著者
杉本 秀樹 越智 由紀恵 浅木 直美 諸隈 正裕 加藤 尚 荒木 卓哉 ホセイン シェイク タンヴィ-ル
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.246-252, 2019-10-05 (Released:2019-11-12)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近年,クラゲが日本近海に大量発生し,水産業や臨海施設に大きな被害を与えているが,このクラゲを脱塩・乾燥した細片(クラゲチップ)を水田に施用すると肥料効果だけでなく抑草効果を併せ持つことが示された.しかし,収量が慣行栽培(化成肥料,除草剤使用)より約10%低いこと,抑草効果が不十分でかつ不安定であることなど実用化に向けての様々な課題が指摘された.そこでクラゲチップと同様に2つの効果を併せ持ちながら含有成分や肥料効果の発現時期の異なる米ぬかに着目し,これをクラゲチップと併用して試験を行った.その結果,クラゲチップを単独に施用した場合に比べ,両者を併用した場合には収量は慣行栽培とほぼ等しく雑草発生量は顕著に減少した.本研究よりクラゲチップと米ぬかを併用することで,慣行栽培なみの収量が得られ,抑草効果も顕著に高まることが明らかになった.収量性の向上は,両者の成分含有率と肥料効果発現時期の違い,抑草効果の向上は両者がそれぞれ持つ成長抑制物質の違いによる相乗効果に起因したと考えられた.
著者
平林 達也 杉本 秀樹
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.69, no.Suppliment, pp.24-25, 2006-06-02 (Released:2011-02-17)
参考文献数
2

Color images recorded on photographic films are inherently vulnerable to aging regardless of their highly cultural or historic values. Their colors inescapably fade away in storage. A totally analogue method utilizing the masking technique of tri-color separation is developed and proposed here in below to perfectly restore faded original color film images.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.39-44, 1999-03-05
参考文献数
16
被引用文献数
7

夏季における新ソバ供給と水田の高度利用を目的にした, 西南暖地における夏ソバ栽培技術の確立に関する研究の一環として, 播種期の違いが夏ソバの生育ならびに収量に及ぼす影響について調査した. 普通ソバ品種キタワセソバの種子を, 愛媛大学農学部内の雨よけビニルハウスに設置したポットに3月中旬から6月初旬まで10日ごとに播種した. 播種期が遅くなるほど開花数は増加したが, 結実率の著しい低下により粒数が減少し, さらに千粒重も低下して子実重は減少した. 特に, 開花始〜成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えると結実率は顕著に低下した. したがって, 西南暖地における夏ソバの播種は, 遅霜の心配がなければできるだけ早く, かつ開花始〜成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えない時期までに終える必要があることが明らかになった. さらに, 瀬戸内地域においては遅霜と梅雨入り時期ならびに上記臨界温度を考慮すると, 播種期は3月下旬から4月中旬に限定されること, 4月中旬までに播種すれば収穫は6月初旬となり, 初夏には新ソバの供給ができるばかりでなく, その後作に水稲はもちろんダイズ, 飼料作物などの栽培も可能となり, ソバを水田における輪作体系に組み込むことができることも明らかになった.
著者
佐藤 亨 宮内 英治 杉本 秀樹
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.305-310, 1988-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

サトイモの3つの型, 子イモ用品種(石川早生, 女早生), 親子イモ兼用品種(赤芽), 親イモ用品種(台湾芋)を圃場栽培し, 乾物生産およびイモ肥大特性を調査した. 1. 品種間で個体生長量に大差がみられた. イモ重の推移では, 子イモ用品種では, 子・孫イモの肥大が目立ち, 赤芽では親・子イモが, 台湾芋では親イモの肥大が生育末期まで続いた. 2. 乾物生産速度とイモ生産速度との関係は, 生育の前半と後半に分けられ, とくに, 赤芽と台湾芋では生育後半にイモ肥大によって乾物生産速度が高められた. 3. イモ生産速度と葉面積指数との関係は, 赤芽と台湾芋で葉面積指数が高くなることによってイモ生産速度が高まることが示唆された.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨 西原 定照 成松 克史
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.605-610, 1989-12-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
17
被引用文献数
5 5

