著者
中村 伸一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.320-325, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
2

夫婦の不和にさらされた子どもたちにどのような心身の悪影響が生じるかについてDSM-5の 「両親の不和に影響されている児童」 の診断に沿って述べた. さらにそれを実証的に示したウェイ・ユン・リーらの研究を紹介した.
著者
中村 伸一
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.38-48, 2017-04-30 (Released:2018-06-18)
参考文献数
2

家族療法家である著者が,家族をどのようにとらえているかを述べ,家族療法の発生の歴史と基本的な特徴を紹介した.さらに適応疾患や問題行動を列挙した.さらに代表的な3つのモデルであるシステム論に基づいたコミュニケーションモデル,家族構造を把握し変化させる家族構造モデル,ジェノグラムを用いて家族の歴史を紐解くことで治療を行う多世代家族療法モデルについて実例をまじえながら述べた.
著者
光永 総子 中村 伸
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第22回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.38, 2006 (Released:2007-02-14)

【目的】 マカクザルを自然宿主とするサルBウイルス(BV、バイオセーフティレベル4、アルファ-ヘルペスウイルス)は、ヒトに感染すると高致死率の中枢神経系障害を引き起こす。国内ではニホンザルを利用した基礎・応用研究が展開されているが、そうした研究にはBVフリーニホンザルが求められている。BV関連研究の一環として、今回ニホンザル野外群におけるBV自然感染について、抗BV抗体を指標にした網羅的検査を実施した。【方法】 各地野猿公苑や餌付け群(11群)、さらに参考として京大・霊長類研放飼場群(3群)のニホンザル成体より血漿/血清サンプルを採取した。Herpesvirus papio2(HVP2)を代替抗原とする改良HVP2-ELISA法(Comparative Medicine, in press)を用い、血漿/血清サンプル中の抗BV-IgGを測定した。比較のためにヒトサイトメガロウイルス(CMV、ベータ-ヘルペスウイルス)抗原を捕捉抗原とするELISA法をサル用に改良し、同じサンプル中の抗CMV-IgGを測定した。【結果および考察】 成体における抗BV抗体陽性率はニホンザルの群によって大きな相違が見られた。放飼場群の抗BV抗体陽性率は80%以上であったが、野外群では80%に達しない群があった。大変興味深い結果として、抗BV抗体が全く認められない野外群が4群あった。これに対し、抗CMV抗体はほぼ全個体に認められた。 これらの結果より、自然状態でBV感染していないニホンザル野生・餌付け群の存在が見出され、これらはBVフリーニホンザルのリソースとして注目される。 なお、人で抗体産生のない単純ヘルペスウイルス感染が報告されていることから、抗BV抗体が認められなかったニホンザル群で、感染はしているが抗体産生がないという可能性も有り得るであろう。
著者
中村 伸枝 水野 芳子 奥 朋子 瀬尾 智美 眞嶋 朋子 仲井 あや
出版者
文化看護学会
雑誌
文化看護学会誌 (ISSN:18838774)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1_11-1_20, 2022-05-31 (Released:2023-06-06)
参考文献数
16

本研究の目的は,専門看護師として10年以上活動している専門看護師の認定後5年目までの活動の広がりおよび自己教育を明らかにし,文化の視点から考察することである。専門看護師として認定され10年以上活動している7専門看護分野の専門看護師15名に,半構造化面接を実施し,質的帰納的分析を行った。その結果,専門看護師の認定後5年目までの活動として,「所属部署における直接ケアを中心とした活動」,「施設内での横断的活動の確保と定着」,「施設内での専門看護師としての活動」,「施設外に向けた専門看護師としての活動と発信」が得られた。また,専門看護師の自己教育として,「高度実践に向けた事例分析とエビデンスの更新」,「事例検討会や学会活動等を通した高度実践の内省と研鑽」,「サブスペシャリティ強化に向けたスキルの獲得」,「国内外の研修を通した多職種との交流」が得られた。認定後5年目までの専門看護師の活動は,自己教育に支えられた対象者への質の高い看護実践が基盤となり,看護職の文化,組織文化のなかで受入れられていた。専門看護師の活動は,専門看護師の理論やエビデンスに基づいた意図的な働きかけ,質の高い看護の看護スタッフへの浸透,看護管理者のサポートによる職位や立場の変化,多職種への専門看護師の認知などが合わさり,拡大していた。
著者
中村 伸
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.101-104, 2000-07-31 (Released:2009-08-04)
参考文献数
16

