著者
中村 樹 西山 めぐみ
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-42, 2022 (Released:2022-06-21)

In general, we use expressions of other sensory modalities when expressing scents (e.g., sweet smell, sharp smell). Hence, it is possible that information processing in olfaction involves information processing in other sensory modalities. Particularly, many studies have been conducted on vision and olfaction, revealing that visual stimuli such as colors and pictures affect olfaction, and that shape characteristics affect scent intensity (e.g., Sakai et al., 2006; Ayabe, 2011). These findings can be applied to the package design of fragrance products such as fabric softeners and perfumes. Childers & Jass (2002) found that many elements constituting package design, font design, in particular, influence consumers’ evaluation and impression of a product. Therefore, in this study, we examined how the visual characteristics of font type (round font, square font) affect scent impression (likeability, intensity, softness, gender associated with the scent). The results indicated that the visual characteristics of the font, presented simultaneously as the scent, influence scent likeability, intensity, and associated gender. The likeability ratings were a significant main effect of font type, and were significantly higher for the round font than for the no letter condition. Thus suggesting that round font enhanced scent likeability. The intensity ratings and associated gender significantly interacted in the scent and font conditions. The match (or mismatch) between scent image and visual characteristics influenced scent impression. However, not all font types were found to be effective for all scents in this study. These results suggest that the effect of vision on scent impression may be influenced not simply by whether the image of the scent matches the visual characteristics, but by the degree of harmony between the scent and font impression (the degree to which the impression matches).
著者
益岡都萌 長谷川達矢# 西山めぐみ 寺澤孝文
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第60回総会
巻号頁・発行日
2018-08-31

目 的 学校現場で一般的に用いられる定期テスト等では,学校内や学級内の平均値と比較して成績が低い子どもは,自身の学力について否定的なフィードバックを得やすい。そのため,学習の成果を実感することが難しく,学習意欲も低いと考えられる。一方,マイクロステップ計測法(寺澤,2016)は,日々の学習の蓄積による微細な変化を描き出すことが可能であり,成績が低い子どもであっても,学習により成績が向上する様子を示したフィードバックを得ることができる。本研究では,特に学習意欲が低い子どもに焦点を当て,マイクロステップ計測法を用いて,学習成果が蓄積していく様子をフィードバックすることで,学習意欲の向上がみられるかについて検討することを目的とした。方 法対象者 小学5年生132名が参加した。実施期間 2017年5月~2018年3月。刺激 教材として,e-learningによる漢字の読みの学習ドリルが用いられた。寺澤(2007)の基準表を基に,小学校で学習する漢字を含む語句リストをスケジューリングし,9つの難易度で構成される学習セットを作成し,最も難易度の高い学習セット(レベル9)の語句から学習を開始した。夏休み明け頃から,子どもがレベル6~9の中から難易度を選択できるようにした。尺度 学習意欲の測定のために,学芸大式学習意欲検査(簡易版)(下山・林ら,1983)から自主的学習態度・達成志向・反持続性の3つの尺度を用いた。手続き 協力校と相談の上,上記実施期間に渡り漢字の読みの学習ドリルを実施した。実施に際しては保護者から同意を得た。学習ドリルは,呈示された語句についての理解度を4段階で自己評定する学習が4日間と,客観テストの日が1日の計5日間の学習が1つの学習単位期間としてスケジューリングされた。ドリルの最後に学習意欲についての質問項目が挿入され,3単位期間ごとに繰り返し測定された。また,実施期間中に,子どもに対して,自身の学習ドリルにおける自己評定値の推移をグラフで示した冊子を配布し,個別に学習成果のフィードバックを行った。2017年5月下旬に学習開始時の学習意欲の測定が行われた。フィードバックはおよそ1ヵ月に1回のタイミングで行われた。また,教師に対してフィードバックの内容を参考に,特に成績が低いが上昇傾向を示している子どもに対して褒める指導を行うよう依頼した。結果と考察 ここでは自主的学習態度の得点についてのみ報告する。分析には4回目のフィードバック後までのデータを用いた。学習開始時の得点が全体の平均値-1SD未満の値を示す子どもを低位群とし,それ以外の子どもを中・高位群とした。欠損値のあるデータを分析から除外し,低位群は10名,中・高位群は51名であった。各群における自主的学習態度得点のフィードバック回数ごとの平均値をFigure 1に示した。 低位群及び中・高位群と,学習開始時を含むフィードバック回数の2要因の分散分析を行ったところ,交互作用が有意であった(F(3.31, 195.23)=8.19, p<.001)。単純主効果の検定を行ったところ,低位群においてフィードバックの回数ごとの得点間に有意差が認められ(F(2.2, 19.8)=5.84, p<.01),学習開始時と4回目のフィードバック後の間及び2回目と4回目のフィードバック後の間に得点の有意な上昇が認められた。以上の結果から,学習意欲が低い子どもであっても,自身の学習が蓄積していく様子を示したフィードバックを受けることで,学習成果を実感することができ,学習意欲が向上したと考えられる。主要引用文献寺澤 孝文(2016). 教育ビッグデータから有意義な情報を見いだす方法―認知心理学の知見をベースにした行動予測 教育システム情報学会誌,33,67-83.
著者
中村 樹 西山 めぐみ
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.81, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

近年になり,柔軟剤や芳香剤など日常的に香りを楽しむための商品が多様化しており,香りに対する注目が高まっている。坂井 (2006) は,人間は視覚的に香りの源を知り,これにより形成された先入観が香りの感じ方に影響を及ぼすとしている。また,綾部 (2011) では形の特徴が香りの強度に影響を及ぼすことが報告されており,視覚刺激が嗅覚情報処理に影響を及ぼすことが示唆されている。そこで本研究では,香りを付与した商品のパッケージのデザイン(視覚的特徴)が香りの印象に及ぼす影響について検討することを目的とした。本研究では,商品のパッケージを構成するデザインの要素の1つである書体 (フォント) に注目し,フォントの視覚的特徴 (丸みのある文字,角のある文字) が香りの印象にどのような影響を及ぼすかについて検討した。その結果,香りと同時に呈示するフォントの種類によって,香りの好ましさや強度,印象に影響を与えることが明らかになった。
著者
益岡 都萌 西山 めぐみ 寺澤 孝文
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17327, (Released:2018-07-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Many previous studies have shown that visual memory plays an important role in change detection. Nishiyama & Kawaguchi (2014) focused on the visual long-term memory that was encoded before a change detection task, and they reported that the visual long-term memory affected the change detection performance. We investigated whether those results are reproducible. Participants performed two experiments consisting of a study phase, change detection phase, and indirect recognition phase (Nishiyama & Kawaguchi, 2014). They studied pre-change images of meaningless objects in both experiments. In Experiment 1, each image was studied five times, while in Experiment 2, each image was studied either five times or one time, and the change detection performance and results of the indirect recognition task were measured. The results of both experiments revealed that visual longterm memory could be retained in detail. However, these findings differed from those of Nishiyama & Kawaguchi (2014) and indicate the need for a more solid experimental procedure to clarify the effect of visual long-term memory on change detection.