著者
古賀 雄二 茂呂 悦子 有田 孝 小幡 祐司 川島 孝太 雀地 洋平 古厩 智美 藤野 智子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.47-56, 2018-03-01 (Released:2018-06-02)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

適切な診療報酬請求を行う上で,せん妄患者の明確化は不可欠である.平成28年度診療報酬改定後のせん妄評価およびせん妄ケアの現状調査を行うことを研究目的として,「急性期に密度の高い医療を必要とする状態」の患者を多くケアするクリティカルケア看護専門団体(急性・重症患者看護専門看護師,集中ケア認定看護師,救急看護認定看護師)の全会員を対象に,平成28年度診療報酬改定後のせん妄評価・ケアの現状を調査した.Web式無記名式質問紙調査を行い,単純集計と質的記述的分析を行った.対象者数1,798人,回答率9.6%,有効回答率100%であった.周術期全体で継続的に妥当性・信頼性のあるせん妄評価は行われていなかった.診療報酬請求の適切性の向上のために,せん妄評価ツールの導入に加えて,ツール評価精度の維持が重要であり,学会等を通じた教育支援を行う必要がある.また,看護必要度を通した医療経済的・政策的なせん妄評価定着への支援は,多職種連携・チーム間連携が進むせん妄ケアの共通言語化を促し,患者ケアを推進する可能性がある.
著者
高澤 一平 川人 宏次 横田 彩子 西村 芳興 市田 勝 新保 昌久 野口 康子 清水 堅吾 茂呂 悦子 落合 久美子 中山 鈴子 関野 敬太 繁在家 亮 鳥越 祐子 上木原 友佳 新藤 靖夫 苅尾 七臣 三澤 吉雄
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学紀要 (ISSN:1881252X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.29-34, 2014

症例は51歳男性。感冒症状で発症し前医を受診した。心電図所見等から急性心筋梗塞を疑われ緊急冠動脈造影を施行されたが,有意病変を認めず急性心筋炎の診断で同日当院へ緊急搬送された。来院時循環虚脱状態であったため直ちに挿管し,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support:PCPS)と大動脈内バルーンパンピングを導入した。3日間のPCPSによる呼吸循環補助にもかかわらず心不全,多臓器不全が進行したため,両心補助人工心臓(ventricular assist device: VAD)を導入した。以後,状態は安定し術後38日目に右心VADから離脱,術後64日目には血液透析からも離脱したが,左心機能は回復せず左心VADに依存する状態となった。術後7か月目に移植登録を行いVAD装着下での移植待機となったが,術後631日目(入院後634日目)に広範な脳出血で失った。本症例は当院で初めてのVAD導入患者であり,その治療過程で,担当医である心臓外科医,循環器内科医を中心として,CCU/病棟看護師,急性重症患者看護専門看護師,皮膚排泄ケア認定看護師,臨床工学士,理学療法士/理学作業士,精神科医/臨床心理士,社会福祉士,薬剤師,管理栄養士,感染制御部からなる治療チームが形成されてゆき,多業種間の垣根をこえたチーム医療の結果,長期生存を得ることができた。当院における今後の重症心不全治療の方針を具体化したという点で意義があると思われるので報告する。
著者
古賀 雄二 植村 桜 伊藤 聡子 井上 和代 大西 純子 小幡 祐司 杉江 英理子 杉野 由起子 藤野 智子 古厩 智美 茂呂 悦子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.37-48, 2017-03-31 (Released:2017-04-19)
参考文献数
18
被引用文献数
2

クリティカルケア領域のせん妄ケアにおける急性・重症患者看護専門看護師(CCNS)の役割に関する実態調査(研究以外)を目的に自記式質問紙調査を行い,質的帰納的に分析した.その結果,実践29個,相談8個,調整5個,倫理調整2個,教育8個のカテゴリーが抽出された. CCNSのせん妄ケアはせん妄予防ケア・発症後ケア・離脱後ケアの3局面に対して,『せん妄要因のモニタリングと管理ケア(基盤的要素)』・『認知と生活リズムの再構築ケア(核心的要素)』・『Patient-Family empowerment(補完的要素)』により構成され,螺旋的に有機的相互作用を続けながら,せん妄リスクファクターからの解放と患者生活の再構築を促進していた.また,CCNSは家族をケア提供者として捉えてせん妄ケアチームへの参画を促し,せん妄にチームで取り組む体制を構築していた. CCNSのせん妄ケアは,患者ニードの追求とそれに基づく看護ケアに包含され,せん妄ケアの方向性は自己実現のニードの具体形である患者生活の再構築であることから,包括的患者生活管理である.