著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.174-177, 1998 (Released:2011-03-05)
著者
肥後 昌男 磯部 勝孝 前川 富也 石井 龍一
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.3-10, 2011-04-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
43
被引用文献数
1

冬季に導入した種々の作物根に感染したAMFの群集構造の違いを明らかにするため,日本大学生物資源科学部附属農場(腐植質黒ボク土)において圃場試験を2箇年にわたり行った。2007年は11月にコムギを播種した11月播きコムギ区と4月にコムギを播種した4月播きコムギ区,ナタネ区の計3区を設けた。2008年はコムギ区,アカクローバ区,ナタネ区の計3区を設けた。両年とも冬作物の根におけるAMFの群集構造を調査した。2007年においては11月播きコムギ,4月播きコムギの根では共にGlomus属のAMFが共通して認められたが,Gigasporaceae科のAMFは4月播きコムギしか認められず,同じ作物でも播種時期の違いによって根に感染するAMFの群集構造が異なることが明らかになった。2008年では,コムギ,アカクローバの根ではGlomus属のAMFが共通して認められたが,Gigasporaceae科のAMFはアカクローバでしか認められなかった。本研究より,同一作物による播種時期の違いや栽培する作物の種類により根に感染するAMFの群集構造が異なることが明らかとなった。
著者
磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.374-380, 1997-09-05
被引用文献数
2

Arbuscular菌根菌をインゲンマメ栽培に利用するため, 品種「どじょう」と「セリーナ」を用いて, 土壌中の有効態リン含有量(ブレイ第2法にて測定)と菌根菌の関係ならびにインゲンマメの生育に対する菌株間の比較をおこなった. 得られた結果は, 以下の通りである. 播種時の有効態リン含有量が2.5 mg/100gになるとArbuscuIar菌根菌の感染が抑制され, 4.1 mg/100gではArbuscular菌根菌を接種してもインゲンマメの生育はあまりかわらなかった. このことから黒ボク土壌でインゲンマメ栽培にArbuscular菌根菌を利用するには, 播種時の有効態リン含有量が, 4.1 mg/100g以下であることが必要と思われた. 2種類のArbuscular菌根菌をインゲンマメに接種したところ, Gigaspora margarita, Glomus sp. (y) ともに接種胞子数が多くなるほどインゲンマメの生育はよくなかった. しかし, Gigaspora margarita と Glomus sp.(y)では, Glomus sp.(y) のほうが生育初期における感染率が高く, インゲンマメの生育もよかった. このことから, インゲンマメには Gigaspora margarita より Glomus sp.(y) のほうが, より有効な菌と思われた.
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.174-177, 1998-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
8
被引用文献数
4 3

慣行栽培とアイガモ栽培(有機農法)により栽培された米の食味について官能試験により調査した.米の食味は, 総合評価ではアイガモ栽培米より慣行栽培米の食味が高いと判断された.その要因として, 慣行栽培米に比べてアイガモ栽培米はタンパク質含量が1%以上高いことが上げられる.しかし, 官能試験を行う前にアイガモ栽培米に関する幾つかの情報をパネルに伝えることによって, アイガモ栽培米の食味評価が若干高まった.言い換えれば, 米の情報を消費者に提供することによって, 消費者の米に対する評価が変化することを示唆していると思われた.
著者
磯部 勝孝 藤井 秀昭 坪木 良雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.453-459, 1996-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
11
被引用文献数
6 8

サツマイモ栽培における木炭の施用が土壌環境とサツマイモの収量に与える影響について調べた. 供試した木炭には多量のカリウムが含まれており, これを施用すると土壌中の交換性カリウム含有量が増大した. さらに中粒炭を10a当たり2,000kg施用すると土壌物理性が改善され, 気相割合や孔隙率が高まり固相や液相の割合は低下し, サツマイモがカリウムを吸収するのに良好な土壌環境となった. この結果, 木炭を施用すると塊根の加里/窒素比が高まり, 塊根肥大が促進され収量が高まることが明らかになった.
著者
浅野 紘臣 平野 文俊 磯部 勝孝 櫻井 英敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.320-323, 2000-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
15
被引用文献数
6 7

