著者
杉本 秀樹 越智 由紀恵 浅木 直美 諸隈 正裕 加藤 尚 荒木 卓哉 ホセイン シェイク タンヴィ-ル
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.246-252, 2019-10-05 (Released:2019-11-12)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近年,クラゲが日本近海に大量発生し,水産業や臨海施設に大きな被害を与えているが,このクラゲを脱塩・乾燥した細片(クラゲチップ)を水田に施用すると肥料効果だけでなく抑草効果を併せ持つことが示された.しかし,収量が慣行栽培(化成肥料,除草剤使用)より約10%低いこと,抑草効果が不十分でかつ不安定であることなど実用化に向けての様々な課題が指摘された.そこでクラゲチップと同様に2つの効果を併せ持ちながら含有成分や肥料効果の発現時期の異なる米ぬかに着目し,これをクラゲチップと併用して試験を行った.その結果,クラゲチップを単独に施用した場合に比べ,両者を併用した場合には収量は慣行栽培とほぼ等しく雑草発生量は顕著に減少した.本研究よりクラゲチップと米ぬかを併用することで,慣行栽培なみの収量が得られ,抑草効果も顕著に高まることが明らかになった.収量性の向上は,両者の成分含有率と肥料効果発現時期の違い,抑草効果の向上は両者がそれぞれ持つ成長抑制物質の違いによる相乗効果に起因したと考えられた.
著者
松田 佳紀 堀内 千歌 荒木 卓哉
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.121-130, 2011-03-25

中心市街地の衰退は全国各地で問題になっている。本報告書で取り上げた熊本県八代市本町商店街も郊外大型店舗の進出やモータリゼーションの発達により衰退の一途を辿っている。著者らは高校生と成人を対象としたアンケート調査および実地調査、八代市本町商店街関係者からの聞き取り調査を実施し八代市中心市街地の現状を調査した。調査結果から、中心市街地が生活の拠点としての役割を失っており、高校生に対するアンケート調査では「中心市街地がどこにあるか知らない」という意見まで見られた。調査から確認された消費者の需要をもとに八代市中心市街地活性化策を考案した。商店街に新たな役割を付与することを「元気と潤いのあるまちづくり」と定義付けを行い、本論を展開する。最終的に八代市本町商店街関係者とのディスカッションを経て「一口店主制」を提案する。This paper describes the process of the downtown revitalization project in Honmachi shopping street, Yatsushiro city, and Kumamoto prefecture. There are a number of run-down downtowns across Japan including the Honmachi shopping street. We administered a questionnaire and conducted field observations in order to grasp the situation and yield ideas for the revitalization of the shopping street. Based on the results from these research activities, we propose the "Unit storekeeper system."
著者
小林 哲夫 森 牧人 長 裕幸 荒木 卓哉 安武 大輔 北野 雅治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

半乾燥地の黄河上流域(甘粛,中国)に実験圃場を設置し,また日本における室内実験を併用して,二種類の塩類化土壌の改良技術,すなわち灌漑畑地の塩類化プロットから塩類を除去する有効な技術として著者によって提案されたPSW-Well法と,土壌からの塩類吸収能力が高い作物(クリーニングクロップ)の栽培に基づく生物学的改良法,についての実験を行った.その結果,両方法が有効に機能するための必要条件が示された:(1)PSW-Well法は,流域内の帯水層系が均質で,宙水面が発達しないことが有効に機能するための必要条件である.(2)クリーニングクロップは,塩類をよく吸収するだけでなく,水要求度が低いことが必要である.