著者
髙林 馨 緒方 晴彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.742-743, 2021-05-24

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)における内視鏡活動性スコアはこれまでに数多く報告されているが,本稿ではその中でも本邦で使用頻度の高いMES(Mayo endoscopic subscore)とUCEIS(ulcerative colitis endoscopic index of severity)について概説する.
著者
杉本 真也 長沼 誠 福田 知広 吉松 裕介 緒方 晴彦 岩男 泰 金井 隆典
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.908-915, 2020-06-25

要旨●筆者らは,植物から抽出された生薬である青黛の潰瘍性大腸炎患者における粘膜治癒促進の有効性を報告してきた.一方で,自己購入した青黛の服用による肺動脈性肺高血圧症や腸重積といった有害事象の存在が明らかとなってきた.青黛による腸重積や非特異性腸炎などの腸病変は右側結腸に好発する.多彩な内視鏡像を示すが,孤発性の潰瘍形成や虚血性腸炎様の発赤・浮腫状粘膜などが特徴である.発症のメカニズムはまだ明らかでないが,病理組織学的に小血管における静脈炎の存在が示されており,吸収された青黛代謝産物が虚血性病変を来す一因となった可能性が示唆される.何よりもまず,青黛について知り,その有害事象の可能性を疑うことが重要である.
著者
金井 隆典 松岡 克善 久松 理一 岩男 泰 緒方 晴彦 日比 紀文
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.364-369, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
20

インフリキシマブ治療はクローン病治療に革命をもたらしたといっても過言ではない.しかし,治療経過中に効果が減弱するいわゆる二次無効について国内外で活発に議論がなされている.本邦でも,2011年,インフリキシマブの10mg/kgへの増量が承認され,二次無効症例に対して直接的な対処が可能になった.しかし,10mg/kg増量ですべての二次無効症例が再び8週間隔の維持治療で寛解を維持できるまで効果が回復するとは限らない.また,本邦では2番目に登場したアダリムマブとの治療優先に関する議論,アダリムマブ増量の議論,さらには本邦オリジナルな白血球除去療法,栄養療法との併用など,長期の寛解維持を達成させるための適切な薬剤選択,適切な増量のタイミングを明らかにすることが重要である.
著者
山本 博徳 緒方 晴彦 松本 主之 大宮 直木 大塚 和朗 渡辺 憲治 矢野 智則 松井 敏幸 樋口 和秀 中村 哲也 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2685-2720, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
282
被引用文献数
13

カプセル内視鏡・バルーン内視鏡の開発・普及により,小腸領域においても内視鏡が疾患の診断・治療に重要な役割を果たすようになった.小腸内視鏡の適応として最も頻度が高いのは,いわゆる原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)である.その他には小腸狭窄,腫瘍,炎症性腸疾患などにおいて小腸内視鏡の有用性が確認されている.小腸内視鏡の有用性が認識された今,臨床現場で安全かつ効率的に使用し,最大限の効果を得るためには一定の指針が必要となる.そこで,日本消化器内視鏡学会では,日本消化器病学会,日本消化管学会,日本カプセル内視鏡学会の協力を得て,現時点で得られるだけのエビデンスに基づく「小腸内視鏡診療ガイドライン」を作成した.しかし,まだ比較的新しい内視鏡手技であり,エビデンスが不十分な部分に関しては専門家のコンセンサスに基づき推奨度を決定した.本ガイドラインは小腸疾患診療のガイドラインとしての疾患中心のまとめではなく,小腸内視鏡というモダリティを中心としたガイドラインとして作成し,小腸内視鏡としては臨床現場の実情に即して小腸カプセル内視鏡とバルーン内視鏡に絞り,指針を作成した.
著者
碓井 真吾 中村 公子 齋藤 義正 山岸 由幸 海老沼 浩利 鈴木 秀和 今枝 博之 橋本 志歩 金 善惠 峰岸 一博 中塚 誠之 橋本 統 緒方 晴彦 齋藤 英胤 日比 紀文
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.56-57, 2010-12-10 (Released:2013-07-25)
参考文献数
3

A 34-years-old woman, who had received Kasai operation due to congenital bile duct atresia at the age of 0, was pointed out esophageal varices and liver cirrhosis at one year and a half before pregnancy. At 25 weeks pregnancy, the esophageal varices was ruptured and she received endoscopic variceal ligation after emergent admission. Although the variceal bleeding was well controlled, the fetus grew up slowly and its growth arrest was recognized by ultrasound examination at 29 weeks pregnancy. Caesarean section was performed and a boy of 842g was delivered. Genital bleeding, however, continued postoperatively because of poor uterine contraction, and a large amount of blood transfusion was necessary. Both of uterine arterial embolization was performed by interventional radiology and she was discharged on the postoperative 15th day. The newborn grew up and was also discharged on the 92nd day of his birth.