著者
佐々木 整 森川 哲史 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.635-643, 2000-06-25
被引用文献数
9 4

論理的思考能力の育成の重要性は, 以前より強く指摘されている.また, 入学試験や就職試験などでは論理適性検査が行われており, 論理的思考能力が入学や採用の判断基準の一つとして活用されている.そこで, この論理的思考能力の育成教育の教材として, 学習者が作成したプログラム同士を対戦させプログラムの解析を行い, その結果をもとにプログラムを改良することでこの能力の育成を支援する, ゲーム型学習システムである, 対戦型ゲームを利用した論理的思考能力育成教材を開発した.本論文では, この論理的思考能力育成教材を提案するとともに, 高校生を対象として実施した実験授業結果について報告する.
著者
小野 慶一 堀川 敏樹 小林 政尚 佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.96, pp.77-84, 1996-06-15
被引用文献数
1

デルファイ(Delphi)法はアンケートの回答や意見を調整、収斂する方法の1つである。このデルファイ法は、回答者に前回の回答結果をふまえ再検討した回答を行わせるものであるが、回答者へのフィードバックは断続的に行われる。この断続性を解決しようとしたものに、リアルタイムデルファイ法があり、グループアナライザとして実現されている。しかし、このグループアナライザは回答者が同一の時間に同一の場所にいなければならないなど、限られた範囲でしか利用できない。そこで、本稿では、まずリアルタイムデルファイ法の問題点とその解決法について考察し、システムに必要な機能の検討を行う。さらに、具体例によってインターネットを用いたリアルタイムデルファイ法の実現方法について述べる。
著者
竹谷 誠 佐々木 整
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.336-347, 1997-01-25
被引用文献数
48

学習者の認知構造を表現した認知マップは, 教育測定評価の観点から, その有効性が指摘されている. 本論文では, 教師が構築した認知マップを基準として, 各学習者がそれぞれの理解内容に基づき描画した認知マップを比較・分析し, 各学習者の認知・理解の程度を評価する新しい形成的評価法を提案している. はじめに, 認知マップにおいて, 従来の2項関係間の距離の概念を発展させた, 「質的な距離」, および要素間の一つの関係が他の要素間の関係にどの程度寄与しているかを測る尺度として「重要度」の概念を提案し, それぞれの特性を解析する. 次に, それらの概念を用いた, 二つの認知マップにおける類似度を提案し, 類似度による学習者の理解度の評価法を提案する. 最後に, 実践データをもとにして, 学習者の理解度の評価法ならびに認知・理解を効果的に高めるための再指導の手順を示し本分析法の形成的評価への適用の有効性を示す.
著者
白戸 仁博 佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.619-626, 2000-06-25
被引用文献数
15

病弱児童生徒などの学習機会や学習情報の提供, 学校間連携による多様な選択科目の導入や単位の取得の支援, 生涯教育への利用など, 様々な分野での遠隔教育の必要性は非常に高く, これまでに様々な遠隔教育システムが提案, 実用化されている.しかし, これら既存の遠隔教育システムには, 設備や運用面などで様々な問題点が指摘されている.本論文では, 遠隔学習の新たな可能性の一つとして遠隔教育にバーチャルリアリティ技術を用いたバーチャルスクールの提案を行う.また, これまでに開発したバーチャルスクールのプロトタイプをもとにバーチャルスクールによる遠隔教育の可能性を考察する.更に, プロトタイプシステムを用いて行った, 実験授業について報告する.
著者
佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1564-1574, 1998-11-25
被引用文献数
1

対象を要素の集合, その順序関係を技で表現したマルチレベルグラフ(階層構造グラフ)は認知マップをはじめ, 多くの構造表現として活用されている.一般にグラフは同じ構造でもその描画法が異なると, 人間のとらえ方や理解のしかたも変化する.本論文では, 筆者が提案した2要素官の重要度の概念を応用した要素の重要度の概念をもとに, 構造的な関連性を考慮したマルチレベルグラフの図解的表示法であるIllustrative Mapping法の提案を行う.また, 従来手法との比較評価を, 被験者による理解のしやすさの定性的評価とグラフ描画の見やすさの定量的尺度に基づいた評価の両面から行い, 提案手法の有効性と実用性を示す.
著者
永岡 慶三 竹谷 誠 北垣 郁雄 米澤 宣義 赤倉 貴子 植野 真臣
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,複数の人間により形成されるグループに対して「グループの学力」を定義し,その評価法を開発することにある.今後のネットワーク社会のさらなる進展を考えれば,社会の各分野においては個人的活動は限られ束面となり,ほとんどがプロジェクトなど複数の人間の協力する活動が多くを占めることになると思われる.そこでは,個人個人の能力の高さだけでなく,いかに複数のメンバーの協同によるグループとしての能力の高さが要求されるものと考えられる.その評価法の開発・実用は,特定の人材の集合からどのように効率的なプロジェクトメンバー構成をすればよいかという人材活用の方法論としての価値を持つものと考える.さてテストを科学的に、計量的に扱うもっとも根本的な主要概念は信頼性である.信頼性(の推定方法)は考え方により多くの定義があるが,理論的明快さや実用性など種々の利点から最も多く用いられるのはCronbachのα係数である.本研究においても信頼性といった場合,Cronbachのα係数をさすものとする.研究実績の成果は,これまでのテスト理論では扱われていなかった受検者側の内部一貫性の特性・概念を導入したことといえる.さて有力な応用目的として,たとえば,N人の受検者集団から構成員数2のグループを構成するとする.すなわち二人ずつのペアを組むとする.Guttmannスケールの項目群を仮定すれば,個別学力の大きい順に第1位から第N/2位までのN/2人を異なるグループに配すればよく,いささか自明解である.ここに受検者側に内部一貫性の特性を導入すれば,話は別で,グループ(ペア)内のθ値の大小だけでは決まらないのである.すなわちペアで考えれば,お互いがお互いの弱点を補い合うような組合せ,すなわちその2名の1,0得点パターンの排他的論理和が全体で最大化するような組合せを行うことで最大化が見込まれる.