著者
桜井 直樹 岩谷 真一郎 寺崎 章二 山本 良一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.31-35, 2005 (Released:2005-11-11)
参考文献数
13
被引用文献数
27 34

キュウリ3品種の肉質 (シャキシャキ感) を音響的に測定した. ガラスシリンジのピストンと先端を尖らせたプローブの間にピエゾ圧電素子をはさみ, シリンジに水をポンプで送り込みながら, プローブを毎分35 mmの速度でキュウリに挿入し, プローブが受信した音響的振動をピエゾ素子で直接検出し10000 Hzまでの信号を測定した. 振動信号は高速フーリエ変換し, 振動強度の周波数スペクトルを得た. 1~6 kHzの間の振動強度に, 品種間, 部位別の違いがもっともよく現れた. そこで, 高周波成分の振動強度を強調し, 全ての周波数成分を積分した値を計算し, シャキシャキ感を示す新しい指標“シャープネス”を提案した. シャキシャキ感を示す“シャープネス”が農産物の食感をどれくらい定量的に評価できるかについて議論した.
著者
吉川 拓夫 竹田 浩之 劉 希珍 周 薇 中川 直樹 李 一勤 桜井 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.273, 2003

花粉管伸長は有性生殖に関わる非常に特殊な伸長で、先端成長と呼ばれ、他には高等植物の根毛やカビの菌糸など一部の組織でしかみられない。我々はテッポウユリの花粉管の細胞壁に結合している2つのエキソ型のグルカナーゼを発見し、それぞれ、LP-ExoI(83kDa)とLP-ExoII(71kDa)と名づけた(Kotake et al. 2000)。これら2つのグルカナーゼは花粉管伸長に伴って活性が高くなり、ラミナリン(1,3-β-グルカン)、セロオリゴ糖、イネ科の1,3;1,4-β-グルカンを加水分解することから、その基質は花粉管に含まれるカロースやセルロースと考えられた。しかし、今回、花粉管細胞壁のヘミセルロース性多糖類を枯草菌のグルカナーゼにより加水分解し、その断片を調べたところ、花粉管のヘミセルロースにはイネ科に特有の1,3;1,4-β-グルカンが存在する可能性が示された。また、花粉管の通り道である柱頭と花柱のヘミセルロースをメチル化分析で調べたところ、1,3-1,4-β-グルカンやカロースの存在は確認されず、主成分はグルコマンナンであった。これらの結果より、LP-ExoIとIIの基質はセルロースやカロースだけでなく、1,3-1,4-β-グルカンである可能性と、柱頭と花柱には基質となるカロースや1,3-1,4-β-グルカンが存在しないことがわかった。
著者
谷脇 満 花田 貴紀 桜井 直樹
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.410-414, 2006-09-15
被引用文献数
2

野菜などの生鮮食品の食感を数値化する方法を開発した.この方法はナイフ形プローブを食品サンプルに突き刺した際の食感信号を,圧電センサーを用いた装置で測定するものである.この際,単位時間当たりに含まれる食感信号の振幅を積算した振幅密度を計算し,これを食感指標として定義した.得られた食感信号を周波数領域で解析するためにオクターブマルチフィルタを使用し,0Hzから6400Hzまでの範囲で解析した.また,食感信号に含まれている周期的なノイズを取り除く技術も開発した.これはプローブが動き始める前のノイズのデータを,食感信号とノイズが混在している生データから差し引くことによって周期ノイズを取り除くものである.以上の方法を根深ネギに適用し,その食感の特徴を明らかにした.さらに,低周波領域(0-50Hz)の食感信号を解析することによって,根深ネギの葉鞘構造を確認することが可能であった.
著者
谷脇 満 花田 貴紀 桜井 直樹
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.410-414, 2006
被引用文献数
26

