000HzではDSLv5のターゲットにほぼ一致していた。それ以外の周波数ではそれより小さかった。3)適合不十分耳では2000Hz、4000zhzにおける実耳挿入利得が適合十分耳と比較して有意に小さかった。4)65dBと80dBの語音入力での利得の変化からとらえたコンプレッションの程度はDSL法に近似していた。NAL-NL2と比べてよりリニアに近い結果であった。以上の結果は第34回国際聴覚学会(ケープタウン)、第185回日本耳鼻咽喉科学会神奈川地方部会(横浜)にて発表した。NAL-NL2とDSLv5の比較検討についてはほぼ予定通り研究を実施している。これまでに10例が研究に参加し、4例が終了、6例が進行中である。これまでのところ脱落例はなく、研究計画を変更する必要はないと思われる。
著者
原 敦子 深堀 範 中田 裕子 福島 千鶴 松瀬 厚人 河野 茂
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.574-577, 2006
被引用文献数
2

症例は21歳,男性.夕食摂取後に突然のくしゃみ,咳嗽,鼻閉を伴った呼吸困難が出現し,救急外来を受診したところ,低酸素血症,高炭酸ガス血症を認め,全肺野で笛声音を聴取し,顔面・前胸部・四肢に膨疹を認めた.夕食は市販の粉を使用して作ったお好み焼きであり,この粉は数カ月前に一度開封した後,室温で保存されていたものであった.皮膚プリックテストでは原因となったお好み焼き粉とハウスダストに対しては陽性であったが,開封直後の粉に対しては陰性であった.そのほか免疫学的精査の結果から,お好み焼き粉に混入したダニが原因のアナフィラキシー症例であったと考えられた.
著者
浮村 理 藤原 敦子
出版者
一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology and Robotics (ISSN:2436875X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.86-91, 2022 (Released:2022-05-02)
参考文献数
11

限局性前立腺癌の治療には癌制御と生活の質 (QOL) 維持の両立が望まれる. 近年, 限局性前立腺癌に対するFocal Therapyは, 低侵襲でQOLが維持でき, oncological outcomeも良好であることが報告されている. 癌病巣のみを治療の対象とする癌病巣標的化治療のmodalityとしての凍結療法とマイクロ波熱凝固療法について概説する. 本治療の成功に重要なポイントは, 適切な患者選択である. MRIで可視でき, かつ超音波でも確認可能な病変は確実な穿刺がしやすい. また, 機能温存と合併症回避のためには, 尿道括約筋や神経血管束から離れた腫瘍がよい適応である. 凍結療法では前立腺の背側に位置する (直腸に接する) 腫瘍も治療適応があるが, マイクロ波では直腸に近接する病変は, 直腸損傷のリスクがあり現状では適応外である.
著者
椿原 敦子
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.83-108, 2015-03-31

2009 年の第10 期イラン大統領選挙に端を発するイラン各地での抗議行動の様子は市民によって撮影され、インターネット上で配信された。ソーシャルメディアによる情報発信という社会運動の新しいあり方に国際的な注目が集まったイランでの抗議行動は、「緑の運動」と呼ばれる。この運動はイラン国内のみならず、国外在住のイラン人をも巻き込んでいった。例えば、ロサンゼルスの人々は次の形で関与を続けた。第一に、サイバースペースでの情報の中継や加工、第二に、衛星TV 放送によるイランの視聴者への働きかけ、そして第三にローカルな場での抗議集会の継続である。 これまでディアスポラ集団の社会運動を扱った研究は、故国の人々に及ぼす影響に主な焦点を当ててきた。これに対して本論で着目するのは、ディアスポラ集団のトランスナショナルな運動が特定の場において新しい文脈を与えられ、ローカル化される過程である。これによって、故国の社会運動を取り巻くグローバルなアクターという中心-周縁という構図を脱した両者の相互作用を捉えることを試みる。技術に媒介された言説空間で流通する「緑の運動」の情報は、複製・加工され、日常生活へと持ち込まれることでロサンゼルスのイラン人たちを「共感 = 代理の政治」へと動員した。デモの参加者たちの多くは、予め持っていた主張や要求の達成のために運動に関わるのではなく、むしろデモの場での連帯と対立の実践を通じて民主化などの抽象的概念を解釈し、運動への関与を続けたことが明らかになった。
著者
平舩 寛彦 高橋 宏彰 千葉 健史 菅原 敦子 木村 祐輔 工藤 賢三 若林 剛 高橋 勝雄
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.395-402, 2012 (Released:2012-10-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2