前報において, アイガモ栽培では収穫時期を成熟期より10日間程度遅らせることにより, 青米の減少とともに収量が増加すること, また玄米中のタンパク質含有率が減少することにより, 米の食味が向上する可能性を指摘した.ここでは前報で用いた材料のタンパク質およびその組成(グルテリン, アルブミン+グロブリン, プロラミン)とアミロース含有率について調査した.玄米および白米の全タンパク質含有率は, 収穫時期が-10日, ±0日, +10日(早刈り, 成熟期刈り, 遅刈り)と遅くなるに従って品種(キヌヒカリ, コシヒカリ)や栽培法(慣行, アイガモ)を問わず減少する傾向があった.収穫時期の差によって玄米のタンパク質の組成含有率はグルテリンは66.0-67.7%, アルブミン+グロブリンは18.8-20.8%, プロラミンは12.5-14.5%と変動し, 品種や栽培法の別による若干の差は見られたが, 収穫時期によると考えられる差は見られなかった.白米においてもグルテリン, アルブミン+グロブリン, プロラミンの含有率は玄米と同様に収穫時期による一定の傾向は見られなかった.このことからアイガモ農法でも成熟期から10日程度遅刈りしてもタンパク質の組成には大きく影響しないと考えられた.アミロース含有率は品種や栽培法を問わず白米では, 早刈り, 成熟期刈り, 遅刈りの順に減少する傾向が見られた.以上のことから, 前報で報告したアイガモ農法によって生産された米の遅刈りによる食味の向上には, 青米, タンパク質含有率そしてアミロース含有率の減少による影響があったと考えられた.
著者
磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.347-352, 1998-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
22
被引用文献数
11 16

種々のイネ科・マメ科作物のアーバスキュラー菌根菌接種による生育促進について比較検討を行うとともに, 根の形態およびリン吸収の関係について考察した.実験に供試した作物は, オカボ, コムギ, ソルゴー, オオムギ, シコクビエ, インゲンマメ, シロクローバー, ササゲ, アズキ, ダイズの10種である.調査項目は, 1.アーバスキュラー菌根菌の宿主作物への生育促進効果の違い, 2.根の形態, 3.生育に必要な土壌中の有効態リン含有量である.アーバスキュラー菌根菌の接種による宿主への生育促進効果は, イネ科作物よりマメ科作物のほうが顕著であった.また, イネ科作物はマメ科に作物に比べ, 土壌有効態リン含有量が低くても十分な生育を示した.これは, イネ科作物が, マメ科作物に比べ根毛が発達し, 地上部乾物重に対する根長が大きくリン吸収に有利な根系を有し, 低リン下でも高いリン吸収能を示すため, アーバスキュラー菌根菌の感染による宿主作物の生育促進が小さかったと考えられる.又, マメ科作物のほうがアーバスキュラー菌根菌による生育促進効果が著しいのは, アーバスキュラー菌根菌感染率が高いこともひとつの理由と推察された.これらのことから, イネ科作物とマメ科作物を比較した場合, マメ科作物のほうがアーバスキュラー菌根菌の利用価値が高いと言える.
著者
磯部 勝 杉山 剛 片桐 基 石塚 千紘 田村 優実 肥後 昌男 藤田 佳克
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.117-124, 2019
被引用文献数
4

<p>立枯れはキノアの生育や収量に最も影響を与える障害のひとつである.キノアの立枯れに関する研究はキノア栽培が盛んな南米のアンデス地域では行われているが,環境の大きく異なる我が国においては過去に研究事例はない.そこで本研究では生育初期におけるキノアの立枯れの発生原因とその抑制法について検討した.立枯れ率は播種時期によって大きく異なったが,いずれの播種時期でも出芽直後から第4葉期まで立枯れが発生し,その後はほとんど発生しなかった.播種時期の違いによって立枯れ率に違いが生じた原因は気温や日照時間より降水量の違いによる影響が大きいことが明らかにされた.そして,立枯れ率は土壌水分が低いと低下することが明らかになった.このことから,キノアの立枯れを抑制させるには生育初期において土壌水分が過剰にならないようにすることが重要と考えられた.さらに,供試したキノア12品種の間には立枯れ率に明確な違いはなかった.立枯れた個体からはRhizocotnia属菌やFusarium属菌が見出され,立枯れの発生にはこれらの菌が関与している可能性が示唆された.薬剤散布で立枯れの発生が抑制できるか検討した結果,播種時にダコレート水和剤を1m2当たり2 g以上を土壌の表面に散布すれば立枯れ率を抑制することができることが明らかになった.</p>
著者
氏家 和広 笹川 亮 山下 あやか 磯部 勝孝 石井 龍一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.59-64, 2007 (Released:2007-02-28)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

