著者
橋本 洋佑 近藤 昌夫 竹田 浩之
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.374-384, 2019-11-25 (Released:2020-02-25)
参考文献数
42

血液脳関門が有する強固な密着結合は、中枢神経系疾患の薬物療法の発達を妨げている要因の1つである。血液脳関門で形成されるバリアのうち、特に1kDa以下の分子の脳内への流入を制限する密着結合の形成にはclaudin-5(CLDN-5)が必須であり、CLDN-5のバリア機能の阻害による血液脳関門突破法の開発が期待されている。当研究グループは近年このCLDN-5の機能を阻害することが可能な抗体の開発に成功し、この抗体によるバリア制御技術について報告してきた。本稿では、筆者らが抗CLDN-5抗体を取得するためにとったアプローチと取得した抗体のCLDN-5阻害活性、また密着結合制御技術の中枢神経系疾患治療への応用の可能性について紹介する。
著者
吉川 拓夫 竹田 浩之 劉 希珍 周 薇 中川 直樹 李 一勤 桜井 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.273, 2003

花粉管伸長は有性生殖に関わる非常に特殊な伸長で、先端成長と呼ばれ、他には高等植物の根毛やカビの菌糸など一部の組織でしかみられない。我々はテッポウユリの花粉管の細胞壁に結合している2つのエキソ型のグルカナーゼを発見し、それぞれ、LP-ExoI(83kDa)とLP-ExoII(71kDa)と名づけた(Kotake et al. 2000)。これら2つのグルカナーゼは花粉管伸長に伴って活性が高くなり、ラミナリン(1,3-β-グルカン)、セロオリゴ糖、イネ科の1,3;1,4-β-グルカンを加水分解することから、その基質は花粉管に含まれるカロースやセルロースと考えられた。しかし、今回、花粉管細胞壁のヘミセルロース性多糖類を枯草菌のグルカナーゼにより加水分解し、その断片を調べたところ、花粉管のヘミセルロースにはイネ科に特有の1,3;1,4-β-グルカンが存在する可能性が示された。また、花粉管の通り道である柱頭と花柱のヘミセルロースをメチル化分析で調べたところ、1,3-1,4-β-グルカンやカロースの存在は確認されず、主成分はグルコマンナンであった。これらの結果より、LP-ExoIとIIの基質はセルロースやカロースだけでなく、1,3-1,4-β-グルカンである可能性と、柱頭と花柱には基質となるカロースや1,3-1,4-β-グルカンが存在しないことがわかった。