著者
吉田 修 北川 将之 上田 知亮 石坂 晋哉 油井 美春 長崎 暢子 志賀 美和子 木村 真希子 舟橋 健太 中溝 和弥 田辺 明生 三輪 博樹 伊藤 融 小川 道大 小西 公大 近藤 則夫 森 悠子 和田 一哉 佐藤 仁美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

20人弱の日本のインド政治・社会研究者がインドにおける州への分権化・自治の進展について共同・分担して分析を行った。その研究結果は2014年度アジア政経学会西日本大会で発表するとともに同学会誌『アジア研究』第62巻第4号に特集として掲載され、インド政治が一国家の枠内にありながら州を単位とした比較政治の対象でもありうること、また政治的に進展した分権化が全国レベルでの緩やかな統合を可能にしていることが、インド研究の政治学全体への貢献として提示できることが示された。この成果はインドの「社会経済変化研究所」で国際セミナーを開催することでインド国内にもインパクトを与え、今後の国際共同研究に道を開いた。
著者
長崎 暢子 篠田 隆 粟屋 利江 石坂 晋哉 上田 知亮 舟橋 健太
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、ガーンディーとガーンディー主義、アンベードカルと不可蝕民の運動、インド政治史の研究者が協力して、従来対立的に捉えられてきたガーンディーとアンベードカルの思想と運動を、より広い文脈において捉える試みである。両者には、非暴力的運動という方法や、差別の解消という目的だけでなく、「真の平等」を求める点でも共通点があった。歴史的には、ガーンディーが国際的差別解消としてのインド独立を実現したのに対し、アンベードカルは、ガーンディーの解決できなかった国内的差別解消としてのカースト制度の廃絶を目指し、自ら仏教に改宗することによって、ヒンドゥーイズムを超える、多様で平等な社会への道筋を示そうとした。
著者
舟橋 健太
出版者
日本女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

今年度(平成19年度)は、一昨年度(平成17年度)まで2年間実施した現地(インド)調査の成果を博士論文としてまとめることを主たる研究活動として行った。並行して、学会誌への論文投稿・掲載と、学会にての研究発表を行った。これらの成果は、いずれも、博士論文の一部を担うものである。詳細(具体的内容、意義、重要性)は次の通りである。1.学会誌への論文投稿・掲載日本南アジア学会の学会誌『南アジア研究』第19号に、「仏教徒として/チャマールとして-北インド、ウッタル・プラデーシュ州における『改宗仏教徒』の事例から-」と題する論文を投稿、掲載されるに至った。当論文は、これまで、改宗前の宗教であるヒンドゥー教との断絶を過度に強調していた先行研究に対して、改宗前後の「連続性」に焦点をあてて、かれら「改宗仏教徒」たちの生活実践・儀礼実践を検討したものであり、運動としての仏教ではなく「生活としての仏教」という新たな観点から考察を行ったものである。2.学会にての研究発表2007年6月2、3日に開催された日本文化人類学会第41回研究大会において、「『リザーヴェーション』論再考一北インド、ウッタル・プラデーシュ州における『改宗仏教徒』の事例から-」と題する発表を行った。本発表においては、リザーヴェーション(留保制度)の恩恵から少なからず登場している「エリート」とされるダリト(「不可触民」)について、現地調査のデータをもとに、社会的階層の家族・親族系譜での固定化の指摘と、仏教を媒介としたエリート・ダリトと非エリートとの関係性のありようについて提示・考察を行った。先行研究においても指摘されているエリートの固定化の確認と、これまでは一方的あるいは断絶的な関係とされていたエリートと非エリートとの関係が、仏教を媒介することによって、そうした一面的理解には収まらないことを示した。