著者
鈴木 秀和 西 仁司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第23回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.216, 2007 (Released:2009-01-14)

近年,医療・福祉分野においてロボットの利用が検討され始めている.動物と触れ合うことによる癒し効果を治療に役立てようとするアニマルセラピーの分野では,感染症などの危険がないことから,動物型ロボットにより同様の癒し効果を得るロボットセラピーが注目され始めている.このような動物型ロボットが癒し効果を発揮するためには実際の動物に近い動作をすることが重要である.本報では基本的な動作である「歩行」に着目し,4脚ロボット「AIBO(Sony製)」の動物的な歩容生成法について報告を行う. 歩容生成では,まず1脚のみに着目した動作生成を行う.実際の犬の歩行時の脚軌道をベースとし,遺伝的アルゴリズムを用いてロボット用に最適化を行う.最適化された脚軌道を用い,4脚の切り替えタイミングを動物学における基本的な歩容である「トロット」に一致させることで動物的な歩容生成を行う.
著者
鈴木 秀和 西 仁司 瀧 晃司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.653-662, 2009-10-15 (Released:2010-01-12)
参考文献数
21
被引用文献数
1

近年,AIBOやParo等に代表される動物型ロボットが話題を集めており,その愛らしい仕草によるエンターテインメント効果のみならず,ロボットセラピーにおけるヒーリング効果が注目を集めている.ヒーリング効果への影響を考えた場合,ロボットが動物らしく行動することが重要であるが,実環境では複雑な動的干渉の影響を受けるため,歩行等の複雑な行動を動物らしく実行することは難しい.そこで本報告では,人が「動物らしい」と感じる4脚歩行ロボットのための歩容生成を目標に,AIBOを用いた地面での動物的な歩容の生成を試みる.脚式ロボットの歩容生成が多次元時系列空間における軌跡の最適化問題であることに着目し,複合特徴領域から成る最適歩容領域への到達方法として,特徴群を1つずつ最適化して辿る手法を提案する.具体的には,動物の歩容に基づいた基本形状とGAによる中間軌道の最適化により,効率よく推進力を発生できる単脚軌道の生成を4脚歩容生成の導入として行う.生成された単脚軌道の連携のために動物学における歩容分類を適用し,人間が動物らしいと感じる感性を取り入れるためにデューティ比と周期を変えたアンケートを実施した.さらに,アンケート結果より得た動物的な歩容に対し,GAを用いた地面での適応学習を行うことにより,人が動物らしいと感じる歩容形態を維持したまま効率よく前進できる歩容の実現を試みる.
著者
山田 表 稲村 聡 林 昌樹 川島 久宜 石間 経章 鈴木 秀和
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.983-988, 2014 (Released:2018-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

オイル消費改善のためにオイル上がりのメカニズム解明は重要である.合口付近のオイル挙動を可視化するためシリンダライナにサファイアを用い,レーザ誘起蛍光法でランド部の油膜厚さを計測した.その結果,オイル上がりの経路が明らかになり,さらにランド部または合口部を通過する油膜の速度を求めることができた.
著者
氏家 徹 松下 健嗣 鈴木 秀和
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第27回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.234, 2011 (Released:2012-02-15)

ロボットに関連する様々な技術を促進させる試みとしてロボカップがある.当研究室が出場している中型リーグの場合,あらゆる方向に同じ姿勢で移動することが望ましく,一般的に広く用いられる独立二輪機構では実現は困難である.これを解決する方法として,オムニホイールを用いる全方向移動機構が有効である. これは近年,あらゆる方向への移動性能が求められる工場や病院など限られた作業空間において注目されている機構である.全方向移動機構の車輪数は3輪,もしくは4輪が一般的であり,当研究室では重心安定範囲を考慮して4輪駆動型を採用している.また,4輪駆動型は3輪駆動型よりもモータ数が多いため,トルクが高いといった利点がある.しかし,4輪駆動型の特徴として重心移動時に車輪が空転してしまう欠点がある.そこで,本研究では,全方向移動機構にサスペンションを搭載し,重心移動の際の車輪の空転を防ぎ,移動性能の向上を試みる.
著者
鈴木 秀和 遠藤 健司 松岡 佑嗣 西村 浩輔 関 健 堀江 真司 前川 麻人 小西 隆允 山本 謙吾
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.265-269, 2017-04-25

