- 著者
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木村 博
荘村 泰治
- 出版者
- 一般社団法人日本歯科理工学会
- 雑誌
- 歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.4, pp.377-384, 1985-07-25
- 被引用文献数
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前報でのべたTi基Ti-V-Fe-Al形状記憶合金の60〜90℃での形状回復率を高めるため, 組成の調整や熱処理を施した.まず, 溶体化処理材ではTi-11V-2Fe-3Al, Ti-11.5V-2Fe-3Al, Ti-11.5V-1.7Fe-3.3Alが150℃以上では良い回復率を示したが80℃ではTi-11.5V-2Fe-3Alの34%が最高であった.しかしTi-11.5V-1.7Fe-3.3Al合金において溶体化処理材を400℃で5秒程度の時効を行った後-15℃で曲げ変形させた所, 80℃では96%の形状回復を示した.これは時効による析出物ですべり変形が抑えられたためと思われる.またこの試料につき室温と80℃で引張試験を行い, その間における回復応力を求めた所, 歪量2%において, 溶体化処理材では8kgf/mm^2であったが, 時効材では17kgf/mm^2と増加した.また時効材の室温での耐力は34kgf/mm^2, 引張強さ70kgf/mm^2であった.回復応力についてはTi-Niの40kgf/mm^2より劣るので, 今後更に改善を試みる.耐食性については, Ti-11V-2Fe-3Alの37℃1%NaCl水溶液中でのアノード分極を測定し検討した.その結果2, 000mVまでではTi-Niのような急激な電流増加もなく, ほぼTiなみの耐食性をもつと考えてよいであろう.以上の結果からこの合金は歯科用インプラントとしての応用の可能性をもつといえる.