著者
池見 陽 筒井 優介 平野 智子 岡村 心平 田中 秀男 佐藤 浩 河﨑 俊博 白坂 和美 有村 靖子 山本 誠司 越川 陽介 阪本 久実子
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12, 2019-03

自分の生きざまを動物に喩えて、その動物は何をしているのかなどと形容しながらペアで話し合うワークを考案し、それを「アニクロ」(Crossing with Animals)と命名した。本論では、その理論背景として実存哲学、メタファー論やジェンドリン哲学を含む体験過程理論について論じたあと、その実践を3つの側面から検討した。それらは、アニクロ初体験者に対するアンケート結果について、産業メンタルヘルス研修でのアニクロの応用について、そしてゲシュタルトセラピーにおけるアニクロの実践についてである。アニクロは多用な実践が可能であるが、その基本原理はフォーカシングであり、本論は最後に、アニクロを通してみたフォーカシングの基礎理論を考察した。
著者
筒井 優 中俣 恵美 有末 伊織 酒井 菜美 糸乘 卓哉 中村 達志 峯林 由梨佳
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.G-62_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】 超高齢社会を迎える日本では、在宅医療・介護が推進され地域包括ケアシステムの構築や健康日本21(第二次)に代表される疾病・介護予防など予防施策に力が注がれている。先行研究において、機能維持と身体活動量には密接な関係があると指摘されており、身体活動量を把握し、維持・向上を目指すことで、生活習慣病や自立度の低下など将来的な疾病の予防も可能であると考える。現在、身体活動量を評価する指標としてLife space assessment(以下LSA)や歩数計が広く用いられている。本研究では、LSAと腕時計型歩数計を用い身体活動量を評価し、両者のメリット・デメリットを検証するとともに両者を補填できる新たな評価指標の検討を目的とした。 【方法】在宅脳卒中患者12名(男性9名・女性3名、平均年齢68.1±9.9歳、発症後の経過年数15.6±7.5年)を対象に、LSAによる身体活動量の調査に加え、腕時計型測定装置ChargeHR(fitbit社製)を使用し、1週間装着(入浴時除外)を依頼、1日の歩数を調査をした。LSAと歩数の関連性は統計解析ソフトSPSSを用い、Spearmanの順位相関係数による解析を行った。さらに、アンケートを作成し、移動手段・活動内容・歩行時間を個別調査し身体活動量との関係を検討した。 【結果】LSA平均値が59点±29、歩数平均値が6367±3994歩であった。LSAと歩数に関する解析結果では相関係数r=0.618、有意確率p=0.043となり中等度の正の相関が認められた。しかし、LSAが51点と同得点の対象者間でも歩数に約5000歩の差異があるなど、LSAの得点と歩数に大きな差が生じた対象者もいた。LSAと歩数に差がみられた対象者3名をアンケートにて個別分析すると、歩行時間が長くその主な内容は近隣の散歩であった。  【考察】LSAと歩数には相関がみられるが対象者間で差異が生じていることが明らかとなった。その要因として①LSAは歩行補助具を用いると点数が低値となる②LSAが同程度であっても介助者による車での送迎より公共交通機関を利用する事で活動量が高値となるなど移動手段により歩数に差異がでる③日課として近隣を散歩しているなど移動先での活動内容や活動習慣が影響した事が考えられた。これらの事よりLSAは、生活の広がりを把握する事が可能だが、歩数には歩行時間・移動手段・活動内容が影響する為、実際の身体活動量とするには課題がある事が明らかとなった。一方腕時計型歩数計は、詳細な身体活動量の調査をする事が可能であり具体的な数値としてフィードバックが可能である為、意欲向上に繋がるメリットがあったが、アプリとの連動など管理が複雑なうえ機器が高価であり、データ収集には人的・時間的・金銭的に負担が大きく、個別調査には有用だが大規模調査を行うのは困難である。今後大規模調査を行うには、LSAで把握できない身体活動量に影響を及ぼす因子である歩行時間・移動手段・活動内容を聴取し点数化できる評価指標を検討する必要がある。 【倫理的配慮,説明と同意】本人に十分な説明のうえ、研究協力の同意を文書で得た。また、研究に参加しなくても何ら不利益を受けないこと、一旦承諾してもいつでも中断できることを保証した。関西福祉科学大学倫理審査委員会の承認を得た。承認番号【1601】
著者
筒井 優介
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : bulletin of the Graduate School of Professional Clinical Psychology, Kansai University = サイコロジスト : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
no.5, pp.73-81, 2015

本稿は、筆者が"夢PCAGIP"と称したワークの試みを紹介するものである。夢PCAGIPとは、小グループで夢提供者が自身の夢の意味を見出すことを援助するワークであり、PCAGIP法と夢フォーカシングを参考にしている。PCAGIP法は、PCAグループとインシデント・プロセスを組み合わせた事例検討法である。PCAGIP法でテーマとして取り上げられるのは現実に起こっている事例がほとんどであり、現実に起こっていない夢を取り上げた例はない。そこで、筆者はPCAGIP法に夢解釈を応用したグループワークである夢PCAGIPを試みた。本稿では、夢PCAGIPの概要及び実施手順を紹介するとともに、ワークを実践した一例を報告する。さらに、夢をグループで扱う方法をいくつか検討し、夢PCAGIPの特徴について考察する。