著者
蒲島 郁夫 池田 謙一 小林 良彰 三宅 一郎 綿貫 譲治
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
1993

93年総選挙における投票行動を起点にして、その後の政治変動と、選挙制度改革が、有権者の政治的態度にどの様な影響を及ぼしているかを正確に知るためには、同一有権者に繰り返し質問するパネル調査が必要である。われわれ研究グループは、93年総選挙直前から96年総選挙直後まで、7回にわたって全国的なパネル調査を行い、有権者の意識と行動の変容を探った。7回に及ぶ全国的なパネル調査というのは世界的にも類がなく、その上、これらの調査が日本政治の重要な時期をカヴァーしているのは極めて貴重である。この一連の調査の結果、政権交代をもたらした有権者の投票行動と、その後の政治変動が有権者の政治意識にどのような影響を与えたかを明らかにすることができた。研究発表の全容については別紙を参照されたいが、前年度に引き続き本年度も、科学研究費出版助成を受けて、(1)蒲島郁夫『政権交代と有権者の態度変容』、(2)三宅一郎『政党支持の構造』、(3)蒲島郁夫他『JES IIコードブック』の3冊の研究書を出版した。
著者
綿貫 譲治
出版者
上智大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

第1年度(平成2年度)には、まず、各種のサーベイ・データの時系列的再分析を行い、有権者の政治関与(政治関心などの心理的関わり)と政治参加(投票参加、選挙運動への参加)の変化を見た。その結果明らかになったことは、女性有権者の政治関与の増大であり、とくに、60歳以上の実年後期と老年グループの女性における政治関与の増加が顕著であることである。さくに、平成元年7月の第15回参議院議員通常では、女性立候補の増加が刺激となり、女性の政治関与も顕著に増加し、中年や実年前期では男女差が消滅し、また、実年後期や老年でも、男女差が縮少したことがはっきり見られた。第2年度(平成3年度)では、衆議院議員公設祕書にたいするアンケート調査を行い、選挙区の変動の筆頭として、女性有権者の活発化が筆頭に挙げられているというデータを得た。現代日本社会における社会構造の変動として、最大のものは、性役割の規定や規範の変化であることが、ここから結論された。現在行われている政治改革論議では、この点への対応が全く欠落しているのである。衆議院議員公設祕書にたいするアンケート調査では、私設祕書を含めた祕書総数推定についてのデータ、公設祕書の職務配分についてのデータなども得ることができ、アメリカ連邦議会の議員のパーソナル・スタッフの職務との比較も行った。平成5年度予算に具体化した「政策祕書」設置についても、それが「政治改革」の一環であるとはいえるとの判断を引出した。「社会構造と政治改革」というテーマでの残された問題は、マス・メディアの発達のインパクトの分析であり、それは今後の課題としたい。