著者
糸数 昌史
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.297-300, 2007 (Released:2007-07-11)
参考文献数
5

認知運動療法は,運動機能回復を一つの学習過程と捉え,脳の認知過程に注目した認知理論を基礎として成り立っているアプローチ方法である。今回,その背景と概要を紹介する。
著者
糸数 昌史 野口 薫 菊池 理絵 新浜 千恵美 蒔田 祥子 倉本 アフジャ亜美 及川 翼
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】<BR> 近年、5本指ソックスの人気が高まり、足趾が開くことで踏ん張りが利きやすいという利点から日常生活だけではなくスポーツ場面でも目にすることが多い。当センターにおいても麻痺性疾患による足趾の重なりを改善する目的で5本指ソックスの使用を提案することはあるが、5本指ソックスの着用が姿勢や動作への影響についての報告は少ない。そこで本研究では、健常者を対象として5本指ソックスが静止立位時に及ぼす影響を足底圧分布と足底荷重面積を計測することで検討した。<BR><BR>【方法】<BR> 対象は、足部に特別な疾患の既往がない健常女性7名とした。計測条件は、1)裸足 2)一般的な靴下 3).5本指ソックスの3条件とした。足底圧分布と足底荷重面積の計測は、Clinseat圧力分散測定システム(NITTA社製)とBIG-MATセンサを用い、3条件の計測はランダムに行った。計測中、対象者には5m先の目印を注視させ、10秒間の静止立位をとらせた。得られたデータから足底圧の中心位置(Center of Foot Pressure;CFP)を計算し、足底荷重面積とともに3条件間の比較を行った。<BR><BR>【結果】<BR> 足底荷重面積は、裸足や一般的な靴下よりも5本指ソックスが最も大きかった。CFPも同様に5本指ソックス着用時が他の2条件よりも外側に偏移していた。<BR><BR>【考察】<BR> 5本指ソックスの効果として、足趾が開くことで末梢血流循環が改善すること、足趾それぞれの独立した運動を引き出しやすくすることでのバランスがとりやすくなるという2点が一般的に言われていることである。我々も足趾の重なりがみられる症例に対して5本指ソックスの着用を行ったところ、良好な結果が得られている。本研究では、足底荷重面積を計測し、各条件間で比較を行ったところ、5本指ソックスが大きな値を示した。これは、5本指ソックスの着用によって足趾への物理的な外転作用が働くことで、足底面積が増加し、結果として支持面の拡大がみられたと考えられた。また、CFPも5本指ソックスの着用により荷重点が外側に偏移した。このことから足底外側、すなわち小趾側への荷重が促されやすくなったと考えられた。<BR><BR>【まとめ】<BR> 5本指ソックスを履くことで、足趾の重なりを予防し足底荷重面積を広げ、より外側への荷重を促しやすくなる効果がある可能性が示唆された。足趾による姿勢制御は静止時だけでなく動作時にも重要であることが報告されているが、今後は動作時における5本指ソックスの影響についても引き続き検討していく。
著者
塩見 誠 糸数 昌史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】日本での腰痛の有訴者率は高く,年代が上がるにつれて高くなる。太田らは腰痛患者を対象とし体幹深層筋に焦点を当てた運動療法を施行した結果,腰痛の程度が改善し,さらに腹横筋,第3,4腰椎高位における多裂筋の筋厚が増加したと報告しており特定の運動療法の効果は認められている。国民のスマートフォン(以下スマホ)所持率は近年67.4%と高い。スマホには様々なアプリケーション(以下APP)が存在しており運動学的解析APPでは,妥当性,再現性は低速歩行にて三次元位置解析装置と同様の性能を有することを示しており,簡便である。またスマホにはミラーリング機能(以下MS)があり携帯端末の画面を投影することが可能である。そこでスマホAPPとMSを組み合わせ視覚的バイオフィードバックシステム(以下BFS)を考案した。本研究は一般的に普及されているスマホを用いて腰痛患者に効果的な運動療法の姿勢特性を捉え,BFSを用いて姿勢の制御を行うことが可能かどうかを明らかにする。</p><p></p><p></p><p>【方法】健常成人男性9名(年齢25.1±2.5歳),測定環境はiPhoneとiPod touchを重ね仙骨後面に固定し,iPhoneのデザリング機能を用い同一Wi-Fi環境とした。使用APPはCSV出力用として「ジャイロくん3」,視覚提示として「水平器Pro」を使用,BFS画面は「Reflector2」を用いてMacBook Pro(Apple Inc)に投影した。</p><p></p><p>姿勢保持は1分間行い,四つ這い対側四肢挙上運動(右上肢-左下肢挙上)とし,条件は1)FB有り,2)FB無しの2条件をランダムに選び,計測は四つ這いでの骨盤の位置を基準とした。運動は「ドローイン後,手と足を地面に水平になるように挙上する様に」と指示した。基準は地面(前後傾,左右回旋0°)とし,FB有りでは画面上に映し出される目印を基準0°に姿勢を合わせるよう指示した。解析は運動開始から20~60秒の40秒間を採用(50Hz)。FBの有無による骨盤前後傾,左右回旋角度を得た。運動中の骨盤角度変化の傾きを恒常誤差(CE)基準値からの誤差を全体誤差(TE)角度変化のばらつきを変動誤差(VE)にて算出し,2条件の平均を対応のあるt検定を用い統計ソフトSPSS用いて解析した。(有意水準5%)</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>CEでは骨盤は前傾,左回旋する傾向にあった。FBありで前傾は有意に基準に近づいた。</p><p></p><p>TEでは骨盤前後傾角度でFB無しでは6±4°FB有りでは3±2°と有意な変化を認めた。</p><p></p><p>VEでは骨盤左右回旋角度でFB無しでは2±1°FB有りではと1±1°と有意な変化を認めた。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>四つ這い対側挙上運動においてFB無しで骨盤位置がより左回旋かつ前傾の傾向になっているため姿勢保持に大臀筋の膨隆,体幹背筋が作用した可能性が考えられる。骨盤位置の制御では視覚的BF有りの方が目標の位置からの誤差が小さく,運動中の動揺が少ないことが明らかになった。スマートフォンを用いたBFSにより姿勢特性を捉えられかつ制御できる可能性が示された。</p>
著者
長坂 嘉久 深谷 奎太 宮沢 千瑛里 吉原 光 宮田 義潤 小田部 夏子 糸数 昌史
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.F-020, 2020 (Released:2020-01-01)

