著者
木村 建貴 香西 直文 坂本 文徳 福谷 哲 池上 麻衣子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.III_375-III_382, 2020 (Released:2021-03-17)
参考文献数
20

粘土鉱物に吸着したセシウムの一部が微生物の作用により溶出することが明らかになってきている.一般的に植物は微生物と共生関係を築くが,粘土鉱物からのセシウム溶出に係る植物と微生物間における相乗効果は報告されていない.本研究では,植物由来の有機酸に着目し,まず植物(シロツメクサ)が生産する有機酸分析を行った.次に,シロツメクサ由来として同定された乳酸を用いて,微生物の培養実験を黒雲母存在下で行った.その結果,増殖の誘導期において黒雲母から溶出した鉄等の量が乳酸の添加により増大した.また,セシウムを吸着させた黒雲母からセシウムが溶出した.これは黒雲母が部分的に溶解したことに伴い吸着していたセシウムが溶出したと考えられる.また,溶出したセシウムは,増殖した微生物に吸収されたことが示唆される.
著者
米田 稔 瀬戸口 浩彰 原田 浩二 福谷 哲 高橋 知之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

福島第一原発事故で放射能汚染された地域の復興では、森林活動の復活が欠かせない。本研究では、実際に被災した村が考える森林を活用した復興のあり方を実現するための知識の普及、技術の確立、村有林等を対象としてモデル事業を実施した場合の有効性の検証を行う。その研究内容は大まかには以下に分類される。1.森林を活用した住民の生活時間パターンの把握とそのパターン毎の被曝量評価2.現地での天地返し法を主たる除染法とした線量削減効果の評価3.様々な健康リスクを考慮した森林活用健康生活モデルの提案4.村有林を対象としたパイロット除染事業の可能性検討と効果の予測これらの研究を実施し、帰還地域の復興加速化に貢献する。
著者
高橋 知之 福谷 哲 藤原 慶子 木野内 忠稔 服部 友紀 高橋 千太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

東京電力福島第一原子力発電所の事故では大量の放射性核種が環境中に放出された。このうちTe-127mの半減期は約109日と比較的長く、IAEAの報告書に記載された土壌ー農作物移行係数を用いて評価すると、特に福島第一原発から南方向では、放射性テルルの内部被ばくへの寄与が放射性セシウムに比べて無視できるレベルではない可能性があった。よって、安定テルルと安定セシウムを同時に添加した土壌を用いて植物栽培実験を行い、それぞれの移行係数を求めた。その結果、テルルの移行係数は既報値よりも低く、実際の放射性テルルの線量の寄与は既報値を用いた評価よりも十分に低くなる可能性があることが明らかとなった。