本研究は,我が国でキノアの経済栽培を行う際に必要な基礎データを集収するために行ったものである.一連の研究の最初に,我が国の気象条件下でのキノアの播種適期を検討した.実験1では,南米の高地で栽培されているValleyタイプの品種と,高緯度・低地で栽培されているSea-levelタイプの品種を人工気象室内で栽培し,日長,気温が子実肥大および収量に及ぼす影響を調べ,播種適期を予測しようとした.Valleyタイプは,長日条件によって子実肥大が著しく抑制された.このため,関東地方南部においてValleyタイプを栽培する場合には,子実肥大期が短日条件にあたる7月以降に播種する必要があると考えられた.一方,Sea-levelタイプでは,子実肥大に日長は影響しなかったが,高温条件下で多収となった.そのため,子実肥大期が高温期にあたる3月~5月が播種に適すると考えられた.実験2では,上記のことを実証するために,屋外で播種時期を変えてポット栽培した.その結果においても,Valleyタイプは7月播種が,Sea-levelタイプは3月あるいは5月播種が,他の播種期に比べて高い収量を示したので,これらが関東地方南部における各タイプの播種適期であることが確認された.また,二つのタイプ間で収量を比較すると,Sea-levelタイプの3月,5月播種区の方がValleyタイプの7月播種区よりも多収であったことから,関東地方南部ではValleyタイプよりもSea-levelタイプの品種の方が適していると考えられた.
著者
磯部 勝孝 氏家 和広 人見 晋輔 古屋 雄一 石井 龍一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.167-172, 2012 (Released:2012-03-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 10

起源地が異なるキノア2品種を人工気象室で栽培し,昼夜の気温が子実肥大に及ぼす影響を明らかにした.供試した品種はValleyタイプのAmarilla de Marangani(以下,AM)とSea levelタイプのNL-6である.両品種とも播種から開花始めまでは昼温25℃,夜温10℃,日長13時間で栽培し,開花始めに昼温を25℃,夜温を10℃(25/10℃区),15℃(25/15℃区),20℃(25/20℃区)の3段階に設定する区,および夜温を17℃,昼温を20℃(20/17℃区),25℃(25/17℃区),30℃(30/17℃区)の3段階に設定する区の合計6区を設けた.全ての区において,開花始め以降の日長は11時間とした.キノアの子実肥大に対して10℃から20℃の範囲では夜温の影響はなかったが,昼温が20℃から30℃の範囲では両品種とも低いほど子実肥大が促進された.その結果,昼温が20℃の時の1000粒重が最も大きくなったが,これは粒径に対する影響であり,粒厚に対しては影響が小さかった.昼温を20℃にするとValleyタイプのAMは1000粒重と粒数が増加し,昼温が20℃から30℃の範囲では昼温が20℃の時に子実重が最も大きかった.一方,Sea-levelのNL-6は昼温が低くなるほど粒数が減少し,子実重は昼温が30℃の時が最も大きかった.このことからAMとNL-6では子実肥大の機構に及ぼす昼温の影響は異なると考えられた.
著者
磯部 勝孝 石原 雅代 西海 陽介 宮川 尚之 肥後 昌男 鳥越 洋一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.17-21, 2015 (Released:2015-02-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1

播種時期の違いによる出芽率が異なる原因を明らかにするため,播種時の土壌の水ポテンシャル,気温並びに播種深度違いがキノアの出芽に及ぼす影響を明らかにした.圃場実験では6月,8月および10月にキノアの種子を播種したところ,8月播種区は他の区に比べ出芽率が低かった.8月播種区では他の区に比べ播種後の土壌の水ポテンシャルと温度が高く推移した.しかし,人工気象室のポット試験では20℃から34℃の範囲では最終的な出芽率には大きな違いはなかった.また,出芽に対しては播種時の土壌の水ポテンシャルが−5 kPaから−20 kPaの範囲では出芽率に大きな違いはなかったが,−40 kPaになるとほとんど出芽しなかった.このことから,播種期の違いによるキノアの出芽率の変動には播種時やその後の土壌の乾燥状況が影響していると考えられる.また,同じ水ポテンシャル間で播種深度がキノアの出芽率に与える影響をみると,播種時の水ポテンシャルが−20 kPaの時では播種深度が1.0 cmの時に最も出芽率が高くなり,それより播種深度が浅くなっても,深くなっても出芽率は低下した.同様の傾向は水ポテンシャルが−5 kPaや−10 kPaの時でもほぼ同様であった.従って,土壌の水ポテンシャルの変化を考慮した場合,最も適するキノアの播種深度は1.0 cmであると考えられた
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 兼平 勉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.19-24, 2001-03-30
被引用文献数
4