はじめに 成人脊柱変形患者は社会の高齢化に伴い増加し,脊椎矢状面アライメントに関する知見の重要性は増している.加齢による姿勢変化は,胸椎が後弯化し頸椎前弯が増強する傾向にあり,頸椎症の発症に大きく関与することが知られているが1,2,13),骨盤を含めた全脊椎アライメントと頸椎アライメントに関する定量的解析は多くなされていない.頸椎形態は,直線状,S字状,すべりの存在など多様性があり,頸椎前弯の計測法にもさまざまなものがある6).C2-7角は,途中の形態が不明となり前弯の形成の程度が不明となるため,C2-7角で頸椎矢状面アライメントを述べることにも問題があるといわれてきた9).また,頸椎矢状面アライメントは年齢,性差や個体差があるため,正常の定義,病的アライメントの解釈を明確に決めることは難しい11).1968年,石原8)は頸椎弯曲指数(石原指数)を用いて頸椎アライメントの性差,年代による変化があることを述べた7,8)が,徐々に,全脊椎矢状面アライメントとの関連が明らかになり,頸椎アライメントの概念は変化しつつある.近年,日本人を対象にYukawaらは626人の性別,年代別に全脊椎矢状面アライメント計測と,1,200人の頸椎矢状面アライメントと頸椎可動域(range of motion:ROM)を示した11,12).頸椎前弯の消失や後弯発生は,C2-7sagittal vertical axis(SVA)やT1椎体の傾斜と大きな関連があり,頸椎症発生は隣接脊椎のアライメントに強く影響を受ける2,4).本稿では,日本人のデータより得られた健常人の頸椎矢状面アライメントと全脊椎矢状面アライメントとの関係について述べる.
著者
中村 友美 鈴木 秀和 山川 信之 市川 清士
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.168, 2022 (Released:2022-03-28)

1.はじめに 地下水は,上水道事業が広く普及された今日においても重要な水資源として多くの地域で利用されている。一方,人為的影響を伴った地下水は,沿岸に発達する生態系への影響などが問題視されている。琉球列島南部の八重山諸島東端に位置する石垣島白保地区の前面海域には,サンゴ礁をはじめとする貴重な自然環境が残っている。しかし,白保地区の地下水に関する詳しい報告は少ない。このような状況を踏まえ,本研究では,更新世の琉球石灰岩上に位置する白保地区を対象に水位変化および水質調査を行い,白保地区における現時点における地下水の諸特性を明らかにすることを目的とする。2.調査方法 水位観測は,汀線から内陸部にかけて調査測線を設定し,3地点にロガー(自記記録計)を設置した(図1)。データ取得期間は,2020年9月3日から約1年である。No.2は地面標高が確約していないため,データ解析にはNo.1およびNo.3を使用した。潮位データは,気象庁が観測および公開している1時間間隔実測潮位を使用した。また,測水調査は, 2020年9月10日~12日及び2021年9月6日に実施した。調査地点は,民家の井戸を対象に,2020年に14地点,2021年に10地点調査した。井戸の状況をふまえて地点数は異なっている。現地では気温,水温,EC(電気伝導度),地下水位を測定した。採水した試料は,駒澤大学地理学科の実験室で主要溶存成分の分析を行った。 3.結果および考察 1)地下水位の観測結果 今回得られた地下水位の観測結果では,潮汐変動の影響を顕著に受けていることが認められた(図2)。無降雨時の2020年9月17日~19日の範囲をみると,各地点とも潮位のピーク後に水位のピークを迎えていることが分かる。その時差は,無降雨時の満潮時にそれぞれNo.1およびNo.3で,約1時間,約2時間であり,干潮時は約2時間,約3時間であった。汀線からの距離によって時差が異なり,それぞれ満潮時と比べ干潮時の時差が大きいことが分かる。また,9月18日の水位の振幅は,潮位の振幅が1.84mの時にNo.1で0.83m,No.3で0.53mと内陸へいくほど小さくなる。2)水質調査結果 水質組成は,全体的にNa-Cl(アルカリ非炭酸塩)型を示した(図1)。海岸に近くになるほど,Na+,K+,Mg2+,Cl-,SO42-濃度が高くなり,内陸部になるとNa-Cl型ではあるが,全体に占めるCa2+とHCO3-濃度が沿岸付近よりも高くなり,海水の影響度が低くなることが判明した。しかし,汀線と平行に海水の影響度は低くならず,調査地点の北側と南側で異なる傾向を示した。調査地点の北側では,陸域の地下水中に多く含まれるCa2+・HCO3-・NO3-,南側では,Na+・K+・Mg2+・Cl-・SO42-が相対的により多く含まれていたが,海水とその影響がない地下水(石垣島鍾乳洞)のCl-濃度を用いた二成分混合モデルにより各井戸への海水の混合率を求めたところ,2020年の調査では約1~8%,2021年の調査では約3~22%であった。汀線からほぼ同距離であるが,北側と南側では,約2倍の差があることが分かった。潮汐による溶存成分量の変化は,大きく表れなかったものの,微量な変化は認められた。4.まとめ 本研究では,琉球列島南部の八重山諸島東端に位置する石垣島白保地区における地下水の水位変化及び水質調査を行った。その結果,地下水位は,潮位と位相差が生じているものの,潮汐と対応して周期的な変動をしていることが明らかとなった。水質調査の結果も兼ねて,井戸への直接的な塩水遡上はないものの,海水および地下水が地下内部で連続していると判断できる。
著者
数野 渚 鈴木 秀和
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.192-197, 2023-08-20 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

