著者
竹中 修 相見 満 竹中 修
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究は各地の博物館に保存されている骨格標本や毛皮標本を形態学的に詳細に検討比較すると共に、皮革標本の一部の供与を受けDNAを抽出しミトコンドリアの一部の塩基配列を決定比較することを目的とした。まず、ライデン博物館に保管されているヤマイヌの毛皮標本と形態試料を入手することが出来た。ニホンオオカミについても大英博物館、北海道大学農学部附属博物館、和歌山大学教育学部、国立科学博物館のものを入手し、さらに石川県立七尾高校と愛媛県立博物館にも標本のあることが新たに判明した。後二者の資料は今回初めて明らかになったもので資料収集の面では当初予期した以上の成果を上げることが出来た。現在までに収集した資料はニホンオオカミ、エゾオオカミ、タイリクオオカミ、イヌの資料は、毛皮試料がそれぞれ、3点、3点、2点、1点で、計測資料それぞれ、10点、2点、16点、10点にのぼった。計測資料を多変量解析法の一種である正準相関分析法により検討したところ、タイリクオオカミとエゾオオカミがよく似ていること、イヌがそれらの近くに位置し、ニホンオオカミが離れたところに位置することが分かった。さらにヤマイヌとされているライデン博物館の3点の標本の内、b標本を除くaとc標本がニホンオオカミではなく、イヌではないかとの疑いが出てきた。毛皮を出発試料としたPCR法によりミトコンドリアのチトクロームb遺伝子を増幅し、直接塩基配列を決定することを試みた。最初約360塩基対の増幅では一試料を除き増幅できなかった。タンパク質のアミノ基が求核試薬として還元糖のカルボニル基を攻撃してシッフ塩基を経由してアマドリ転移生成物にいたるメイラード反応が試料の保存中に起こっている可能性があるが、DNAがさらに断片化している可能性も考えられるので、PCR法のプライマーを合成し直して現在増幅を試みている。
著者
竹中 修
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-24, 1986 (Released:2009-09-07)
参考文献数
5
著者
菅原 博好 竹中 修 金子 秀昭
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.812-816, 1998-08-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2
著者
井上 英治 竹中 修
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.831, 2004 (Released:2004-07-30)

ニホンザル餌付け集団において、父性解析と交尾行動の観察を行ない、どのようなオスが子供を残していたのかを明らかにした。ニホンザルは、母系の集団であり、オスは性成熟に達すると、群れを移籍し、その後も数年経つとまた他の群れに移籍するとういう生活史を持つ。また、明確な交尾期があり、秋_から_冬に交尾を行ない、春_から_夏にかけ出産をする。これまで、ニホンザルの性行動について、オスの交尾成功は順位で決まるものではなく、メスの選択が影響していて、メスにとって新しいオスを好む傾向があることが示されてきた。また、DNAを用いた父性解析を行なった研究でも、オスの順位と子供の数は相関せず、メスの選択が影響することが示されている。しかし、どのような特徴のオスが子供を残しているのかについては分かっていない。そこで、本研究では、嵐山E群という個体の詳細な情報がわかっている群れを対象にして、交尾期の行動観察と引き続く出産期に生まれた子供の父親を決定した。父性解析は、サルの毛からDNAを抽出し、11座位のマイクロサテライト遺伝子の遺伝子型を決定した。そして、子供と遺伝子を共有していないオスを排斥し、残ったオスを父親と決定した。父性解析の結果、嵐山E群では、群れの中心にいるオトナオス(中心オス)は子供をほとんど残していないことが明らかになった。周辺にいるオトナオス(周辺オス)や、群れ外オスが子供を多く残していた。また、中心オスは、交尾が少ないわけではなく、個体追跡を行なったオスについて、交尾頻度と子供の数に相関は見られなかった。子供を産んだメスの交尾行動を分析すると、受胎推定日から離れている時には、高順位のオスとの交尾が多いが、受胎推定日の近くになると周辺オスとの交尾が増えることが示された。嵐山の中心オスは、在籍年数が長く、子供を産んだ母親の父親である可能性があるためにメスに避けられていたと考えられる。
著者
井上 英治 竹中 修
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.831, 2004

ニホンザル餌付け集団において、父性解析と交尾行動の観察を行ない、どのようなオスが子供を残していたのかを明らかにした。ニホンザルは、母系の集団であり、オスは性成熟に達すると、群れを移籍し、その後も数年経つとまた他の群れに移籍するとういう生活史を持つ。また、明確な交尾期があり、秋_から_冬に交尾を行ない、春_から_夏にかけ出産をする。<br>これまで、ニホンザルの性行動について、オスの交尾成功は順位で決まるものではなく、メスの選択が影響していて、メスにとって新しいオスを好む傾向があることが示されてきた。また、DNAを用いた父性解析を行なった研究でも、オスの順位と子供の数は相関せず、メスの選択が影響することが示されている。しかし、どのような特徴のオスが子供を残しているのかについては分かっていない。そこで、本研究では、嵐山E群という個体の詳細な情報がわかっている群れを対象にして、交尾期の行動観察と引き続く出産期に生まれた子供の父親を決定した。<br>父性解析は、サルの毛からDNAを抽出し、11座位のマイクロサテライト遺伝子の遺伝子型を決定した。そして、子供と遺伝子を共有していないオスを排斥し、残ったオスを父親と決定した。<br>父性解析の結果、嵐山E群では、群れの中心にいるオトナオス(中心オス)は子供をほとんど残していないことが明らかになった。周辺にいるオトナオス(周辺オス)や、群れ外オスが子供を多く残していた。また、中心オスは、交尾が少ないわけではなく、個体追跡を行なったオスについて、交尾頻度と子供の数に相関は見られなかった。子供を産んだメスの交尾行動を分析すると、受胎推定日から離れている時には、高順位のオスとの交尾が多いが、受胎推定日の近くになると周辺オスとの交尾が増えることが示された。<br>嵐山の中心オスは、在籍年数が長く、子供を産んだ母親の父親である可能性があるためにメスに避けられていたと考えられる。<br>
著者
斎藤 典男 更科 広実 布村 正夫 幸田 圭史 滝口 伸浩 佐野 隆久 竹中 修 早田 浩明 寺戸 孝之 尾崎 和義 近藤 英介 知久 毅 若月 一雄 鈴木 弘文 安富 淳 小林 信義 菅谷 芳樹 吉村 光太郎 石川 文彦 中島 伸之
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.381-388, 1995 (Released:2009-06-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

初発および再発直腸癌に対する骨盤内臓器全摘術(TPE)の適応と予後について検討した.対象は最近の13年間に施工した初発TPE22例と局所再発TPE14例の計36例である,36例中15例(初発6,再発9)に術前照射(30~40Gy)を行った.再発TPEでは初発例に比べ手術侵襲(手術時間,出血量)が大きく術後合併症の頻度も高く,術前照射群で同様の傾向を示した.5年生存率は初発TPE例で55.2%を示し,n0~n1群は良好であった.再発TPEの5年生存率は48.6%であるが,無再発5年生存率は31.1%と低値を示した.再発TPEでの長期生存例は,術前照射群に認められた.再発および再々発型式は,血行性転移が主であった.初発例のTPEは安全であり,遠隔転移の有無に関係なく局所制御の意味で従来の適応を拡大してよいと考えられた.再発例に対するTPEでは,厳重な症例選択により,生命予後の延長と良好なQOLの得られる症例も認められた.