野菜などの生鮮食品の食感を数値化する方法を開発した.この方法はナイフ形プローブを食品サンプルに突き刺した際の食感信号を,圧電センサーを用いた装置で測定するものである.この際,単位時間当たりに含まれる食感信号の振幅を積算した振幅密度を計算し,これを食感指標として定義した.得られた食感信号を周波数領域で解析するためにオクターブマルチフィルタを使用し,0 Hz から6400 Hz までの範囲で解析した.また,食感信号に含まれている周期的なノイズを取り除く技術も開発した.これはプローブが動き始める前のノイズのデータを,食感信号とノイズが混在している生データから差し引くことによって周期ノイズを取り除くものである.以上の方法を根深ネギに適用し,その食感の特徴を明らかにした.さらに,低周波領域 (0–50 Hz) の食感信号を解析することによって,根深ネギの葉鞘構造を確認することが可能であった.<br>
著者
唐川 大 桜井 直樹 鳥居 秀嗣
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.614-617, 2006-06
被引用文献数
4
著者
桜井 直樹 元村 佳恵 寺崎 章二 村山 秀樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

振動法の基本である第2共鳴周波数の振動モードが分かり、弾性値と粘性値を計算する理論的背景が証明された。つぎに、レーザードップラー(LDV)の手法で、果実の軟化を弾性値と粘性値から評価するプログラムを作成し、計測の自動化が実現できた。この結果、0.1秒で1個の個体を計測する高速化に取り組むことが可能となった。細胞壁多糖類の分析結果から、果実が軟化するとき果実細胞壁のペクチンの分解が粘性の低下を、キシログルカンの分解が弾性の低下を引き起こしていることが推察された。リンゴ6品種を用い、従来の破壊法とLDV法を比較し、4品種については極めて高い相関があることが分かった。また、臭化メチル処理で内部褐変が起こると、LDVでその欠陥を検出できることが分かった。セイヨウナシは収穫直後から追熟させると、キウイと同じように2段階の軟化を示すことが分かった。セイヨウナシは低温保存すると、最終的には1段階の弾性低下を示すようになる、2週間低温保存した場合最も評価の高い肉質(メルティング)になるが、LDVではその変化を捉えることができなかった。そのため、新しい物理的測定法(AMC法、Acoustic Measurement of Crispness)を考案した(特許出願)。プローブを果肉に貫入させそのときに生じる振動を検出し、フーリエ変換した。AMC法でいわゆるシャキシャキ感を数値化できることが分かった(特許出願)。この手法で、セイヨウナシ、メロンなどの肉質のトロミ感を数値にできることが分かった。次に数値化したAMCのパラメータとLDVの振動スペクトルの対応を、主成分分析及び重回帰で行った。その結果、LDVで得たスペクトルデータから、AMCで得られるシャキシャキ感が推測できることが分かり、LDV法が単に果実の弾性・粘性だけでなく、果実の肉質の精妙な変化も検出できることが分かった。
著者
竹内 聡史 河野 正司 小林 博 桜井 直樹 細貝 暁子 金城 篤史 甲斐 朝子
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.473-481, 2008-10-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

目的 : 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が, 座位において観察できるのか, また立位と座位でどのような差を示すか追求することを目的とした.方法 : 被験者は顎口腔系に異常を認めない男性6名 (25-29歳, 平均年齢27.0歳) で, 姿勢は立位, 座位の2種類として, 10秒間の咬頭嵌合位保持, 3Hzの20秒間タッピング, その後10秒間咬頭嵌合位保持を1測定単位として測定を行った. 下顎運動はTRIMETII (東京歯材社製) により上顎座標系にて下顎切歯点を, 頭部は大地座標系で上顎切歯点, 下顎頭点, 頭頂点, 後頭点を, また体幹動揺はProreflex (Qualisys社製) により大地座標系で胸骨点の矢状面内運動を分析した.結果 : 座位において, 下顎タッピング運動に随伴する体幹動揺が認められた. 開口量に対する体幹動揺量を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. また体幹動揺の周波数分析におけるパワーの平均値を立位と座位でWilcoxonの符号付検定をしたところ, 有意に立位の方が大きくなった. しかし, 原波形解析による検出率をWilcoxonの符号付検定をしたところ, 立位と座位で有意差は認められなかった.結論 : 体幹動揺量は立位の方が大きいが, 原波形による検出率では差がなく, 咀嚼動作として自然な座位での分析も可能であることが明らかとなった.