スギ花粉症などの即時型アレルギー反応は,抗原(スギ花粉症では,スギ花粉中に含まれる塩基性蛋白質のCryj.IならびにCryj.IIが抗原となる)に対する特異的IgE抗体の産生が原因となる免疫異常で,近年こうしたアレルギー疾患が急増し,全人口の約20%が何らかのアレルギー症に悩まされている.アレルギー疾患は,欧米や日本等の"先進国"で多い事から"文明病"的位置づけにあるが,野生動物のサル類でもスギ花粉症が見られる.我々は準野性状態で飼育されているニホンザルの中に,ヒトと同様なスギ花粉症を見い出し,それを契機にサルモデル系でのIgE産生応答やアレルギー反応に関する研究を進めている.その過程で,ヒトの場合,過去数十年間の衛生環境の変化(原虫や寄生虫感染の低下など)が細胞性免疫応答(Th1)/液性免疫応答(Th2)のインバランス(Th2亢進)を惹起し,抗原特異的IgE抗体の産生亢進→花粉症・アレルギー疾患の増大要因となっていることを明らかにした.
著者
伊井 義人 中村 伸次 岩崎 遥 西川 絵梨 足立 瞳 深澤 麻依 外川 茜
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.77-90, 2013-03-31

本論では、今年度で二年目を終えた藤女子大学の学生による石狩市立厚田中学校での学習支援(スクール・アシスタント・ティチャー:SAT)事業の現状と課題、そして将来的な展望を報告する。厚田中学校は、藤女子大学花川校舎から車で50分ほどの海岸部に位置する全校生徒22名の小規模校である。そこで主に教職課程を履修している大学生が、中学校教員や保護者と協力しつつ、数学や家庭科などの授業、学校行事の面で、生徒と触れ合い、多様な学習支援を行なっている。本論は、大学・中学校側のSAT担当教員だけではなく、実際に学習支援に参加した学生の視点から、今年度を振り返り、来年への展望を述べている。現状分析としては、1. 学校行事(学校祭・餅つき大会・卒業式)への参加、2. 地域との関わり(ピザ教室)、3. 学生主体の連絡調整が促進されたことが、今年度の成果といえる。その一方で、依然として、遠隔地域での学習支援という特色上、1. 厚田への交通手段、それに伴う2. 学生の時間の確保が課題として残った。しかし、来年度(2013年)は、厚田中学校での学習支援を経験し三年目の学生も4年生として在籍するため、SAT事業の継続性・発展性を視野に入れた、彼女たちの集大成に期待したい。なお、今年度のSAT事業は、石狩市教育委員会の予算と共に、藤女子大学QOL研究所からの補助金を通して、運営された。
著者
武田 淳子 兼松 百合子 古谷 佳由理 丸 光恵 中村 伸枝 内田 雅代 Takeda Junko Kanematsu Yuriko Furuya Kayuri Maru Mitsue Nakamura Nobue Uchida Masayo タケダ ジュンコ カネマツ ユリコ フルヤ カユリ マル ミツエ ナカムラ ノブエ ウチダ マサヨ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.64-72, 1997-06-30
被引用文献数
2

