著者
芥田 暁栄 伊福 靖
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.243-246, 1963-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB2の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB1およびB2を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B2には特別の作用を示さなかったが、B1の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB1の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。4. B2に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB2の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B1では2%に達せず、B2については前者は15%、後者は5%程度であった。6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB1の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。7. B2については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B2を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB2が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
著者
芥田 暁栄 伊福 靖
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.243-246, 1963

1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB<SUB>2</SUB>の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。<BR>2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB<SUB>1</SUB>およびB<SUB>2</SUB>を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。<BR>3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B<SUB>2</SUB>には特別の作用を示さなかったが、B<SUB>1</SUB>の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB<SUB>1</SUB>の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。<BR>4. B<SUB>2</SUB>に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。<BR>5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB<SUB>2</SUB>の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B<SUB>1</SUB>では2%に達せず、B<SUB>2</SUB>については前者は15%、後者は5%程度であった。<BR>6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB<SUB>1</SUB>の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。<BR>7. B<SUB>2</SUB>については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B<SUB>2</SUB>を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB<SUB>2</SUB>が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
著者
横溝 佐夜子 山本 由美 山下 英代 四谷 美和子 水野 千恵 丸山 悦子 荻野 正子 深蔵 紀子 山田 克子 瓦家 千代子 冨岡 和子 内田 真理子 梶田 武俊 辻 郁代 花崎 憲 生野 世方子 吉村 美紀 芥田 暁栄 山野 澄子 奥田 展子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.43-48, 2002-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15

5種の設定した加熱条件下でじゃがいもを加熱した場合の針入度と官能評価について,以下の結果を得た. 1.針入度による硬さの測定では,測定部位,測定時間による差がみられた. 2.設定した5種の加熱での官能評価では,弱火32分が最もやわらかいと評価されたが,総合評価は3分放置では中火20分が,20分放置では強火16分が最もよい評価となり,加熱条件と官能検査項目や放置時間との影響が確認された. 3.官能評価項目を5種の加熱条件での有意差の表れ方で比較すると,加熱条件の影響を受けやすい項目と,受けにくい項目とに分類できることが認められた. 4.5種の加熱条件における硬さの官能評価と針入度の間には,一致した傾向が認められた.
著者
水野 千恵 四谷 美和子 北山 英子 山田 克子 荻野 正子 山本 由美 内田 真理子 梶田 武俊 安藤 孝雄 生野 世方子 芥田 暁栄 山下 英代 山野 澄子 川内 由美 奥田 展子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.275-280, 2002-08-20
被引用文献数
2

ガスコンロを用い,ガス加熱の条件設定について検討した。1. 都市ガス13Aはガス圧を1.50kPa,6Cは1.00kPa,プロパンガスは2.00kPaとなるようにガス流量を一定にし,水を被加熱体として3段階の火加減における昇温速度,ガス消費熱量の再現性を検討した。ガスの種類が同じ場合,異なった測定場所においても昇温速度,ガス消費熱量に高い再現性が認められた。2. ガスの種類が異なった場合,ガス圧を微調整することにより,昇温速度,ガス消費熱量に再現性かつ普遍性のある加熱条件を設定することができた。3. 設定した基準にしたがってあずきを加熱した場合,水加熱と同様に,いずれの火加減においても昇温速度の再現性があり,あずきの加熱に伴う煮汁の蒸発量,重量と容積の増加においても再現性が認められた。最後に本研究にあたり,終始ご懇切なご指導とご鞭撻をいただきました同志社女子大学名誉教授故林淳一先生に心から感謝を捧げます。