本実験は, 尿素の葉面散布がダイズの湿害軽減に有効か否かを明らかにするために行ったものである。ポット栽培したダイズ (タマホマレ) を供試し, 開花期に湿潤 (地下水位5~7 cm), 湛水 (地上水位2~3 cm) ならびに適湿の各区を設け, 1%尿素液を葉面散布した。土壌の過湿処理は7日間, 葉面散布は14日間それぞれ継続した。湿潤ならびに湛水区では, 散布により葉身の窒素含有率が増加して光合成速度が高まり, 乾物生産が増大した。また, 莢数と百粒重が増加して子実収量も増大した。特に, 湿潤区では散布により, これらは対照区 (適湿・無散布) とほぼ同様の値となった。一方, 適湿区では散布効果は小さかった。以上の結果, 開花期のダイズは地下水位が5~7 cm程度の過湿条件におかれても, 尿素の葉面散布により障害をほぼ回避でき, また7日間湛水条件におかれたような場合でも, 散布により障害がある程度軽減されることが示唆された。
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.47-52, 1993-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
24
被引用文献数
7 6

本研究は, 窒素追肥がダイズにおける過湿障害の軽減に有効か否かを知るために行った. まず, 水田転換畑でダイズ品種タマホマレを栽培し, 花芽分化期に畦間に5~8cmの深さに水を溜めて8~11日間過湿処理を行い, 過湿処理終了後に硫安を窒素成分で12gm-2追肥した. 過湿・無追肥区における子実収量は無過湿・無追肥区に対して20%低下したが, 窒素追肥を行った過湿・追肥区では, 6%の低下に留まった. これは, 莢数減少の度合が軽減されたことに起因した. 次に, 窒素追肥によって莢数減少の度合が軽減されるメカニズムについて調べた. 水田土壌を充填したポットにタマホマレを栽培し, 花芽分化期に地下水位が5~7cmとなるようにポットを水槽につけた湿潤区, 地上水位が2~3cmとなるようにした湛水区, ならびに適宜灌水した適湿区を設け, 7日間の過湿処理終了後に, 各区のポットの半数に硫安をポット当り5g追肥した. 湿潤・無追肥区と湛水・無追肥区では, 葉身窒素含有率の減少が光合成速度の顕著な低下を招いたが, 窒素追肥をした湿潤・追肥区と湛水・追肥区では, 全窒素同化量が増大し, 葉身窒素含有率が上昇して光合成速度が増大した. 光合成速度の増大 (光合成産物の増大) は, 花器脱落の抑制をもたらし, その結果莢数減少の度合が軽減されたものと考えられた. 以上のように, 花芽分化期に過湿処理をしたダイズに窒素追肥を行ったところ, 子実収量の減少が軽減されたが, これは光合成速度増大による花器脱落の抑制に起因したと考えられた.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨 西原 定照 成松 克史
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.p605-610, 1989-12
被引用文献数
4

本実験は, 尿素の葉面散布がダイズの湿害軽減に有効か否かを明らかにするために行ったものである。ポット栽培したダイズ (タマホマレ) を供試し, 開花期に湿潤 (地下水位5〜7 cm), 湛水 (地上水位2〜3 cm) ならびに適湿の各区を設け, 1%尿素液を葉面散布した。土壌の過湿処理は7日間, 葉面散布は14日間それぞれ継続した。湿潤ならびに湛水区では, 散布により葉身の窒素含有率が増加して光合成速度が高まり, 乾物生産が増大した。また, 莢数と百粒重が増加して子実収量も増大した。特に, 湿潤区では散布により, これらは対照区 (適湿・無散布) とほぼ同様の値となった。一方, 適湿区では散布効果は小さかった。以上の結果, 開花期のダイズは地下水位が5〜7 cm程度の過湿条件におかれても, 尿素の葉面散布により障害をほぼ回避でき, また7日間湛水条件におかれたような場合でも, 散布により障害がある程度軽減されることが示唆された。
著者
杉本 秀樹 雨宮 昭 佐藤 亨 竹之内 篤
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.71-76, 1988-03-05
被引用文献数
7