外来通院を続けている慢性疾患患児(糖尿病,悪性腫瘍,腎疾患,心疾患,気管支喘息,てんかんの6疾患)で,普通校に在籍する小学4年生から高校3年生を対象として,学校生活や療養行動を含む日常生活の実際と気持ちを知り,さらに疾患による特徴を知ることを目的として質問紙調査を行った。6疾患あわせて220名からの回答を得,分析した結果,以下のことが明らかになった。1.慢性疾患患児は,日常生活において清潔習慣の実施率が高く,その他疾患管理に必要な日常生活行動の実施率が高かった。2.学校生活において,悪性腫瘍患児や腎疾患患児は欠席日数が多く,体育の授業や行事への参加度が低いなど友人と同じ経験をすることが困難であった。3.学校生活において患児の病気のことを知っている人・理解してくれる人としては,担任に次いで養護教諭,親友が多く挙げられていたが,てんかん患児ではいずれも少なかった。4.療養行動4項目(食事,運動,検査,注射・内服(吸入))については,身体のために必要と考える患児が多く,実施度も比較的高かったが,食事,運動共に制限の強い腎疾患患児では,友人との違いや否定的な気持ちを表現する患児が多かった。5.てんかん患児は,病名を知らされていないことが多いために療養行動の必要性が理解できず,自立した行動がとれていない場合が多かった。6.学齢期にある慢性疾患患児の社会生活への適応を促進するために,学校生活への参加状況を把握するとともに患児の気持ちを重視した看護援助の必要性が示唆された。The purpose of this descriptive study was to inductively develop a substantive theory of menopausal experience in mid-life women using grounded theory methodology. A purposive sample of 33 women, ranging from 45-72 years of age, visited OB/GY clinic, for hormone replacement therapy, were asked regarding their menopausal experience. Data sources included semistructured interview and field notes. Through the constant comparison method for analysis, "rebuilding self-concept" was identified as a major substantive category. It means that women become aware of their own physical and emotional changes and then reconsider and rebuild self-concept. Next, six subsequent categories were explicated: 1. uncertainty of self-concept; 2. disturbance of self-concept (i. e. women are very disturbed by their own attitude and situation); 3. realization of disturbed self-concept (i.e. women realized disturbed self-concept because they are in menopausal phase); 4. expectation of self-concept (i.e. women have a view of their own feature); 5. waver between rebuilding self-concept and barriers (i. e. women carry out one of three empirical decision behaviors of using hormone replacement therapy) and 6. realization of rebuilt self-concept (i. e. women realize the rebuilt self-concept). It is my opinion that the menopausal experience in mid-life women is a process of doing the health promoting behavior which described rebuilding self-concept.
著者
大鳥 精司 中村 伸一郎 高橋 弦 鮫田 寛明 村田 泰章 花岡 英二 守屋 秀繁 高橋 和久
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.55-60, 2006
被引用文献数
1

われわれはラットL5/6椎間板を支配する神経がL2後根神経節に入ることを示してきた. 今回, ヒト腰椎椎間板性腰痛に対し, L2ルートブロックの効果について検討した. 1995年 : 症例はL4/5, L5/S1の椎間板性腰痛を呈する33例であった. 全例, L2ルートブロック (1%リドカイン1.5m<i>l</i> ) を行った. 2000年 : 症例はL4/5, L5/S1の椎間板性腰痛を呈する68例であった. ランダムにL2ルートブロックとL4またはL5ルートブロックを行った. 結果, 1995年 : 注射前のVASは5.0に対し15分後のVASは0.8と有意差を認めた. 効果時間は平均20.7日であった. 2000年 : L2ルートブロック前VASは8.0に対し15分後VASは4.3, L4またはL5ルートブロック前VASは7.8に対し15分後VASは3.4と両ブロックともに同様に有意差を認めた. L4またはL5ルートブロックの効果期間は平均8日であるのに対しL2ルートブロックの効果時間は平均13日であり有意にL2ルートブロックの効果時間が長かった. 椎間板性疼痛に対するL2ルートブロックは有効であることが示された. L4またはL5ルートブロックも短期的には有効であるが, (1) 麻酔薬が直接椎間板に効いてしまっている, (2) 椎間板支配の神経が同高位の後根神経根に支配されている可能性が示唆された.
著者
横田 明 峰澤 満 中村 伸 金井塚 務 後藤 俊二 馬場 駿吉
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.112-118, 1987 (Released:2009-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
13 11

