著者
川又 泰介 赤倉 貴子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.3, pp.163-172, 2019-03-01

Web上で試験を行うe-Testingは時空間の制約なく受験が可能という利点がある一方で,試験中の不正行為が容易に発生し得るという問題がある.そこで,試験中のなりすまし受験を防止するために,バイオメトリクスを用いた受験者認証法が提案されているが,認証の要求による受験の阻害が課題として挙げられている.そこで本研究では,受験を阻害することなく継続的に受験者を認証するため,Webカメラとペンタブレットを用いて顔認証と筆記認証を組み合わせた受験者認証システムを開発した.システムを実環境に近い状況で使用した結果,顔・筆記共に実時間で認証処理を完了可能であり,被験者は認証処理を意識することなく受験することが可能であることが分かった.
著者
赤倉 貴子 東本 崇仁 加藤 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42036, (Released:2018-06-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3

本研究では,法令文を命題論理式で表現することができることに着目して,特許法学習のための問題解決過程モデルを定義した.そしてそのモデルを利用した学習支援システムを開発した.開発した学習支援システムは,法律条文を組み合わせて考えるような問題に対して,問題構造を直接計算可能な命題論理による表現として保持している.学習支援システムを利用する学習者は,同様に命題論理によって解答を組み立てる.学習支援システムは,システムが生成した正答と学習者の入力した解答の差分を計算し,学習者に誤りの箇所を段階的にフィードバックすることができる.システムの評価実験を行った結果,学習者は段階的フィードバックを高評価し,本研究で定義したモデルに基づいて問題を解く意識を強化できる可能性があることが示唆された.
著者
赤倉 貴子 川又 泰介 東本 崇仁 加藤 浩一郎
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_86-2_91, 2019 (Released:2019-03-27)
参考文献数
12

We analyze the relationship between use of a learning support system for face-to-face lectures on intellectual property law and knowledge acquisition. We first describe a system that we are currently developing and operating. We next analyze the relationship between system use and knowledge acquisition over the past 5 years (FY 2013–2017) for engineering students participating in these lectures. The analysis results show that daytime students frequently used the system for mid-term and final exams, and that nighttime students tended to access the system throughout the term. Finally, we analyze relationships between login count, video system usage time, and exercise system usage times in FY 2017. The results suggest that the video system is useful for acquiring basic knowledge, and that the exercise system promotes acquisition of applied knowledge. The exercise system for studying legal texts, logical expressions, and logic circuits was well received by engineering students, suggesting that system usage facilitates understanding of legal texts. In future work, we will improve the exercise system for logical expressions and logic circuits.
著者
柳町 高正 赤倉 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.9-12, 2006
参考文献数
5
被引用文献数
3

非同期型e-Learning Systemでは,学習者が質問・情報交換をするために電子掲示板が併用されている場合が多いが,質問をしても回答が得られるまで時間がかかる場合が多い.また,掲示板に記事数が多くなると,疑問解消の参考となる記事を探すことが難しくなる.そこで本研究では,学習者の学習内容その他に関する疑問解消を支援するシステムとして,学習者が掲示板に質問を書き込んだ時に,過去になされた類似した質問・回答を自動的に探し出して提示する機能を備えた電子掲示板を開発した.評価実験より,開発した電子掲示板は学習上の疑問を早期に解消できるシステムとして有用であることが示された.
著者
東本 崇仁 赤倉 貴子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.121, pp.23-26, 2014-06-28

プログラミング言語の学習においては,要求(問題文等)を実現するアルゴリズムの理解と,アルゴリズムをコードに変換するための言語知識の理解の2面が存在することは既知であり,個別に学習支援を行う研究は多くなされている.一方,プログラミングスキルの向上のためには,プログラムを読み,理解することも重要であることは経験上明らかである.そこで,本研究ではプログラムを読むことによる学習に着目し,プログラムを読むプロセスとして,コードからアルゴリズムを理解する「読解」とアルゴリズムから元の要求を理解する「意味理解」の2ステップを提案する.また,「アルゴリズム」「コーディング」「読解」「意味理解」の4ステップによる統括的なプログラミング学習を提案し,その支援システムについて検討する.
著者
加納 徹 赤倉 貴子
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_67-2_74, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
11