水田転換畑で栽培したダイズ(タマホマレ)の生育各期における土壌の過湿処理が, 乾物生産と子実収量に及ぼす影響について調査した. 処理は花芽分化期, 開花期および登熟中期にそれぞれ8-10日間, 畦間に5-8cmの深さに水を溜めて行った. 乾物生産と子実収量に及ぼす過湿処理の影響は, 生育時期が早いほど著しかった. 花芽分化期処理では主茎の伸長, 葉面積の拡大, 乾物重の増加が著しく抑制されるとともに, 莢数, 稔実莢歩合が低下することによって減収した. 開花期処理では, 栄養器官の生長抑制は軽減されたが, 莢数が低下することによって減収した. さらに, 登熟中期処理では, 黄葉期と落葉期が早められた結果, 乾物生産が減少して, 粒重の低下という形で減収した.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.39-44, 1999
被引用文献数
6

夏季における新ソバ供給と水田の高度利用を目的にした, 西南暖地における夏ソバ栽培技術の確立に関する研究の一環として, 播種期の違いが夏ソバの生育ならびに収量に及ぼす影響について調査した. 普通ソバ品種キタワセソバの種子を, 愛媛大学農学部内の雨よけビニルハウスに設置したポットに3月中旬から6月初旬まで10日ごとに播種した. 播種期が遅くなるほど開花数は増加したが, 結実率の著しい低下により粒数が減少し, さらに千粒重も低下して子実重は減少した. 特に, 開花始~成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えると結実率は顕著に低下した. したがって, 西南暖地における夏ソバの播種は, 遅霜の心配がなければできるだけ早く, かつ開花始~成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えない時期までに終える必要があることが明らかになった. さらに, 瀬戸内地域においては遅霜と梅雨入り時期ならびに上記臨界温度を考慮すると, 播種期は3月下旬から4月中旬に限定されること, 4月中旬までに播種すれば収穫は6月初旬となり, 初夏には新ソバの供給ができるばかりでなく, その後作に水稲はもちろんダイズ, 飼料作物などの栽培も可能となり, ソバを水田における輪作体系に組み込むことができることも明らかになった.
著者
杉本 秀樹 黒野 真伸 高野 圭子 河野 靖 佐藤 亨
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.24-30, 2000-03-05
参考文献数
15
被引用文献数
3

北条市の水田で(瀬戸内平野部)1997年に緑肥レンゲをすき込み夏ソバを栽培したところ, 気象条件に恵まれ無施肥で250g / m^2を越える比較的高い収量が得られた.1998年には北条市と本匠村(九州中山間地)の水田で, 冬季休閑した休閑区とレンゲをすき込んだレンゲ区とを設け夏ソバを栽培した.北条市では, 播種期前後の多雨のため苗立ちが揃わず, 全般に生育も阻害され収量も低かった.この傾向は休閑区で特に著しく, 同区の収穫は皆無に近かった.しかし, レンゲ区では112g / m^2と前年の47%の収穫があった.本匠村では開花期以降の降水量が平年の2.76倍にも達し, 粒数不足のため収量は低く, レンゲ区で219g / m^2, 休閑区ではさらに低く143g / m^2であった.北条市のように生育初期段階に, あるいは本匠村のように開花期以降に土壌過湿仁おかれた場合でも, 夏ソバの生育阻害ならびに減収の度合いはレンゲ区の方が休閑区より少なかった.以上の結果は, 緑肥レンゲの作付けとすき込みが, 夏ソバ栽培にとって有効であること, 夏ソバの湿害を軽減する効果があることを示唆するものである.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.189-193, 2000-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

