著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.
著者
今田 康大 高田 雄一 高橋 貢 河治 勇人 﨑山 あかね 宮本 重範
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101810, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 頸部痛患者に対しての治療は頸椎へのアプローチが一般的であるが、上位胸椎モビライゼーションが頸部痛や頸椎可動域を改善すると報告されており治療の一手技として行われている。しかし、一般的に行われる頚椎間歇牽引療法と上位胸椎モビライゼーションが頸部痛患者に与える影響について比較検討した報告はない。本研究の目的は、頚椎間歇牽引療法のみの治療と、頚椎間歇牽引療法と上位胸椎モビライゼーションを併用した治療の即時効果を頸椎可動域、頸部運動時痛、自覚的改善度で治療前後と群間で比較しその効果を検討することとした。【方法】 対象は頸部運動時痛を有する頸部痛患者16名(男性5名、女性11名)で年齢54.3±12.5歳、身長157.4±8.7cm、体重55.6±17.8kgであった。対象者は頚椎間歇牽引療法のみ群(牽引群)と頚椎間歇牽引療法+上位胸椎モビライゼーション併用群(胸椎mobi併用群)に無作為で群分けした。頚椎間歇牽引療法はTractizer TC-30D(ミナト製)を使用し、端坐位にて牽引力を体重の1/6、牽引10秒、休止10秒の計10分間施行した。胸椎モビライゼーションは対象者を腹臥位としTh1-6胸椎棘突起を後方から前方へKaltenborn-Evjenth consept gladeⅢの強度で各分節30秒間ずつ同一検者が行った。両群ともに治療介入前後で端坐位にて頸椎自動屈曲・伸展・側屈・回旋可動域を日本整形外科学会可動域測定に基づきゴニオメーターにて測定した。さらにその際頸椎自動運動時の頸部痛をVisual analog scale(VAS)にて測定した。また治療介入後自覚的改善度を日本語訳したThe Grobal Rating of Change(GROC:-7ものすごく悪くなった~0変わらない~+7ものすごく良くなった)にて聴取した。統計学的解析はSPSSver.11を使用し、治療介入前後比較は両群の頸椎可動域とVASをWilcoxonの符号付き順位検定にて行い、群間比較は対象者の基本情報と頸椎可動域とVAS及びGROCをMann-Whitney 検定にて行った。さらにGROCと頸椎可動域及びVASの変化との関係をSpearmanの相関係数にて調査した。有意水準は全て5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者にはヘルシンキ宣言に基づき、本研究目的と方法と手順やリスク及び個人情報の取り扱いについて口頭及び書面にて説明し同意を得た。【結果】 対象者は牽引群8名、胸椎モビライゼーション併用群8名で性別、年齢、身長、体重に群間に有意差はなかった。介入前後比較(介入前、介入後)では牽引群の頸椎伸展VAS(47.5±23.4mm、40.5±24.8mm)で有意差がみられ、胸椎mobi併用群の頸椎伸展可動域(53.1±8.1度、59.6±7.0度)、右回旋可動域(60.5±17.8度、69.4±11.6度)と頸椎伸展VAS(40.1±34.0mm、23.5±29.8mm)、右側屈VAS(24.9±18.2mm、15.4±14.1mm)、右回旋VAS(19.0±21.1mm、6.8±9.4mm)で有意差がみられた。治療の群間では頸椎可動域、VAS、GROCに有意な差はみられなかった。GROCと頸椎可動域及びVASの変化の関係性はGORCと頸椎伸展VASが中等度の負の相関(r=0.69)で最も強くみられた。【考察】 本研究では両群間差がみられず胸椎モビライゼーションと頚椎間歇牽引療法に治療的な効果の差がみられなかったが、治療前後比較では頚椎間歇牽引療法のみの治療で頸椎伸展VASの軽減はみられ、さらに上位胸椎モビライゼーションを併用することにより頸椎可動域(伸展・右側屈・右回旋)の増加がみられた。またGROCと頸椎伸展VASに最も強い相関がみられたことから頸椎伸展運動の改善が患者の自覚的改善度を増加させることが示唆された。胸椎mobi併用群が伸展可動域と伸展VASの改善を示したことからも胸椎モビライゼーションは頸部痛を主観的及び客観的両面で改善させる可能性があると考えられる。今後は本研究の限界である胸椎モビライゼーションによる頸椎可動域や疼痛の変化の要因の究明や、疾患や痛みの評価を詳細に行うことでより効果的な頸部痛治療法を検討していく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】 頸部痛患者に対する頚椎間歇牽引療法と上位胸椎モビライゼーション併用群は頚椎間歇牽引療法のみの治療よりも即時的に主観的及び客観的に頸部運動時痛を改善し得る。
著者
陰山 敏昭 澤 邦彦 若尾 義人 武藤 眞 渡辺 俊文 宮田 雄吉 下山 和哲 鈴木 立雄 高橋 貢
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.65-70, 1993

