著者
西川祐信 画
出版者
八文字屋八左衛門
巻号頁・発行日
1723

八文字自笑作、西川祐信画の女性風俗絵本で、祐信絵本の代表作。2巻。享保8年(1723)正月、八文字屋八左衛門刊。大本合1冊。序に「古今女中の絵鏡草とならむ事をねがふより。いろ品のたがひはあれど。凡百花に准じて。すぐさま百人女郎と外題す」とあるように、見本とすべき女性の多様な姿絵を集めて、解説を付している。上巻は、女帝、皇后から、公卿、武家、町人、商人、百姓に至るまでの様々な身分、職掌の女性について描き分けたもの。とくに京都ならではの「白川ノ石うり」「八瀬の黒木売、大原の柴うり」などは見所である。下巻は、京島原、江戸吉原、大坂新町の遊女達から、茶屋女、奉公人女、歌比丘尼、湯女、惣嫁、その他の多彩な女性風俗を取り挙げており、中には「時宗の室」(鎌倉東慶寺開山)という珍しい例もある。(鈴木淳)
著者
西川祐信 画
出版者
菊屋喜兵衛
巻号頁・発行日
1740

西川祐信画の徒然草絵本。大本3巻合1冊。元文5年(1740)正月、京都・菊屋喜兵衛版。絵師等署名「皇都画工 文華堂西川祐信」「彫工 洛陽かい川 山本喜兵衛」。奥目録「謡曲画誌」以下43点の広告。元文3年(1738)冬の祐信の序に「よつて三巻となして其儘絵本徒然艸と名づけ、かの詞のはし/\書ちらして梓になす」とあり、見開きごとにゆったりと1図を配し、余白に『徒然草』の本文を簡略化して書き入れる。『徒然草』の絵入り本が少なくない中、通常の体裁を逆転させ、絵を主、文を従にしたもの。文の書体も美しい。また序に「無下にいやしき今様の絵なれば、かいやり捨べきことにて、人の見るべくもあらずと独翫びぬるを、菊秀軒の主ひたすらに求めて」云々とあるが、絵風における王朝風と当世風は半々ほどで、王朝風の絵は古風に努めており、土佐派の絵巻などに学んだ跡が窺われる。(鈴木淳)(2016.2)

3 0 0 0 OA 絵本倭比事

著者
西川祐信 画
出版者
梅村弥右衛門[ほか5名]
巻号頁・発行日
vol.附巻画法彩色法巻, 1742

西川祐信著の画法書。9巻附1巻のうち附巻のみ存。寛保2年(1742)正月、京都・梅村弥右衛門ほか5軒刊、半紙本1冊。後印本。巻首「絵本和故事附巻画法彩色法巻」とあるように、画法と彩色法から成る。奥書、元文3年(1739)春京師文花堂右京誌。「画図稽古之事」に「何流にても我思ひ入たる画工を師としてつら/\心をとめ、まづ筆勢と水墨とを第一に学び、次に図を書習ふべし」と、画法の手ほどきを簡易に説き起こす。「和画之事」では「鳥羽僧正覚融、土佐光信、及浮世又兵衛等尤名手をふるへり、是等の趣を以て書べし」とあり、その拠るべき手本とされた存在が知られる。その他、和画を以て鳴った祐信の面目を伺うべき条々が多い。(鈴木淳)(2016.2)
著者
西川祐信 画
出版者
菱屋治兵衛[ほか1名]
巻号頁・発行日
1748

西川祐信画、金吾作、女性風俗・教訓絵本。延享5年(1748)正月、江戸・鱗形屋孫兵衛、京都・菱屋治兵衛(板元)。半紙本3巻。墨摺。角書き(序題)「教訓注解」。広告「嗣出 貝歌仙後篇 絵本狂歌貝 全部三冊 西川氏画」とあるが、未刊。延享5年(1748)初春、作者金吾の序に「六々のかいあつめたる一箱を絵にうつしてといふより、歌の詞につれて注をくわゑつゝ、教訓の三巻となしぬ」とある。一例を挙げると、36首の貝の歌「貝歌仙」中の「梅の花貝 春風に浪やちりけん陸奥のまがきがしまの梅のはな貝」について、1首の通釈を試み、加えて「これをいましめとすれば、やさしき名にも似ず、女中のあら/\しきふるまひはあしゝとかや」と、教訓につなげて締めくくっている。祐信の絵は、二人の女性のうち、女中らしき一人が、梅の枝を折ろうということか、梯子を持って駆けつける様子で、教訓を含めた詞書きの趣旨を受け止めて描く。(鈴木淳)(2016.2)
著者
西川祐信 画
出版者
毛利田庄太郎
巻号頁・発行日
vol.[3], 1731
著者
西川祐信 画
出版者
毛利田庄太郎
巻号頁・発行日
1731

西川祐信の風俗絵本。3巻。享保16年(1731)8月、大坂毛利田庄太郎刊、大本3冊。序に「一日浪華書肆来りて、当時所見の艶容を図して梓にせば、絵法初心の一助とならんと、ひたすら乞求る」云々とあり、制作趣旨が知られる。上巻は官女、中巻は町女、下巻は遊女についての描図を集めたもので、それぞれ巻末に半丁分の解説を置き、描法及び彩色に関する注意を付記しており、祐信が本絵本を肉筆画の手本と考えていたことがわかる。また上巻は、源氏絵、伊勢ほかの女性歌人、当世の女性風俗の順に収め、垂髪の官女、島田髷の武家の女性を交え描く。中巻は町女で、外出時の衣被りや、花火遊び、盆踊りなど、四季の景物とともに描いた図もある。下巻は京、大坂、江戸の順に遊女を描く。(鈴木淳)
著者
西川祐信 画
出版者
菊屋喜兵衛
巻号頁・発行日
1736

西川祐信画。女性風俗絵本。半紙本3巻合1冊。享保21年(1736)正月、京都・菊屋喜兵衛板。紅絵。丁付に「葛上」「葛下」「葛後」とあることを勘案すると、上下2巻、後編1巻という構成である。元来は2冊本であったので、すべて3巻本から構成される『絵本倭文庫』に収める際の修訂増補かといわれる。序に「業平の昔をおもふより筆を染て、春の花に艶なる粧、夏は若葉の蓁々たる風俗、秋の月のまはゆき面影、雪の肌の素を後にして書集ぬる」と、作画動機を述べる。上巻はじめに詞書きを伴った伊勢物語絵4図を置き、以下、老若貴賤の当世風女性の四季折々の風俗図を、詞書きのない絵だけで収める。菊見、訪問、茶屋遊び、花火、入浴、雨の他行、田舎遊行、遊里、揚屋、遊戯、色子と幅広く取り上げており、とくに後編に多い、色子の図は特筆すべきであろう。(鈴木淳)