底生羽状珪藻タマスジケイソウ属(オビフネケイソウ科)のLuticola tropica (Hustedt) Levkov, Metzeltin and A. Pavlovの生細胞と被殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,新たに以下の形態学的特徴を明らかにした.胞紋の殻内側開孔部は規則的散在型配列の穿孔をもつ薄皮によって閉塞される.半殻帯は最大4枚の帯片から構成され,いずれの帯片も片端開放型で,半殻帯の両端において開放端と閉鎖端が交互に重なる. 第1帯片の接殻帯片は表出部に2列の胞紋列をもち,内接部縁辺には小円鋸歯をもつ.第2帯片から第4帯片も表出部に2列の胞紋列をもち,各帯片の開放端の反対側にある小舌は,上に重なる帯片の開放端を裏打ちする.
著者
数野 渚 鈴木 秀和 溝渕 綾 半田 信司
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.124-133, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

底生羽状珪藻タマスジケイソウ属(オビフネケイソウ科)のLuticola belawanensis Levkov & Metzeltinの生細胞と被殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,詳細な殻微細構造とそれに基づく近縁種との形態学的相違点,そして新たに帯片に関する以下の形態学的特徴を明らかにした.半殻帯は最大4枚の帯片から構成され,いずれの帯片も片端開放型で,半殻帯の両端において開放端と閉鎖端が交互に重なる.第1帯片の接殻帯片は表出部に2列の胞紋列をもち,内接部縁辺には小円鋸歯をもつ.第2帯片から第4帯片も表出部に2列の胞紋列をもち,各帯片の開放端の反対側にある小舌は,上に重なる帯片の開放端を裏打ちする.本種は日本では沖縄から関東の広い範囲に分布し,特に河口の感潮域に生育すると考えられる.
著者
笹野 凪 鈴木 秀和 長田 敬五 神谷 充伸
出版者
植物研究雑誌編集委員会
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.71-76, 2023-04-20 (Released:2023-04-22)
参考文献数
23

淡水域~汽水域に生育する底生羽状珪藻クチビルマガイケイソウ属(フナガタケイソウ科) のSeminavis strigosa (Hustedt) Danielidis & Economou-Amilli の生細胞と被殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,葉緑体の形態と配置や殻微細構造の詳細な記載を行い,帯片構造に関する新知見を得るとともに,近縁種との形態学的相違点を明確にした.さらに,先行研究の観察結果をもとに,以下のi ~iii の属ランクの新たな分類形質を提案した.i) 2 つの葉緑体のうち, 腹側の葉緑体は棒状で,背側の葉緑体は板状である.ii) 殻内面の縦溝極末端は蝸牛舌状をなす.iii) 腹側軸域内面に発達した修飾肋をもつ.
著者
森 貴裕 佐野 正弥 杉山 悟 吉原 四方 寺邑恵 里香 門馬 牧子 水上 創 中原 史雄 羽田野 敦子 藤澤 美亜 小池 潤 鈴木 孝良 松嶋 成志 鈴木 秀和
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.73-75, 2020-12-18 (Released:2021-01-08)
参考文献数
5

A 22-year-old woman who had abdominal pain and diarrhea from 5 days ago got a CT scan in the hospital of origin and had a tumor about 5 cm in the stomach and bleeding. Upper gastrointestinal endoscopy revealed a large gastric submucosal tumor in pylorus. We considered it a malignant gastric submucosal tumor, and performed surgery, it was diagnosed as gastric plexiform fibromyxoma. Gastric plexiform fibromyxoma is a rare gastric mesenchymal tumor first reported by Takahashi et al. in 2007. Gastric plexiform fibromyxoma usually causes nonspecific symptoms of bleeding signs and is often operated on for that reason. However, surprisingly, plexiform fibromyxoma is a benign tumor with no reports of metastasis or recurrence.
著者
渡邊 香 鈴木 秀和
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.709-710, 2012

