著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.
著者
陰山 敏昭 澤 邦彦 若尾 義人 武藤 眞 渡辺 俊文 宮田 雄吉 下山 和哲 鈴木 立雄 高橋 貢
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.65-70, 1993

犬の僧帽弁閉鎖不全症 (MR) は小型犬に多く認められる傾向にある。そこで本邦で飼育頭数の多いマルチーズのMRの発生状況について疫学的検討を行った。対象は1986年1月より1991年1月の5年間に来院したマルチーズのうち, 生存例392例と死亡例68例の計460症例について検討を加えた。診断方法は聴診において僧帽弁口部に最強点を有する収縮期逆流性雑音の聴取された症例に対して, 単純X線検査あるいは断層心エコーでMRを診断した。その結果, 症例数に雌雄差は認められなかった。聴診上, 収縮期逆流性雑音が聴取された症例は全症例の23.5%であり, 心雑音症例の97%がMRと診断された。MR症例における雌雄比は1 : 1.4と雄に多く発生する傾向が認められた。年齢との関係に関しては, 心雑音が最初に指摘された年齢は5歳齢が最も早かったが, 最多聴取年齢は9歳であった。また, 死因に関しては, 心不全で死亡した割合は雄では54%, 雌では32%であり, 心不全で死亡する割合も雄の方が高い傾向が認められた。
著者
三品 美夏 渡邊 俊文 藤井 康一 前田 浩人 若尾 義人 高橋 貢
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.989-993, 1997-11-25
被引用文献数
8

麻布大学附属動物病院に来院した犬152頭 (正常群102頭, 腎疾患群13頭, 心疾患群37頭) に対し, オシロメトリック法を用い, 最高血圧, 平均血圧, 最低血圧, 心拍数の測定を行った. オシロメトリック法で測定した血圧および心拍数は, 正常群では測定回数を重ねるに従い低下し, 安定する傾向が認められた. 前腕部と尾根部において血圧および心拍数を測定したところ, 両者間での測定値に有意差は認められなかった. 性差に関して雄は, 雌に比較して有意 (p<0.05) に高値を示した. 年齢と血圧の関係は認められなかった. 正常群および疾患群の心拍数と血圧の検討では, 各群間で心拍数には差は認められなかったが, 最高血圧, 平均血圧, 最低血圧のすべてにおいて正常群, 心疾患群に比較して腎疾患群は有意 (p<0.05) に高値を示した. このことから, 犬における腎疾患の症例では高血圧が発症していると考えられた.