【目的】発達性読み書き障害は,読み書きの能力が年齢,知能,教育の程度から期待されるレベルより低く,難聴や弱視を持たない場合である.また,先行研究より上肢関節位置覚は発達に伴う再現誤差の減少が確認されているが,手指動作評価はない.これらから書字に影響する関節位置覚評価が必要と考え,本研究では指間距離を赤外線センサを用いて計測し,発達に伴う関節位置覚の検討を行った.【方法】対象は、健常大学生21名,健常小学生23名(低学年児10名,高学年児13名),読み書き障害児9名とした.研究実施にあたり国際医療福祉大学研究倫理委員会の承認(承認番号15-T-13)を得た後に,対象者に十分な説明を行って同意を得た.指間距離は脳活計(ソフトシーデーシー)に接続した赤外線センサ(Leap motion)を用い,センサで得た手の空間座標から母指と示指間の直線距離を算出し,指間距離とした.計測肢位は座位とし,肩関節・肘関節を軽度屈曲した肢位で肘頭を机上の計測用台座に接地させ,前腕を台座に乗せセンサから約15cm上方に手が位置するよう固定した.計測運動は母指および示指のIP関節を伸展位を保持して母指と示指の指腹を近づける運動とした.計測は始めに母指と示指の最大距離を計測して開始肢位を設定し,その半分の距離を計測課題と設定した.計測課題の肢位(A)を5秒間記憶した後,手を開始肢位に戻し,次に記憶した肢位を再現させた(B).AおよびBの指間距離の差分の絶対値(|Δ|)を再現誤差と定義した.統計処理はJSTAT Ver16.1にて,Kruskal-Wallis検定と多重比較検定としてScheffe法を用いた.有意水準は5%とした.【結果】年齢が低くなるとともに,|Δ|は増加した.大学生と低学年児,大学生と読み書き障害児の間で有意な|Δ|の増加が認められた.【考察】先行研究と同様に指間距離においても,発達に伴う再現誤差の収束が認められ,発達に伴う手指などの関節位置覚の精度向上を反映していると考える.
著者
糸数 昌史 久保 晃 谷口 敬道 小阪 淳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.715-717, 2016
被引用文献数
1

〔目的〕バーチャル教材を用いた解剖学演習を実施し,解剖学に対する学生の興味と苦手意識の変化を調査すること.〔対象と方法〕理学療法学科2年生100名.バーチャル教材を用いた演習後に,授業評価と解剖学に関するアンケート調査を実施した.併せて苦手科目としての解剖学の状況を前年度と比較した.〔結果〕バーチャル教材は学生の興味を喚起し,解剖学を苦手とする学生が有意に減少した.〔結語〕解剖学実習にバーチャル教材を用いることで,学生の解剖学への苦手意識を解消することができた.