近年,ロボットの技術の向上・発展を目指した競技大会としてRoboCupが開催されている.RoboCupとは,2050年までにサッカーのワールドチャンピオンチームに勝つことのできるロボットチームの開発を目的とした大会である.RoboCupでは年々自己位置同定技術の重要性が高まっており,ボールをゴールに運ぶだけでなく,フリーキックやパスなどの戦術的な面でも注目されている.サッカーフィールドの環境では様々なセンサを用いることで,自己位置同定に必要な指標を得ることができる.本報告では,周囲情報を用いた基礎的な自己位置同定の構築を行う.
著者
加藤 真亮 川島 久宜 石間 経章 金井 昌二 関 孝史 関 孝史 鈴木 秀和 小保方 富夫
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.887-892, 2012

ピストンフリクション低減のために,ピストンとシリンダ間における油膜挙動の解析が必要である.透明シリンダを持つ可視化エンジンに対しLIF/PIV法を用いて油膜の厚さと速度の同時計測を行った.実験からオイルリング直下のバレル形状がピストンスカート上の油膜に与える影響を明らかにした.
著者
鈴木 秀和 南雲 保
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.60-79, 2013-08-25 (Released:2019-06-20)
参考文献数
35

The diatoms are one of the most successful microalgal groups in both aquatic and terrestrial habitats. They possess architecturally complex and unique siliceous cell walls (valves and girdle bands). There are probably well over ca. 105 species, the vast majority of which are not uniquely identified as such. Historically, most diatomists have long assumed that the diatoms contain two groups, the centrics and the pennates, which can be distinguished by their pattern centres or symmetry and mode of sexual reproduction. Round et al. (1990), however, recognized three classes—Coscinodiscophyceae (centric diatoms), Fragilariophyceae (araphid pennate diatoms) and Bacillariophyceae (raphid pennate diatoms)—giving equal ranking to the raphid pennate diatoms and the araphid pennate diatoms. Recently, an alternative classification to that of Round et al. has been formally presented by Medlin and Kaczmarska (2004), primarily based on molecular data. By combined molecular and morphological support, they proposed two new subdivisions (Coscinodiscophytina and Bacillariophytina), emend the classes Coscinodiscophyceae and Bacillariophyceae and proposed a new class, the Mediophyceae (the CMB hypothesis, Theriot et al. 2009). Howeber, the CMB hypothesis is not universally accepted. The most recent taxonomic revision of the diatoms gives class status to the radial centrics, the multipolar centrics (including the Thalassiosirales), and the pennates. The diatoms have an extensive fossil record and wealth of morphological features upon which to base their systematics and so they are an ideal group in which to study the congruence of molecular, morphological and fossil data sets. Here the current diatom classification at the generic rank (413 genera) is presented based on the taxonomical and nomenclatural information.
著者
鈴木 秀和
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.244, 2018-03-01

