著者
米丸 亮 カラガン 徳代 黒石 正子 荒幡 篤 宮崎 聡 山本 誠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.220, 2009

新幹線運転士の停止位置ミスが睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)に起因したことが判明したことを契機に,我が国においても社会的問題が次々と明らかとなり,SAS が注目されるようになった。本研究では職場作業の安全管理上SAS に関心の高い某事業場の従業員183名に対してアプノモニターにてスクリーニングを実施した。事業場の産業医の指示にて実施したアプノモニターのデータを,当院の医療連携室を経由して生理検査室にて分析した。被検者183名中アプノモニターによる無呼吸/低呼吸指数(Apnea/Hypopnea Index : AHI)が5以上15未満を示す要指導者が28名(15%)存在した。AHIが40以上を示す者はいなかったが,15以上40未満を示す者が18名(10%)認められ,当院においてPolysomunography(PSG)検査を実施した。PSG によるAHI が10以上の者が10人認められ,SAS と診断された。SAS の有病率は5.5%(10/183)であった。また,AHI が20を超える者5名については,CPAP を導入した。至適CPAP 圧はマニュアルタイトレーションにより決定し,平均7.9cmH2O であった。CPAP 導入によりAHI は平均27.8から平均3.7に低下し,AHI の減少率は87%であった。CPAP導入患者については,定期的外来管理を継続しており,日中帯での眠気を認めていない。必要に応じ在宅での状況をメモリーチップに記憶させ,当院にてその後AHI の経過観察に利用している。事業場の健康管理センターと地域連携を構築し,症状が乏しい従業員に対して効率の良いSASの診断,CPAP 治療の導入により,地域の健康増進に貢献できると考えられた。
著者
古本 恭子 高原 真理子 荒木 耕生 植田 恵介 井手 義顕 山本 敬一 米丸 亮 高畑 武司
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.40, 2011 (Released:2012-02-13)

マイコプラズマ肺炎は学童期に多い肺炎の一つで, マクロライド系抗生物質が第一選択とされてきた. しかし, 近年, マクロライド耐性肺炎の報告が増加している. その一方で, マクロライド感受性肺炎の流行期であるにも拘わらず, 治療に難渋する症例を経験することがある. 今回, 我々は, 臨床的に判断したクラリスロマイシン(CAM), ミノサイクリン(MINO)感受性マイコプラズマ肺炎患者において, CAM, MINO投与にも関わらず, 発熱が遷延した4例を報告する. 症例は, 平成22年12月から1月において当院に入院した6歳から11歳の肺炎4例である. 聴診所見, 胸部単純X線, 入院時のイムノカードおよび, ペア血清でのMp抗体価の上昇からMp肺炎と診断した. 4例中3例は入院前からCAM, MINO, アジスロマイシン(AZM)を内服していた. 発熱期間は, 入院前の内服期間を含めて, 7~8日間と遷延していた. これらの症例では, AST・LDH・フェリチンの高値から, 遷延する発熱の要因の一つに高サイトカイン血症の関与を考えて, メチルプレドニゾロン(mPSL)投与を3日間行なった. 全例でmPSL投与の12~24時間後より解熱傾向を認めた. 1例ではmPSL中止後に再発熱を認めたため, 再投与を行なったところ, 12時間後に解熱した. 発熱の遷延は, IL-2, 4, 12, 13, 18, IFN-γなどの炎症性サイトカインの臨床上の指標となる. マイコプラズマ肺炎において, 抗菌薬投与後も3~4日間解熱しない場合, 耐性マイコプラズマだけでなく, 高サイトカイン血症の関与を疑い早期のステロイド投与が望ましい.