著者
西山 茂
出版者
東洋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

補助金交付期間に得られた研究成果の概要は、以下の通りである。(1)生野区にいる在日韓国・朝鮮人(以下、在日という)の葬儀の約90%が日本仏教寺院で行なわれているが、そうした寺は彼等にとって便宜的な葬儀の場以上の意味をもっていない。また、生野区の日本仏教寺院の82%が在日の葬儀を経験しているが、寺が葬儀を引き受ける動機の多くは経済的なものである。さらに、寺での在日の一般的な葬儀の形態は儒教式(韓国・朝鮮式)と仏教式(日本式)の折裏である。(2)生野区にいる在日の殆どは、町内会を通して自動的に神社の氏子となって神社への寄付もしているが、役員となって神社の意志決定に参画する機会は殆ど与えられていない。ただし、在日の多くは、初詣や祭りの時に神社に参拝するだけでなく、七五三や結婚式、さらには地鎮祭や上棟式のお祓いなどを神社に依頼したりもする。また、祭礼時の地車曳行や獅子舞いには在日の子弟が数多く参加し、それが大人になっても懐かしいふるさとの思い出となっているという。(3)生野区には比較的多くの在日信者を含む創価学会(推定で3300名前後)、崇教真光(推定で1000名前後)、天理教(140名)などの新宗教がある。これらの新宗教の在日信者の割合は、創価学会と崇教真光が約三分の一、天理教の場合は2.5%である。また、切宗教諸教団のなかでは比較的歴史の浅い新宗教のほうが在日の信者が多く、同一の新宗教教団のなかでは指導者が在日で信者のなかにも多くの在日があるような教会などに在日の信者が集中する傾向がある。
著者
田丸 徳善 石井 研士 後藤 光一郎 孝本 貢 井上 順孝 柳川 啓一 島薗 進 浜田 哲也 金井 新二 ヤン スインゲドー 西山 茂 藤井 健志 林 淳
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

昭和61年度と昭和62年度の二年間にわたり, 現代日本における教団の総合調査を行った. 対象教団は, 神社神道, 仏教教団(浄土真宗本願寺派, 日蓮宗, 臨済宗妙心寺派, 曹洞宗, 真言宗智山派), キリスト教(日本キリスト教団, カトリック)および新宗教教団(金光教, 天理教等)である. これらに関してはできる限り統計処理の可能な資料を収拾し統計分析を行った. これに関しては報告書に掲載されている. また, 地域における教団組織と教勢を把握するために, 銀座と大阪梅田を選び, 都市化の問題をも含めた総合調査を行った. 神社神道は, 既成教団として, 変動がないように考えられてきたが, 内容は大きく変化しているように思われる. とくに都市化が神社神道に及ぼした影響はとくに顕著である. 仏教教団に関しても, 都市と農村の寺院の格差は著しく, 根底から寺院の質を変えようとしている. 都市化が都市と農村の寺院の経済的基盤に変化を与えており, そのことが寺院の世襲化を生む土壌となっている. キリスト教団は, これらに対して比較的変動のない歴史を送っている. そのことは同時に大規模な発展のなかったことをも意味している. 新宗教教団は, 通常の認識では最も変化の激しく, 現代社会に適応した形態をとっていると考えられるが, 実質的にはかなりの程度既成化が進み, 社会的認識との間にはずれがある. この点に関しては, 新宗教教団の詳細な歴史年表を作成することによって, 新宗教教団の歴史的経緯も考察した. 地域研究では, 都市化の顕著な銀座と大阪梅田の比較調査を行うことによって, 各宗教教団の組織的問題を考察した. また, 各教団の製作しているビデオテープを収拾し, 映像に関する考察をも取り入れた.
著者
西山 茂
出版者
新潟国際情報大学経営情報学部
雑誌
新潟国際情報大学経営情報学部紀要 = Journal of Niigata University of International and Information Studies Faculty of Business and Informatics (ISSN:24342939)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.128-140, 2019-04-01

筆者による論文“「学生による授業評価」結果の統計的分析による考察“では、「学生による授業評価アンケート」の評価点と学生コメントの全体的傾向を明らかにした。この論文の分析では、次のことが判明した。a)評価点は授業規模(履修者数)が減少すると低くなる、b)授業を批判的に評価するコメントが、授業を好意的に評価するあるいは中間的に評価するコメントより多い、c)批判的なコメントが増加すると評価点が低くなる傾向がある。上記論文においては、学生による評価結果を正しく理解するための全体的な傾向を明らかにしたが、同時に、評価点と履修生数(アンケート回答者数)、授業の種類等の授業属性との関係など、さらに詳細な分析が必要であることも判明した。本論文では、上記論文では触れることができなかった、授業の様々な属性と評価点との関係の分析結果を述べる。分析の結果、次のことが判明した。(1) 言語の授業は他の授業とは異なる特性を示す(2) 言語、回答者人数(ほぼ、「履修者人数-欠席者人数」)35人超の授業、全体平均点以下の授業を除き、回答者数が多くなると、評価点が低下する傾向がある。特に、全体評価点平均を超える授業は他に比べて回答者人数と評価点が強い相関を示す。
著者
西山 茂
出版者
東洋大学井上円了研究会第三部会
雑誌
井上円了研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.95-99, 1984-03-14
著者
西山 茂
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.43-51, 1987 (Released:2022-07-14)