近年, ソバは転換畑で栽培されることが多くなったが, その栽培上の問題点の一つに湿害がある.ポット栽培した普通ソバ品種キタワセソバを供試して1葉期, 開花期および登熟期に, 畝間に水が溜まった状態を想定した湿潤区(地下水位5〜7cm), 圃場に水が溜まった状態を想定した湛水区(地上水位2〜3cm)ならびに対照区を設け, 処理日数を変えて土壌の過湿処理を行い, これらが収量, 収量構成要素および茎の諸形質に及ぼす影響について調査した.処理による子実重の低下は, 湿潤区, 湛水区とも生育段階が早いほど, 処理日数が長いほど著しかった.湿潤区においては, 1葉期および開花期では3日以内, 登熟期では6日以内の処理なら子実重の低下は10%以内にとどまった.一方, 湛水区においては, 1葉期では1日処理でも, 開花期および登熟期では3日以上で子実収量は顕著に低下した.湿潤区, 湛水区とも1葉期ならびに開花期における子実重の低下は粒数の減少に起因したが, これは植物体の矮小化, とくに分枝の発達不良, ならびに1分枝当たり開花数の不足による分枝開花数の減少が主因であった.湛水区・登熟期処理による子実重の低下は千粒重の低下に起因した.結実率は過湿条件下でも低下せず, 減収要因にはならなかった.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.39-44, 1999-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
16
被引用文献数
3 6

夏季における新ソバ供給と水田の高度利用を目的にした, 西南暖地における夏ソバ栽培技術の確立に関する研究の一環として, 播種期の違いが夏ソバの生育ならびに収量に及ぼす影響について調査した. 普通ソバ品種キタワセソバの種子を, 愛媛大学農学部内の雨よけビニルハウスに設置したポットに3月中旬から6月初旬まで10日ごとに播種した. 播種期が遅くなるほど開花数は増加したが, 結実率の著しい低下により粒数が減少し, さらに千粒重も低下して子実重は減少した. 特に, 開花始~成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えると結実率は顕著に低下した. したがって, 西南暖地における夏ソバの播種は, 遅霜の心配がなければできるだけ早く, かつ開花始~成熟期における日最低気温の平均値が17.5℃を越えない時期までに終える必要があることが明らかになった. さらに, 瀬戸内地域においては遅霜と梅雨入り時期ならびに上記臨界温度を考慮すると, 播種期は3月下旬から4月中旬に限定されること, 4月中旬までに播種すれば収穫は6月初旬となり, 初夏には新ソバの供給ができるばかりでなく, その後作に水稲はもちろんダイズ, 飼料作物などの栽培も可能となり, ソバを水田における輪作体系に組み込むことができることも明らかになった.
著者
佐藤 亨 杉本 秀樹 堀内 悦夫 川合 通資
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会四国支部紀事 (ISSN:0915230X)
巻号頁・発行日
no.21, pp.6-11, 1984-12-25

直播水稲(やや晩播)の生育相を普通期移植のそれと比較し,とくに根の発達の様相と関連させて明らかにしようとした。移植・乾田直播・湛水直播の3区を設け,それぞれ5月16日(6月23日移植)・6月14日・6月17日に播種し,生育と根群(モノリス法による)の様相を調べた。1.地上部の生育(草丈・茎数)は移植区が大であるが,直播区の初期生長は旺盛で,移植区に対し播種期のおくれをとり戻すような形をとる。2.直播区の根数は生育初期から急速に増加し,その速度は移植区よりはるかに大である。3.乾田直播では初期の根の生長は湛水直播に劣るが、濯水すると旺盛になる。直播区の根群の発達は良好で,土壌の表層に分布が密になる。4.生育後期になると,直播とくに湛水直播区の根および地上部の生育が鈍化し,秋落的な傾向をとる。この生育を旺盛に保つには根の活力を維持することが肝要である。