アイガモ農法を1-8年継続した水田土壌における雑草の発生量を調査した。出現草種はヒエ類, カヤツリグサ類, コナギ, アゼナ類, アブノメ, キカシグサ, ミゾハコベ, チョウジタデ, ヒメミソハギ, タカサブロウ, ホシクサ, ミズキカシグサ, ヒデリコ, ウリカワの14草種であった。アイガモ農法継続1-8年の平均における発生数はアゼナ類, ミゾハコベ, キカシグサ, カヤツリグサ類およびコナギの順であり, 同農法を継続しても上位5草種に変化はなかった(第1図)。アイガモ農法を1-4年継続した土壌からの全雑草の発生数は, 2,857-401本/m^2であった。継続5-7年は, 1,123-1,608本/m^2であり, 慣行農法田(2,296本/m^2)に比べて継続5-7年では49-70%少なかった(第4図)。このことは適切な栽培管理を行えばアイガモ農法を継続することにより, 雑草の発生は慣行農法に比べて減少する可能性を示唆していると考えられた。
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-8, 1999-04-30
参考文献数
9
被引用文献数
5

アイガモ農法では, アイガモの行動範囲の多少によって除草効果が異なる。ここでは, 雑草防除に関係の深いアイガモの食性と行動について調査するとともにアイガモ放飼による除草効果について調査した。アイガモの食道膨大部を調査した結果, アイガモは雑草の他に昆虫類を摂食していた(Table 2)。この結果アイガモの放飼によって, 除草効果はもちろんのこと害虫に対する防除効果も期待できる。アイガモの行動は, 早朝と薄暮において活発に行動する傾向がみられた(Fig. 1)。また, 放飼されたアイガモは, 水田を縦横無尽に行動することが明らかになった(Fig. 2)。20aの水田に放飼されたアイガモ50羽の内の1個体をマークして調べた行動距離は3.8Km/3:00a.m.-20:00p.m.(17時間)であった(Fig. 1)。アイガモの放飼期間は6月下旬(田植3-4週間後)から8月上旬(出穂時)の40-50日間に及ぶことから、このアイガモの行動距離は, 雑草を制御するに十分な距離と思われた。ミゾソバ, ヤナギタデおよびイヌホタルイが僅かに残ったが実用上問題はなく, アイガモ放飼1週間後からアイガモの引き上げ時(出穂時)まで雑草(藻類を含む)は抑制され, アイガモによる除草効果は極めて大きかった。(Fig. 4, 5, 6, 7)。
著者
磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.347-352, 1998-09-05
参考文献数
23
被引用文献数
1

種々のイネ科・マメ科作物のアーバスキュラー菌根菌接種による生育促進について比較検討を行うとともに, 根の形態およびリン吸収の関係について考察した.実験に供試した作物は, オカボ, コムギ, ソルゴー, オオムギ, シコクビエ, インゲンマメ, シロクローバー, ササゲ, アズキ, ダイズの10種である.調査項目は, 1.アーバスキュラー菌根菌の宿主作物への生育促進効果の違い, 2.根の形態, 3.生育に必要な土壌中の有効態リン含有量である.アーバスキュラー菌根菌の接種による宿主への生育促進効果は, イネ科作物よりマメ科作物のほうが顕著であった.また, イネ科作物はマメ科に作物に比べ, 土壌有効態リン含有量が低くても十分な生育を示した.これは, イネ科作物が, マメ科作物に比べ根毛が発達し, 地上部乾物重に対する根長が大きくリン吸収に有利な根系を有し, 低リン下でも高いリン吸収能を示すため, アーバスキュラー菌根菌の感染による宿主作物の生育促進が小さかったと考えられる.又, マメ科作物のほうがアーバスキュラー菌根菌による生育促進効果が著しいのは, アーバスキュラー菌根菌感染率が高いこともひとつの理由と推察された.これらのことから, イネ科作物とマメ科作物を比較した場合, マメ科作物のほうがアーバスキュラー菌根菌の利用価値が高いと言える.