著者
磯部 勝 杉山 剛 片桐 基 石塚 千紘 田村 優実 肥後 昌男 藤田 佳克
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.117-124, 2019
被引用文献数
4

<p>立枯れはキノアの生育や収量に最も影響を与える障害のひとつである.キノアの立枯れに関する研究はキノア栽培が盛んな南米のアンデス地域では行われているが,環境の大きく異なる我が国においては過去に研究事例はない.そこで本研究では生育初期におけるキノアの立枯れの発生原因とその抑制法について検討した.立枯れ率は播種時期によって大きく異なったが,いずれの播種時期でも出芽直後から第4葉期まで立枯れが発生し,その後はほとんど発生しなかった.播種時期の違いによって立枯れ率に違いが生じた原因は気温や日照時間より降水量の違いによる影響が大きいことが明らかにされた.そして,立枯れ率は土壌水分が低いと低下することが明らかになった.このことから,キノアの立枯れを抑制させるには生育初期において土壌水分が過剰にならないようにすることが重要と考えられた.さらに,供試したキノア12品種の間には立枯れ率に明確な違いはなかった.立枯れた個体からはRhizocotnia属菌やFusarium属菌が見出され,立枯れの発生にはこれらの菌が関与している可能性が示唆された.薬剤散布で立枯れの発生が抑制できるか検討した結果,播種時にダコレート水和剤を1m2当たり2 g以上を土壌の表面に散布すれば立枯れ率を抑制することができることが明らかになった.</p>
著者
福田 善通 藤田 佳克 田村 克徳 八木 忠之
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.90-93, 1999

インド型品種密陽23号と日本型品種アキヒカリとの組合せのリコンビナント・インブレッドライン(RI系統群)について, いもち病抵抗性に対するRFLPマーカーを用いた量的形質遺伝子座(QTL)解析を行った.幼苗検定では第1染色体に2カ所, 第2染色体に1カ所, 第3染色体に1カ所, 計4カ所でQTLが検出された.それぞれのQTLについて, 第1染色体のものをqPYO-MA1aおよびqPYO-MA1bと仮称した.また第2染色体はqPYO-MA2a, 第3染色体はqPYO-MA3aとした.また畑晩播検定でも, qPYO-MA2aおよびqPYO-MA3aが検出された.いずれのQTLも密陽23型の遺伝子型をもったとき抵抗性を示したが, これらのうちqPYO-MA2aは, 他のQTLに比べ非常に高い作用力を示したことなどから, 主動遺伝子のPibに対応する遺伝子座であると推定した.