庭野日敬の事例を通して,また,組織者―天啓者―幹部の対内関係,および教団―環境の対外関係に注目しつつ,天啓者を抱えた新宗教の教団組織者が,教団の急膨張期に示しやすい路線上の行き詰まりを路線転轍のリーダーシップによって克服する過程を分析し,さらに,教団組織者のリーダーシップが,機能論的なリーダーシップにとどまらず,超俗的な意味の脈絡をもつ宗教的なリーダーシップを併せもっていることを指摘する.
著者
西山 茂
出版者
新潟国際情報大学経営情報学部
雑誌
新潟国際情報大学経営情報学部紀要 = Journal of Niigata University of International and Information Studies Faculty of Business and Informatics (ISSN:24342939)
巻号頁・発行日
no.2, pp.128-140, 2019-04-01

筆者による論文"「学生による授業評価」結果の統計的分析による考察"では、「学生による授業評価アンケート」の評価点と学生コメントの全体的傾向を明らかにした。この論文の分析では、次のことが判明した。a)評価点は授業規模(履修者数)が減少すると低くなる、b)授業を批判的に評価するコメントが、授業を好意的に評価するあるいは中間的に評価するコメントより多い、c)批判的なコメントが増加すると評価点が低くなる傾向がある。上記論文においては、学生による評価結果を正しく理解するための全体的な傾向を明らかにしたが、同時に、評価点と履修生数(アンケート回答者数)、授業の種類等の授業属性との関係など、さらに詳細な分析が必要であることも判明した。本論文では、上記論文では触れることができなかった、授業の様々な属性と評価点との関係の分析結果を述べる。分析の結果、次のことが判明した。(1) 言語の授業は他の授業とは異なる特性を示す(2) 言語、回答者人数(ほぼ、「履修者人数-欠席者人数」)35人超の授業、全体平均点以下の授業を除き、回答者数が多くなると、評価点が低下する傾向がある。特に、全体評価点平均を超える授業は他に比べて回答者人数と評価点が強い相関を示す。
著者
小川 秀興 植木 理恵 西山 茂夫 伊藤 雅章 西岡 清
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1206-1211, 1995
被引用文献数
3

円形脱毛症に対する抗アレルギー剤(アゼラスチン:アゼプチン<SUP>&reg;</SUP>)の臨床症状におよぼす影響と有用性について広く円形脱毛症の治療薬として用いられているセファランチンと比較検討した。総症例数は53例であった。円形脱毛症患者のアトピー素因の有無に関係なくアゼラスチン投与群ではセファランチン投与群に比較し脱毛巣およびその周辺の病的毛や抜け毛の程度は速やかに改善された。再生毛の推移は両試験群とも同様の改善経過であった。抗アレルギー作用を有するアゼラスチンが円形脱毛症の臨床像改善に効果をおよぼしたことは円形脱毛症の治療上にも, その病態形成を考える上でも興味深い知見であると考えられた。
著者
増澤 幹男 東 一紀 西岡 清 西山 茂夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.367, 1988 (Released:2014-08-08)

80歳女子の前頭部に生じた悪性血管内皮細胞腫に対して,リコンビナント・インターロイキン-2を1日1回1,000単位病巣内局注療法を単独で行った.投与7日目に病変の消褪が見られ始め,総量24,000単位投与約1ヵ月目には臨床的にも組織学的にも完全寛解した.治療終了後5ヵ月経つが再発は見られていない.rIL-2の免疫療法は悪性血管内皮細胞腫の有効な治療法と考えられる.
著者
西岡 清 向井 秀樹 上村 仁夫 堀内 保宏 伊藤 篤 野口 俊彦 西山 茂夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.98, no.9, pp.873, 1988 (Released:2014-08-08)

重症成人型アトピー性皮膚炎患者64例にアンケートならびに面接調査を行い以下の結果を得た.①39.1%の症例が生後6ヵ月以内,28.1%が1~4歳に発症し,10歳迄に発症した症例は75%であった.②アトピー背景として2親等内に本症の発生あるいは気道アレルギーの発生の両者あるいはその一方を病歴に持つ症例が86.7%にみられた.③いずれの症例も教科書的皮膚症状の分布を示しながら全身への皮膚症状の拡大を示し,93.8%の症例が思春期もしくは成人期に全身への皮膚症状の拡大を示した.④1例を除いて血中IgE値は200U/ml以上を示し,気道アレルギーを合併する症例では血中IgE値がより高値を示す傾向がみられた.気道アレルギーを合併しない症例の血中IgE値は,皮膚症状罹患後10年を経て著明な高値を示す傾向がみられた.ダニ抗原に対するRASTも血中IgE値同様,本症罹患10年以上の症例に高スコアーがみられた.⑤18.8%の症例に発症後寛解期間が見られ,これらはいずれも5歳以前の発症者であった.これらの症例では気道アレルギーを合併するか血中IgE高値がみられた.以上より,重症成人型アトピー性皮膚炎患者は一般の本症患者に比しアトピー背景が強く,また,IgE産生機構の昻進が著明で,アトピー性皮膚炎全体の中で1つのサブグループとして解析されるべき集団であると考えられた.