著者
井上 芳光 古賀 俊策 近藤 徳彦 上田 博之 石指 宏通 芝崎 学 近江 雅人
出版者
大阪国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ヒトの環境適応能の老化機序を解明するため,全身協関的視点から検討した結果,以下のことが示された.体温調節機序は男女とも,入力系→効果器系→出力系→中枢系の順序で老化し,下肢の汗腺機能は下腿が大腿より,下肢の後面が前面より早期に老化する.老化に伴い非温熱性要因の複合的入力に対する反応が小さくなる.若年者でみられた熱放散反応の性差は老化によって小さくなる.高齢者の汗腺機能の夏へ向けての亢進が若年者より遅延し,また,暑熱下の起立耐性に影響する皮膚血流量調節の関与は高齢者では小さく,夏季における高齢者の血栓形成は若年者より促進される.体温調節機序の入力系や出力系に対して老化遅延策は見出せなかったが,効果器系では運動習慣の確立が有効である.
著者
芝崎 学 森本 恵子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

熱中症対策のための機能性ウェアの提案という視点から研究プロジェクトを企画し,今回は赤外線・紫外線に対する温度感覚と皮膚血流反応および熱失神に関与する血流調節を検討するための4つの研究を計画し,実行した:①温度感覚スケールの改良,②皮膚温度感覚と皮膚血流変化,③紫外線による温度感覚変化,④暑熱曝露時の血流分布.①の成果を②と③で検証し,その有用性を確認した.今後の脳機能評価に関する研究アプローチへの応用が期待できる.また,④では機能性ウェア開発への生理的アプローチの指針を示すことができた.