- 著者
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若田 忠之
齋藤 美穂
- 出版者
- 一般社団法人日本色彩学会
- 雑誌
- 日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.147-158, 2015-07-01
本研究ではPCCSトーンおよび音楽の調性の変化に伴う高音の変化に着目し,それらの調和関係と印象次元における関係を検討することを目的とした.実験1では音楽刺激として2つの曲を8つの調性に変化させた刺激および色刺激としてPCCSトーンを用いた.被験者は刺激の印象評価を行い,音楽刺激に対する調和色の選択を行った.その結果,音楽の高さと色の明度の間に関連が見られた.そこで,実験2では音楽刺激の音域を拡げた上で再度検討を行った.その結果,色と音楽に共通する印象次元として,力量性因子,活動性因子が見られた.力量性は明度および音の高さと,活動性は彩度と対応することが示された.活動性因子と対応する音楽の属性は本研究からは明らかにすることはできなかった.音楽の印象は主に高音の変化に伴っており,これらは与えられた刺激の中で相対的に評価されていることが示唆された.本研究からは,"cross-modal研究においてPCCSトーンは感覚間のイメージをつなぐ表象として用いることができる可能性が示唆された.