著者
秋月 有紀 岩田 三千子 奥田 紫乃 唐沢 宜典 塚田 敏美 土井 正 松本 泰幸 森下 昌治
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.59, 2008

防災対策推進地域の中でも特に津波被害予測が大きい高知県・徳島県・和歌山県・静岡県の地方自治体を視察し夜間対策の現状を調査した。どの地方自治体も、ソフト・ハードの両方若しくは片方について、災害時の住民避難における夜間対策に独自の工夫を凝らしているが、「法的規制がないため必須の整備項目にならず予算が獲得しにくい」「バッテリー交換など維持管理が難しい」「夜間の避難訓練は災害時の完全に停電した状態を設定しにくく、訓練時の安全確保も困難である」「国道の標識は設置高さ2.5m又は5mであるので避難者を対象とした誘導標識の設置場所になりにくく、管轄が異なるので容易に設置できない」「電柱への誘導標識の取付位置は道交法の関係で路面から2m以上となっており、光量が少ない器具の場合は目立ちにくく効果が期待できない」といった問題点や課題も多く、その結果、夜間対策の実態は自治体により大きく異なっている。住民避難のための夜間対策のモデルケースを委員会としてできるだけ早急に提案する必要があると思われる。
著者
秋月 有紀
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2005

首都圏および大阪都市圏で建設件数が急増している地下大規模空間に対する火災安全設計手法の開発が急がれている。そこで京都大学防災研究所田中哮義教授と共同研究を行い、昨年実験で収集したデータに基づき、火災時に発生する視環境の低下(停電や火災煙による視野輝度の減衰)を避難者の視力に換算し、取扱が容易な指数関数を用いて避難者の歩行速度および避難時心理状態を予測するモデル式を構築した。この成果はアジアオセアニア国際火災会議で報告し、平成20年度に国際火災学会(査読付論文)として対外報告することが決定した。さらにトンネルを模した実大実験空間において燃焼実験を行い、燃焼に伴う空間内温度・風速分布の測定に合わせて視野輝度分布の経時変化を測定した。トンネル内の温度分布実測値は、既存の二層ゾーンモデルを発展させた多層ゾーンモデルの予測値とよく対応したが、視野輝度分布は取扱が容易な二層ゾーンモデルで十分説明できることを確認した。関西大学原直也准教授および前出田中教授との共同研究において、閉空間の床面照度簡易予測モデルを構築し、実在する地下街駐車場での車両火災を例にシミュレーションを行った結果を、国際照明学会で報告した。また避難誘導灯や非常口サインなどの避難誘導ツールの実態把握を行うにあたり、前出田中教授・摂南大学岩田三千子教授・同志社女子大学奥田紫乃講師と共同研究を行い、効率的なサイン設置状況の把握方法について調査データに基づき検討し、成果を平成20年度建築学会(査読付論文)および国際色彩学会で報告する予定である。さらに照明学会屋外防災照明調査研究委員会の委員として東南海地震対策に熱心に取り組んでいる和歌山県・静岡県の夜間屋外照明の災害時対応について行政ヒアリングを行い、前年度に調査した四国の結果と合わせて年度末に開催されたシンポジウムで地方自治体の夜間避難対策の現状について報告した。