著者
細野 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-1, エレクトロニクス 1-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.222-229, 1998-04-20
参考文献数
17
被引用文献数
1

EDHB理論の問題点として従来, エネルギー運動量テンソルの非対称性があり, Abraham-Minkowski論争として未解決である.本論文は誘電体に働く力の三つの問題に対して, EDHB理論とEB理論の考え方を比較検討した.この目的のために, 矛盾のない局所場の表現について考えた.EDHB理論の問題点を運動量保存則に結び付け, EDHB理論の運動量保存則が物理法則ではないことを結論した.従って, Abraham-Minkowski論争は物理的には無意味である, として解決される.
著者
細野 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.pp.519-528, 1994-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
4

Poyntingベクトルは普通,空間における電力流を表すベクトル場と考えられているが,電磁気学の多くの教科書には次のような主張がなされ,混乱を巻き起こしてきた.(a)Poyntingベクトルに発散が零の任意のベクトル場を加えても,エネルギーの保存則に違反しないから,電力流の表現としてPoyntingベクトルは唯一のものではない.(b)帯電した磁石の付近の空間でPoyntingベクトルは零でない値をもつが,この空間に電力流が実在するとは考えられず,Poyntingベクトルが電力流を表さない場合がある.このような主張がなされ混乱が起きた原因は電磁理論の相対論的側面を軽視した教育にある.本論文は,電磁教育に寄与する目的で,(a)電磁理論が本質的に相対論的であることのわかりやすい説明,(b)抜山ベクトルは,Poyntingベクトルの代役を果たし得ないことの説明,(c)Poyntingベクトルに付加できるベクトル場の満たすベき一般条件,(d)電力流密度の表現としてPoyntingベクトルが唯一のものと考えられる根拠,などについて考察したものである.
著者
細野 敏夫
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. A (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.494-500, 1979-10-20 (Released:2008-06-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3
著者
細野 敏夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.J77-C1, no.10, pp.519-528, 1994-10-25

Poyntingベクトルは普通,空間における電力流を表すベクトル場と考えられているが,電磁気学の多くの教科書には次のような主張がなされ,混乱を巻き起こしてきた.(a)Poyntingベクトルに発散が零の任意のベクトル場を加えても,エネルギーの保存則に違反しないから,電力流の表現としてPoyntingベクトルは唯一のものではない.(b)帯電した磁石の付近の空間でPoyntingベクトルは零ではない値をもつが,この空間に電力流が実在するとは考えられず,Poyntingベクトルが電力流を表さない場合がある.このような主張がなされ混乱が起きた原因は電磁理論の相対論的側面を軽視した教育にある.本論文は,電磁教育に寄与する目的で,(a)電磁理論が本質的に相対論的であることのわかりやすい説明,(b)抜山ベクトルは,Poyntingベクトルの代役を果たし得ないことの説明,(c)Poyntingベクトルに付加できるベクトル場の満たすべき一般条件,(d)電力流密度の表現としてPoyntingベクトルが唯一のものと考えられる根拠,などについて考察したものである.
著者
細野 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.168-175, 1993-02-25
被引用文献数
4

電磁気学を難しくしている本質的事情として,(1)電磁気学は現在も進化の途上にある学問であること,(2)電磁現象を弾性現象との類推で理解するといるMaxwell以来の理解法,(3)電磁現象は本質的に相対論的であること,(4)磁荷とか磁流という概念は数学的に余りに便利であるため,物理的と誤解されやすく数学と物理をごちゃ混ぜが起りやすいこと,(5)電磁方程式の表現が代表的なものに限ってもEB,DH,EHの3種類あること,等を指摘した.細野のパラドクスより,静電磁界のPoyntingベクトルの実在性を論じた.