Spinopelvic harmonyとは,脊椎と骨盤において良好な矢状面アライメントの調和が得られている状態をいう.脊椎矢状面アライメント異常は腰痛や生活の質(QOL)の低下をきたす1).腰椎矢状面形態は骨盤形態によって規定されており,pelvic incidence(PI)は個人固有の骨盤形態を表す指標として重要である2).また代償の働いていない理想的アライメントは脊椎のみならず関節や軟部組織に対する最小負荷で立位姿勢を保持できると考えられ(cone of economy)3),脊柱変形に対する矯正手術においては理想的アライメントの獲得が目標とされる.Schwabら4)は無症候成人75例の検討で,PIによるlumbar lordosis(LL)の予測式としてPI=LL+9°を提唱,さらに成人脊柱変形術後患者125例の臨床成績を検討し5),sagittal vertical axis(SVA)>50mm,骨盤傾斜(pelvic tilt:PT)>20°とともにPI-LL>9°がoswestry disability index(ODI)約40以上となる指標となることを示し,“Harmony among spinopelvic parameters is of primary importance” と述べている.そして2012年,脊椎骨盤アライメントとhealth related quality of life(HRQOL)に基づく成人脊柱変形の指標として,Scoliosis Research Society(SRS)-Schwab分類が提唱された6).SRS-Schwab分類はSVA,PT,PI-LLをsagittal modefierとし,SVA>40mm,PT>20°,PI-LL>10°がsagittal deformityと定義され,これが現在の成人脊柱変形評価のスタンダードとなっている.しかし,腰椎前弯減少に対する体幹バランス不全の代償は骨盤後傾によってのみならず胸椎後弯減少や下肢関節屈曲によっても行われる.変形矯正手術により腰椎前弯を獲得してもreciprocal changeにより胸椎後弯が増強し矢状面体幹バランス不全が残存することもしばしば認められる.Roseら7)は矯正手術の指標として,胸椎カーブを含めたフォーミュラを提唱しており,Le Huecら8)はC7から膝屈曲による代償まで考慮したフォーミュラ[full balance integrated(FBI)technique]を提唱した.また,わが国においても,各年代のPTの予測式から理想的なPTを得るために必要なLLを算出する浜松フォーミュラ9)や,PI-LLの値がPIにより変化するという解析結果をもとに算出された獨協フォーミュラ10)など,さまざまな算出式が提唱され,いまだ議論されている.また,PTは頚椎矢状面アライメントにも相関があり,頚椎矢状面形態と姿勢異常の関連もあることから11),脊椎手術においては局所や隣接アライメントだけでなく,全脊椎アライメントあるいはバランスを考慮することの重要性が指摘されている.さらに近年は,立位のみならず,若年者や高齢者の坐位における脊椎アライメントの検討も行われ12,13),さまざまな生活動作や姿勢における脊椎アライメント変化も明らかになってきている.しかし,個々の脊椎アライメントは健常者においてもばらつきがあり,また高齢者のspinopelvic harmonyは若年者と同じなのかなど,明らかにすべき課題も多く,さらなる検討が必要である.
著者
津田一磨 鈴木秀和 旭健作 渡邊晃
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.805-811, 2013-07-03

Bluetooth に代表される近距離無線技術の発達により,ホームオートメーションの普及が期待されている.今後,宅内にある近距離無線通信機器を外出先から操作したいという要求が高まると考えられる.しかし,このような機器には通信可能範囲に制限があり,外出先から直接操作することができない.我々は,Bluetooth 機器のハードウェアとソフトウェアの間で交換されるコマンド等をインターネット経由で転送することにより,遠隔地の Bluetooth 機器へ接続する手法を提案している.提案手法により,ユーザは Bluetooth 機器の位置を意識することなく,一般のBluetooth アプリケーションを用いて近傍および遠隔地にある Bluetooth 機器とシームレスに接続することができる.本稿では,提案手法の検証を行うため,Linuxカーネルへのモジュール実装を行った.これにより,Bluetoothのコマンド等をインターネット経由で転送できることを確認した.
著者
保下 拓也 吉松 彰宏 鈴木 秀和 松本 幸正
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.421-422, 2018-03-13

筆者らは,LPWA(Low Power Wide Area)を利用した低運用コストで実現可能なIoTバスロケーションシステムの実現を目指している.LPWAネットワークを構築するための一通信規格であるLoRaWANでは,通信距離を最大にする場合,一度に送信できるデータサイズが11byteに限定されてしまう.この制約下においてバスの走行位置を伝送するために,本稿では位置情報圧縮手法を提案する.GPSから取得した絶対位置情報を特定地点からの相対位置情報に変換し,かつサーバ側で補完可能な情報を削除することにより, データを圧縮する.LPWAネットワークにおいて提案手法を実装した車載器の動作検証を行った結果,LPWAの制約下においても,バスの位置情報を正常に収集できることを確認した.
著者
津田一磨 鈴木秀和 旭健作 渡邊晃
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.405-406, 2014-03-11

Bluetoothに代表される近距離無線通信技術の発達により,ホームオートメーションの普及が期待されている.今後,宅内にある近距離無線通信機器を外出先から操作したいという要求が高まると考えられる.しかし,このような機器には通信可能範囲に制限があり,外出先から直接操作することができない.筆者らは,Bluetooth機器のハードウェアとソフトウェアの間で交換されるコマンド等をインターネット経由で転送することにより,遠隔地のBluetooth機器へ接続する手法を提案している.この手法によると,ユーザはBluetooth機器の位置を意識することなく,一般のBluetoothアプリケーションを用いてシームレスに接続することができる.本稿では,提案手法をLinux PCへ実装し,動作検証を行った結果を報告する.外出先の操作端末が遠隔地にあるBluetooth機器の検出が可能であることを確認した.