著者
芝本 武夫 中沢 春治
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.383-390, 1958

アカマツ播種苗について6月下旬から10月中旬にかけて, 4時期にわけて苗木採取を行い,成長量・全灰分・K<sub>2</sub>O・CaO・MgO・P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>・Nについて測定しつぎの結果を得た。<br> 1. 乾物重量の増加は, 8月初旬まではたいしたことがなく,そた以降において急増した。<br> 2. 全灰分の乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに8月初旬に最高であり, 9月初旬10月中旬に減少した。また,いずれの時期においても,肥料区は無肥料区に比して高い値を示した。<br> 3. K<sub>2</sub>Oの乾物百分率は,肥料区では時期による変化はほとんどみられなかつたが,無肥料区では, 6月下旬にひじように低く, 8月初旬以降増加し, 10月中旬に再び減少した。<br> 各時期とも,肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 4. CaO・MgOの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに時期による変化は少なく,各時期を通じて肥料区の方が高かつた。<br> 5. P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>の乾物百分率は,肥料区・無肥料区とも6月下旬に最高であり, 8月初旬以降は低く時期による変化は少なかつた。 6月下旬を除くど,各時期とも肥精区の方が高かつた。<br> 6. Nの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに9月初旬に最高であつた。各時期を通じて肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 7. 各時期の成長最と各成分の分折値から苗木1,000本当りの各成分含有堂を計算すると,各成分とも8月初旬における含有量は種子のそれとたいした差はなかつたが, 9月初旬から10月中旬へと急増した。<br> とくに, K<sub>2</sub>O・Nにおいて著しく増加する。
著者
芝本 武夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.338-345, 1943

(1) 春日井博士水稻用水耕液の反應とヒノキ及びアカマツ苗木の生長との關係に就て實驗した。即ちPH 3.1~4.0區, PH 4.1~5.0區, PH 5.1~6.0區, PH 6.1~7.0區, PH 7.1~8 .0區の5 PH區を設定し,之に2年生苗木を138日間培養し,其の間に於ける苗木の生重量・根元直徑・全長・幹長・根長各増加量を測定した。<br> (2) ヒノキ苗木の生重増加量はPH 5.1~6.0區に最大にして,之に次いではPH 6.1~7.0區, PH 4.1~5.0區, PH 3.1~4.0區の順位になり, PH 7.1~8.0區に於て最小である。PH 4.1~5.0區はPH 5.1~6.0區に比し其の値可成り小にして兩區の間に相當の差が認められろ。<br> (3) ヒノキ苗木の各PH區に於ける根元直徑・全長・幹長・根長増加量は生重増加量程其の差異が顯著でない。根元直徑及び幹長増加量の各PH區間に於ける大小順位關係は生重増加量の場合と全く同様である。根の伸張は各PH區の間に大差なく,從つて全長増加の關係に於ても亦差が少い。<br> (4) アカマツ苗木の生重増加量はPH 5.1~6.0區に最大にして,之に次いではPH 4.1~5.0區, PH 6.1~7.0區, PH 3.1~4.0區の順位になり, PH 7.1~8.0區に於て最小である。其の最大及び最小の値を示すPH區はヒノキ苗木の場合と同様であるが,アカマツ苗木ではPH 5.1~6.0區,及びPH 4.1~5.0區並にPH 6.1~7.0區の3區の間の差は極めて小にして殆んど差異はないと言ふべきであり,又PH 3.1~4.0區及びPH 7.1~8.0區に於ては他PH區に比し極めて小となり,其の程度がヒノキ苗木の場合の比でない點に於て顯著に異る様である。<br> (5) アカマツ苗木の各PH區間に於ける根元直徑・全長・幹長増加量の關係はヒノキ苗木の場合に比し著しく不明瞭である。然し綜合的に考察すれば矢張りPH 5.1~6.0區に於て生長最も良好で,之に次いではPH 4.1~5.0區の様である。<br> (6) ヒノキ苗木に關する本實驗結果は實際にヒノキ人工林について得られた結果とよく一致する。<br> (7) アカマツ苗木に關する本實驗結果も亦アカマツ林について實際に得られる結果とよく一致する様に思はれる。
著者
芝本 武夫 田島 俊雄 大塚 健二
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.87-90, 1961

樹木の精油成分が木材腐朽菌の生育におよぼす影響をみるために,構造既知の数種の精油成分,今回はとくに七員環を有する物質を中心にして抗菌性試験を行なつた。<br> 抗試菌: <i>Coriolus versicolor, Coriolus consors, Tyromyces balsameus, Poria vaporaria, Fomitopsis•pinicola, Trametes sangineus</i><br> 培地:グルコース・ペプトソ寒天培地<br> 各種供試剤の木材腐朽菌に対する発育阻止濃度を要約すれば大体以下のようになる。<br> 0.001~0.01% β-thujaplicin, β-thujaplicin Na salt, β-thujaplicin Ca salt, β-thujaplicin Mg salt, β-thujaplicin Cu salt, β-thujaplicin Zn salt, β-thujaplicin acetate, α-thujaplicin, nootkatin Cu salt, thymol<br> 0.01~0.1% β-thujaplicin Fe salt, β-thujaplicin nitrate, α-thujaplicin Cu salt, thujic acid, nootkatin, p-methoxythymol, carvacrol<br> >0.1%, s-guaiazulene, s-guaiazulene-3-sulfonic acid Na salt, colchicine, cedrol, occidentalol
著者
芝本 武夫 中沢 春治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.392-394, 1960