犬の僧帽弁閉鎖不全症 (MR) は小型犬に多く認められる傾向にある。そこで本邦で飼育頭数の多いマルチーズのMRの発生状況について疫学的検討を行った。対象は1986年1月より1991年1月の5年間に来院したマルチーズのうち, 生存例392例と死亡例68例の計460症例について検討を加えた。診断方法は聴診において僧帽弁口部に最強点を有する収縮期逆流性雑音の聴取された症例に対して, 単純X線検査あるいは断層心エコーでMRを診断した。その結果, 症例数に雌雄差は認められなかった。聴診上, 収縮期逆流性雑音が聴取された症例は全症例の23.5%であり, 心雑音症例の97%がMRと診断された。MR症例における雌雄比は1 : 1.4と雄に多く発生する傾向が認められた。年齢との関係に関しては, 心雑音が最初に指摘された年齢は5歳齢が最も早かったが, 最多聴取年齢は9歳であった。また, 死因に関しては, 心不全で死亡した割合は雄では54%, 雌では32%であり, 心不全で死亡する割合も雄の方が高い傾向が認められた。
著者
藤井 勇 高橋 貢 鈴木 立雄 北 昂
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.19, no.8, pp.324-327, 1966-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

An 8-month-old collie dog was Suspected to be affected at the heart, presenting specific edema at the lower parts of the limbs and metallic presystolic murmurs. Electrocardiography revealed the dilatation of the left auricle and the left ventricle. In its heart, as compared with the normal organ, inside pressure was high on the venous side and low on the arterial side. From these findings, this dog was diagnosed as a case of functional failure of closure of the mitral valve induced by the dilatation of the left ventricle. Autopsy lent support to this diagnosis, revealing the dilatation of the left auricle and ventricle and mild thickening of the mitral valve.
著者
三品 美夏 渡邊 俊文 藤井 康一 前田 浩人 若尾 義人 高橋 貢
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.989-993, 1997-11-25
被引用文献数
8

麻布大学附属動物病院に来院した犬152頭 (正常群102頭, 腎疾患群13頭, 心疾患群37頭) に対し, オシロメトリック法を用い, 最高血圧, 平均血圧, 最低血圧, 心拍数の測定を行った. オシロメトリック法で測定した血圧および心拍数は, 正常群では測定回数を重ねるに従い低下し, 安定する傾向が認められた. 前腕部と尾根部において血圧および心拍数を測定したところ, 両者間での測定値に有意差は認められなかった. 性差に関して雄は, 雌に比較して有意 (p<0.05) に高値を示した. 年齢と血圧の関係は認められなかった. 正常群および疾患群の心拍数と血圧の検討では, 各群間で心拍数には差は認められなかったが, 最高血圧, 平均血圧, 最低血圧のすべてにおいて正常群, 心疾患群に比較して腎疾患群は有意 (p<0.05) に高値を示した. このことから, 犬における腎疾患の症例では高血圧が発症していると考えられた.