【目的】本研究では, がん患者の栄養状態とフェンタニル経皮吸収性との関連性について検討を行った. 【方法】栄養スクリーニングツールのMalnutrition Universal Screening Tool (MUST)およびNutritional Risk Screening 2002 (NRS2002)を用いてがん患者の栄養状態を危険度別に分類し, 各群のフェンタニル皮膚移行率(FE)を比較した. 【結果】対象患者24名のMUSTによる分類(低, 中, 高度群)では, 栄養危険度が高い患者ほどFEが低くなる傾向にあり, NRS2002による分類(低, 高リスク群)では, 高リスク群のFEは低リスク群に比べて有意に低かった. 【結論】栄養状態の変化は, FEに影響を及ぼす要因の1つとなることが示唆された. また, 栄養状態が低下している患者では, フェンタニル経皮吸収性が低下している可能性があると考えられた.
著者
藤原 敦子 木村 泰典 三神 一哉 内田 睦 建部 敦
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.607-610, 2002-10
被引用文献数
2

65歳女.肉眼的血尿で膀胱内腫瘍を指摘された.膀胱はコアグラタンポナーデの状態で,膀胱洗浄により血塊と共に悪臭の強い多量の壊死組織が排出された.膀胱鏡では左側壁から後壁を中心とする非乳頭状広基性腫瘍を認め,膀胱粘膜全体が表面不整であった.骨盤部造影CTで膀胱左側壁を中心とする8×6cmの腫瘍を認め,膀胱壁は全体に肥厚していた.1週間後の膀胱造影では左側壁からの造影剤漏出を認めた.膀胱癌T4N2M1と診断し,発熱が増悪するため膀胱全摘術及び両側尿管皮膚瘻造設術を施行した.摘出組織で表面を壊死組織で覆われた灰白色の腫瘍を認め,膀胱壁外に到達した部分に瘻孔が形成されていた.組織学的には表在性に位置する癌腫の部分と,優勢な肉腫様部分で構成され,両者の境界は明瞭であった.癌腫は扁平上皮に分化している細胞,肉腫様部分は未分化な紡錘形細胞で構成されていた.術後一時的に改善したが発熱が再燃し,2週後に敗血症で死亡したA 65-year-old woman was referred to our clinic with gross hematuria. Cystoscopy revealed a non-papillary and non-pedunculated tumor on the left lateral wall of the bladder. A piece of necrotic tissue obtained from the bladder irrigation was histologically squamous cell carcinoma. A perforation at the left lateral wall of the bladder was found on the cystogram. Bone scintigraphy showed multiple metastases and computed tomography scans showed multiple lymph node metastases in the pelvic cavity. The clinical diagnosis was bladder carcinoma of T4N2M1 stage with an abscess due to a spontaneous perforation. Total cystectomy with bilateral ureterocutaneostomy was performed. She died due to sepsis 13 days after the operation. Histologically, the tumor was composed of carcinomatous and sarcomatous elements. The carcinomatous element was compatible with squamous cell carcinoma and the sarcomatous element was composed of undifferentiated malignant spindle cells. Immunohistochemical examination showed that the carcinomatous component was positive for keratin and human chorionic gonadotropin (HCG) and the spindle cell component positive for vimentin, desmin and HCG. Therefore, we diagnosed the tumor as sarcomatoid carcinoma. We reviewed 56 cases of carcinosarcoma of the bladder in Japan and discussed the clinicopathology of the disease.
著者
最上 敏樹 吾郷 眞一 山形 英郎 酒井 啓亘 桐山 孝信 中川 淳司 中谷 和弘 児矢野 マリ 兼原 敦子 坂元 茂樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3年+1年にわたって研究会の開催や協議を通じ、この意欲的な分野の先鞭をつけてきた。とりわけ立憲主義の問題は、わが国ではこの共同研究がきっかけになって活性化したと言っても過言ではなく、わが国学界に最先端の論題を導入し、国際水準の議論ができる基盤を作ったと自負している。それと旧来の機能主義の理論枠組みをどう接合するかについても大きな展望が開けた。
著者
兼原 敦子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本と近隣諸国との間には、海洋境界画定紛争がある。島に対する領域主権の問題が関わるため、紛争は短期には解決されず、長期化する。日本は、とくに中国との間の大陸棚境界画定につき、中間線方式を主張しているが、その妥当性が文献、実践から明らかになった。また、日本の調査捕鯨船への妨害行為についての国際法上の対処についても検討した。