著者
美田 敏宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.371-376, 2021 (Released:2021-05-01)
参考文献数
24

マラリアは世界三大感染症のひとつである。アルテミシニンは全ての流行国でマラリアに対する第1選択薬となっている。その導入によってマラリアによる死亡者が減少し、発見者である屠呦呦にはノーベル生理学・医学賞が授与された。しかし10年ほど前からアルテミシニン耐性原虫が出現し、その蔓延が問題となっている。本稿では、アルテミシニン耐性のメカニズムと、耐性遺伝子であるKelch13、そして解明されていなかった両者の間のミッシングリンクについて最新の知見を概説する。
著者
田辺 和裄 平井 誠 本間 一 堀井 俊宏 美田 敏宏 中村 昇太
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、DNAポリメラーゼδの校正機能を欠損させることによって高頻度に突然変異を発生するネズミマラリア原虫Plasmodiumberghei(ミューテーター原虫)を用い、原虫の進化を予測する進化モデル実験系の構築を目指した。ミューテーター原虫に生じた変異をゲノムワイドに解析した結果、変異率は対照原虫よりも75-100倍上昇していた。また、サルファ剤耐性試験の結果から、ミューテーター原虫は薬剤耐性の予測を可能にする新たな研究手法となり得ることが明らかになった。