著者
近藤 直子 花田 勝美 榊 幸子 松中 浩
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.173-178, 2005
被引用文献数
1

皮膚の乾燥症状を有するアトピー性皮膚炎または乾皮症の患者26例に対し,オリゴマリン<sup>®</sup>をそれぞれ含んだ3種類のスキンケア製剤(ローション,ボディクリーム,ハンドクリーム)の使用試験を実施し,その安全性と有用性を検討した。オリゴマリン<sup>®</sup>は,海水からナトリウムなどを減量し亜鉛やセレンなどの微量元素を多く含む化粧品(医薬部外品)原料である。8週間の使用において,ボディクリームを使用した乾皮症の1例に軽いそう痒と炎症を認めたが,それ以外のすべての症例で安全性を確認した。また有用性は,皮膚所見,表皮角層水分量および角層細胞の形態観察にて評価した。その結果,本試験に供した3種類のスキンケア製剤は,乾燥性皮膚に対し安全に使用でき,かつ皮膚症状を改善するとともに,角層のバリア機能を向上させ得ることが明らかとなった。
著者
大熊 達義 佐藤 洋湖 湯浅 光悦 幡手 雄幸 長内 智宏 石田 正文 渡辺 孝芳 高梨 信吾 金沢 武道 小野寺 庚午 花田 勝美 方山 揚誠 工藤 一 藤田 〓 松井 哲郎 吉田 穣
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.1213-1221, 1983-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13

A 32-year-old taxi driver was admitted with complaints of coughing and exanthema. The respiratory symptoms and exanthema had appeared in April, 1980 and he had been tatooed on his back and arms about a year previously. His tatoo was composed of four distinctive colours (red, yellow, green and black). Exanthema was seen in only the red, yellow and green parts. Bilateral axillar and cervical lymph nodes were palpable. Chest X-ray films revealed diffuse shadows in both lung fields. Serum and urine test were normal. a biopsy of skin tissues and a lymphotic gland showed granulomatous changes caused by the tatoo dyes. Analysis of the dyes suggested that the red coloring matter consisted of organic mercury.Pathological findings of the specimen obtained from a lung biopsy showed thickening of the alveolar wall, with infiltration of lymphocytes and epitheloid granuloma. Electron microscopy showed that the tatoo dyes were localized in his skin, lymph nodes and lung. We concluded that this was a case of diffuse, granulomatous interstitial pneumonia due to his tatoo.
著者
花田 勝美 山本 雅章
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, 1980

中心静脈栄養施行中みられた後天的 Zn 欠乏症3例について,毛髪,爪甲内 Zn の経時的変化を観察し,併せて,患者毛髪の光顕的観察,健常人毛髪断面の Zn 元素分析を試みた.その結果, Zn 療法後,毛髪,爪甲の Zn は血清 Zn に平行して上昇する傾向がみられ,とくに爪甲では Beaus line の出現を境として上昇を示していた.患者毛髪では毛髄の消失が著明であったが,健常人毛髪における X 線分析では毛髄にとくに高い Zn 分布はみられず,Zn 欠乏症患者毛髪の Zn 低下が毛髄の消失によるものでないことが知られた.毛髪,爪甲内 Zn 測定は,Zn 欠乏症の生体内 Zn蓄積を知る上で簡便な非観血的方法と思われた.
著者
花田 勝美 竹下 繁
出版者
九州大学
雑誌
九州大学農学部農場研究資料 (ISSN:03863522)
巻号頁・発行日
no.13, pp.32-37, 1991-03

地中海沿岸の山地や丘陵地を原産地とするシクラメンは冷涼寡雨の気候を好む植物である。それゆ え,我が国の夏季の6,7,8月及び9月の気温が30℃を越す環境下でのシクラメンの栽培は花芽の 分化と開花を著しく抑制すると言われている。 本調査は例年にない暑さに見舞われた1990年と,平均的な夏季の気温で経過したと考える1988, 1989の両年のシクラメンの時期別販売鉢数を調査し,比較することにより,1990年の夏期の高気温が シクラメンの生育と開花に与えた影響を検討したものである。その結果, (1)1990年の夏季は最高気温38℃を記録し,30℃以上の日が73日にも及び,1988年及び1989年の約 2倍の日数であった。 (2)1990年は1988,1989の両年に比較して,アカダニとハスモンヨトウが異常に発生した。 (3)1990年のシクラメンは1988年,1989年に比較して,初出荷と出荷最盛期が約1ケ月遅れた。 以上の如く,西南暖地におけるシクラメンの栽培は,平坦地では夏季の気温が30℃を越える日数が 40~50日以上になると,シクラメンの開花時期が遅延してくるものと推察される。このことは,シク ラメンは年内に販売すべしと言う鉄則に反することになり,シクラメンの栽培農家にとっては高冷地 栽培を含めた夏季の高温の回避策の検討が強く望まれる。