As of 2021, the demand for online lectures has increased, and it has become difficult to understand students′ learning status in programming practice classes. Therefore, to effectively enhance learners′ motivation and ability even in online lectures, we developed an online programming environment that allows teachers to monitor how learners are programming in real-time. Our environment is flexible enough to support practical application development exercises, and the operation logs are recorded in detail. We introduced our environment to a hybrid lecture, including online and face-to-face lectures, and the analysis results showed some tendencies, such as the higher the grade, the more often the program was executed. The questionnaire survey results showed that about 90% of the students gave a positive opinion, but some improvements were found to be necessary. In the future, we will work on implementing features that were deemed necessary to improve the quality of the lecture.
著者
川又 泰介 石井 隆稔 赤倉 貴子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.4, pp.725-728, 2018-04-01

e-Learningにおけるなりすまし防止手法として,顔認証における参照情報をe-Learning中に逐次更新する手法を開発した.評価実験より,入力情報と登録情報との類似度と,e-Learning中に発生するイベントによって更新の影響を調節することで,従来の方法よりも認証精度が向上する可能性が示唆された.
著者
赤倉 貴子 東本 崇仁 古田 壮宏
出版者
東京理科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、非同期型eテスティングシステムにおいて、受験している時間全てにおいて個人認証を行うことができる方法論を開発することであった。テスト受験中、問題を読んでいる時間はディスプレイ方向(カメラ方向)を見てと考えられるため、この時間は顔認証を行い、解答を書いている時間は筆記認証をする方法論を提案した。筆記認証については、文字をパーツに分解することにより、少ない登録文字で多種多様な文字の認証ができる方法論を開発した。また、顔認証は、テスト問題が次の問題に移動した直後が最も精度が高いこと、さらに頬杖をついたりするため、顔認証は目より上で行うことが適切であることを実験的に確認できた。
著者
永岡 慶三 竹谷 誠 北垣 郁雄 米澤 宣義 赤倉 貴子 植野 真臣
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,複数の人間により形成されるグループに対して「グループの学力」を定義し,その評価法を開発することにある.今後のネットワーク社会のさらなる進展を考えれば,社会の各分野においては個人的活動は限られ束面となり,ほとんどがプロジェクトなど複数の人間の協力する活動が多くを占めることになると思われる.そこでは,個人個人の能力の高さだけでなく,いかに複数のメンバーの協同によるグループとしての能力の高さが要求されるものと考えられる.その評価法の開発・実用は,特定の人材の集合からどのように効率的なプロジェクトメンバー構成をすればよいかという人材活用の方法論としての価値を持つものと考える.さてテストを科学的に、計量的に扱うもっとも根本的な主要概念は信頼性である.信頼性(の推定方法)は考え方により多くの定義があるが,理論的明快さや実用性など種々の利点から最も多く用いられるのはCronbachのα係数である.本研究においても信頼性といった場合,Cronbachのα係数をさすものとする.研究実績の成果は,これまでのテスト理論では扱われていなかった受検者側の内部一貫性の特性・概念を導入したことといえる.さて有力な応用目的として,たとえば,N人の受検者集団から構成員数2のグループを構成するとする.すなわち二人ずつのペアを組むとする.Guttmannスケールの項目群を仮定すれば,個別学力の大きい順に第1位から第N/2位までのN/2人を異なるグループに配すればよく,いささか自明解である.ここに受検者側に内部一貫性の特性を導入すれば,話は別で,グループ(ペア)内のθ値の大小だけでは決まらないのである.すなわちペアで考えれば,お互いがお互いの弱点を補い合うような組合せ,すなわちその2名の1,0得点パターンの排他的論理和が全体で最大化するような組合せを行うことで最大化が見込まれる.