著者
芦谷 道子 友田 幸一 土井 直 土井 直
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

器質的な難聴を伴わない聴こえの問題をもつ聴覚処理問障害(APD: Auditory Processing Disorder)の小児に対し、医師と臨床心理士が心身両面からの評価と支援を試みた。多くの事例で問題は多軸にわたっており、心身にわたる多軸的評価と、多職種協働による支援システムの必要性が考察された。聴覚処理障害事例では補聴システムの利用や学校や家庭との連携による環境調整が有効であった。また多くは二次的に機能性難聴を併発しており、心理療法が有効であった。欧米におけるAPD評価支援システムの標準的確立をモデルに、日本においても特別支援教育への位置づけを踏まえた評価、支援の充実が望まれる。
著者
井野 千代徳 芦谷 道子 南 豊彦 浜野 巨志 中川 のぶ子 多田 直樹 小野 あゆみ 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.194-200, 2003-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

昨今うつ病の増加が指摘されている。特に軽症うつ病の増加が注目されている。軽症うつ病とは身体症状が強いことに特徴があるが、その身体症状の中に耳鼻科医にとってなじみ深いものが多い。そこで、耳鼻咽喉科とうつ病との関係を調べた。対象とした疾患は耳鼻科医が一般外来でしばしば遭遇する疾患の中でその発症に心因性要素が関与するとされる疾患ないし症状のうち突発性難聴、低音障害型感音難聴、めまい、耳鳴、Bell麻痺、顎関節症、口内異常感症を対象とした。方法はSDSを用いた。結果、306人中56人がうつ病の範囲に入った。検査期間の4カ月に少なくても56人のうつ病患者が耳鼻科を受診したことになる。疾患別では口内異常感症が最もSDS値が高く、50例中23人46%がうつ病と判定された。他疾患がすべて18%未満であることより驚異的に高い数値と思われた。これからさらにうつ病の増加が指摘されている。耳鼻科医も積極的に対応すべきと考えている。