- 著者
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茆原 順一
小林 佳美
萱場 広之
- 出版者
- 秋田大学
- 雑誌
- 萌芽的研究
- 巻号頁・発行日
- 1999
気管支喘息に代表されるアレルギー性疾患は,アレルギー性炎症疾患として捉えられている.古典的な炎症の定義から考察するとアレルギー性炎症として「発熱」という現象に対する検討はまだされていない.そこで,気道炎症の「発熱」を呼気温度の測定にて捉え得るのではないかと着目し,基礎的検討を行った.フローボリウム測定と瞬時に温度変化を捉えられる高感度温度計を組み合わせ,はじめに安定した測定条件の検討を行った.最大吸気から呼出までの条件,最大呼気条件による呼気測定の温度センサーの位置をマウスピースの中央,マウスピースより咽頭側,鼻マスクで検討を行った.この結果最大吸気後ゆっくりとゆっくり呼出させる方法で,温度センサーをマウスピースを咽頭側で測定した際,最も安定した測定値が得られた.次に単位面積当たりの熱エネルギー量(W/cm^2)を表す呼気熱流速と呼気温度のピーク値の体温補正値(呼気温度測定値と体温の比で表したもの)を健常者の各条件で比較した.その結果,呼気熱流速は呼気温度に比べて温度変化に敏感な値を示した.さらに呼気温度のピーク値は性別や喫煙の有無で差が認められたが,熱流速には差を認めなかった.呼気温度と呼気熱流速の両方を用いることで気道炎症の新しい指標になりうると考えられた.