スギ苗を使つて,尿素の経時的な葉面吸収を追求し,つぎの結果を得た。<br> 1. スギ苗木に0.5%の尿素液を散布した場合, 24時間では十分に吸収が終つたとはいえないが, 48時間経過すれば最高の吸収率に達する。<br> 2. 散布液にK<sup>+</sup>, H<sub>2</sub>PO<sub>4</sub>が共存していても,尿素の吸収を阻害することはない。
著者
芝本 武夫 栗山 旭
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.43-46, 1950

The authors carried this study with woods of Quercus serrata Thunb.<br>containing various quantities of water, using iron retort of about 7 L. capacity. To obtain samples of various moisture contents, the woods were treated in three different ways, as follows;<br>(A) Woods were cut down and air-dried ud to such moisture contents as 40%, 30%, 25%, 10%, and less than 10% respectively.<br>(B) Air-dried wood of lower than 10% moisture content were dipped in water to absorb it fully and then air-dried again up to such moisture content as 40%, 30%, and 25%, respectively.<br>(C) Woods freschly cut down were soon dipped in water to absorb it fully.<br>The authors obtained the foollowing results in this study:<br>(1) In yields of the products of the destructive distillation on weight of the samples, charcoal, acids in distilled liquor (mostly acetic acid) and wood-gas (including loss) increased, and distilled liquor (including settled tar) decreased, according as moisture content of the samples decreased.<br>(2) But moisture content of the samples had not any effect on the yields of these products per weight of the absolutely dry samples.<br>(3) According as moisture content of the samples decreased, concentration of acids in distilled liquor increased.<br>(4) Volumetric gravity of charcoal was largest in the case of wood not air-dried after being cut down.(5) In the destructive distillation, water was distilled almost at 100&sim;150&deg;C in the retort, the wood was decomposed gradually at 150-250&deg;C and then temp-erature rised rapidly, much distilled liquor was run out, and much wood-gas was exhausted at 250-350&deg;C. The wood-gas was composed of CO<sub>2</sub> and CO for the most part at 150-300&deg;C, namely of about 60% CO<sub>2</sub> and 20-30 CO.
著者
芝本 武夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.261-269, 1943

(1) 河北省の臨楡縣北戴河に於ける花崗岩土壤・昌黍縣西關外新居に於ける〓岩土壤・〓縣馮家坎荘に於ける珪岩土壤・盧龍縣第一區第保五郷第49東菜園脇に於ける砂岩及び頁岩土壤の理化學的性質を明らかにし,夫等各土壤に生育せる造林木につき樹幹解析を行ひ其の生長状態を調べ,此の地方に於ける樹木の生長と土壤性質との關係を明らかにせんとした。<br> (2) 之等土壤の機械的組成は基岩の種類及び侵蝕等の關係により若干の差異が認められるが,多くは石礫及び粗砂並に細砂に比較的富み,微砂及び粘土の量は比較的少ない。(3) 腐植は著しく少く,從つて窒素も亦極端に缺乏してゐる。<br> (4) 粘土及び腐植の含量小なる爲,土壤は膠質性小にして,吸濕水分の量及び容水量共に小である。比重は腐植に乏しき爲比較的大である。<br> (5) 加里の含量は一般に大であるが,燐酸の含量は小なるものがある。即ち臨楡縣北戴河に於ける土壤は燐酸に乏しく,〓縣馮家坎荘に於ける土壤も亦比較的少ない。昌黎縣西關外新居に於ける土壤及燐酸含量最も大である。溶脱の程度の差によると考へられる。<br> (6) 土壤の反應は弱酸性乃至微アルカリ性である。<br> (7) 石灰含量は比較的小にして,一般に炭酸鹽としては存在しない。<br> (8) 之等土壤は非石灰質土壤で,アルカリ及びアルカリ土類溶脱せられ,殊に臨楡縣北戴河及び〓縣馮家坎荘の土壤に於て著しい。又土壤層全般に亙り燐酸が溶脱せられてゐる。即ち之等土壤は山東褐色土に屬するものと考へられる。<br> (9) 樹木の生育に對する關係から考察すれば,樹木の生長に對し制限因子として作用するものは水と窒素であると考へられ,窒素含量及び土壤の機械的組成が樹木の生長と最も密接な關係を示してゐる。尚時に燐酸が著しく過小なる場合がある様に考へられる。<br> (10) 之等土壤の肥培法としては先づ以て腐植の増加を圖り,土壤の膠質性を増大せしめることが肝要である。施肥の關係は其の後の問題である。<br> (11) 之等土壤が黄土に比し其の性質を異にする主要なる點は次の如くである。即ち機械的組成に於て之等は石礫・粗砂・細砂多く,微砂及ひ粘土少きに對し黄土では其の關係が逆であり,從て黄土に比し一層膠質性小である。燐酸及び加里の含量も比較的小である。更に又之等土壤の石灰含量は小で且つ炭酸鹽としては殆んど存在しないにも拘はらず,黄土では石灰含量著しく大で且つ炭酸鹽としても含有せられる。黄土は其の反應多くは微アルカリ性であるが,之等土壤には弱酸性を呈するものがある。
著者
芝本 武夫
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.1979, no.13, pp.8-13, 1979
被引用文献数
1
著者
芝本 武夫 南 享二 田島 俊雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.390-392, 1952

From the alcoholic extract of the fruit-body of Fomes pinicola Fr. fungus cere.brin, trehalosey, ergosterin were isolated.
著者
芝本 武夫
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
演習林 (ISSN:04934326)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.105-112, 1995

東京大学演習林100周年記念(2)