Pollenosis is a IgE-mediated allergic disease which has the symptoms of snivel, sneezing, eye mucus, and/or tear resulting from mucous membrane inflammation of nostrils and/or eye. In Japan, Japanese cedar (Cryptomeria japonica) pollenosis is a typical one occurring in spring, and recently the number of its patients is remarkably increasing.We found the pollenosis in adult-female Japanese monkeys (Macaca fuscata) inhabiting Miyajima Island under free-ranging conditions, who are derived from different female lineages one another. Their sera contained higher level of specific IgE antibody against Japanese cedar pollen than those of normal monkeys. The sera also induced a skin allergic reaction to the pollen upon Prausnitz-Kustner Test using normal healthy monkeys as a recipient. Thus, the current paper is the first report concerning naturally occurring pollenosis in wild non-human primates.
著者
中村 伸也 山田 勝己 加藤 克己 富田 明夫 丹羽 滋郎 三井 忠夫 小池 明彦 成瀬 隆吉 恒川 晋
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.185-189, 1994

2° HPTを有する透析患者7名にPTXを施行し, DEXA法を用いて, 腰椎 (L<sub>2</sub>-L<sub>4</sub>), 大腿骨近位端 (頸部, 大転子部, 転子間部, ワードの三角) および橈骨 (橈骨遠位端より1/3近位端) のBMDを測定し, 測定部位の骨組成やMD法の結果を考慮に入れながら, PTX後のBMDの経時的な変動と部位による改善状態の相異に検討を加えた. L<sub>2-4</sub>平均BMDは術前BMDに対して3か月後8.4%の増加 (p<0.05), 6か月後10.9%上昇した (p<0.01). 大腿骨近位端右側では3か月後各部位とも有意な上昇はなく, 6か月後頸部以外の部位で上昇を認めた (p<0.05). 左側では3か月後ワードの三角で16.7% (p<0.01), 転子間部で9.1%と上昇した (p<0.05). 6か月後頸部で18.1%の上昇をみた (p<0.01) が, 他の部位では増加幅の鈍化傾向を認めた. 一方橈骨では術後の改善はみられなかった. MD法の主たる指標はPTX前後で変動がなかったが, 中節骨, 末節骨における骨膜下吸収像は不確実なものを含めると6例で認められ, 1例で改善, 4例で改善傾向を認めた. BMDの有意な改善は腰椎で, 次に大腿骨近位端で明らかであった. また大腿骨では左右間で, また測定部位により改善率が異なっていた. これらの理由として測定各部位に占める海面骨と皮質骨の構成比率などのほか加齢, VD<sub>3</sub>, PTHの同化作用などが関与するものと想定された.
著者
内田 冴子 江藤 はるか 内川 義和 岡野 真弓 中村 伸江 澤田 惇
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.255-256, 2001
参考文献数
3

21世紀の医療は患者中心の医療といわれている。九州保健福祉大学 保健科学部 視機能療法学科が目指す視能訓練士は、視能訓練士法に基づいた国家資格を有するコ・メディカルであり、当然時代のニーズである患者中心の医療に対応できる教育を行わなければならない。このためのコンテンツは科学(専門知識)を自らの責任下に置く学習、相手の痛みをわかり、人(患者)を思いやる人間性の育成、インフォームド・コンセントに必要な感性と表現の研磨である。これらの背景に加え、本学建学の理念である「学生一人ひとりのもてる能力を最大限に引き出し引き伸ばす」を基盤に、KJ 法による独創的問題解決法を試みた。本稿ではその手法と結果などを報告する。