著者
嘉田 勝 会沢 成彦 西村 治道 藤本 典幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.171-178, 2009-02-20
被引用文献数
3

大学祭での一般来場者向け学術企画の一環として,体験型の情報科学教育手法 「コンピュータサイエンスアンプラグド」 の学習活動を来場者が体験できる展示企画を実施した。会場内に複数の学習活動空間を設け,多様な来場者をガイドが都度案内する博物館型展示としたため,一斉授業とは異なるさまざまな工夫を施した。本発表では,今回の実践をふまえ,コンピュータサイエンスアンプラグドの博物館型展示の可能性と課題を考察する。As an attraction in a university campus festival, we held a scientific exhibition based on Computer Science Unplugged for general visitors. Unlike a class in a school, we had to guide various visitors of all ages, who arrived by twos and threes. To enable this, we set up stages of various activities in the classroom in parallel, and we offered each group of visitors suitable selection of activities. On the outcome of this practice, we investigate possibilities of such kind of exhibition based on CS Unplugged.
著者
西村 治道
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.682-688, 2014-06-15

Shorが整数の素因数分解に対する多項式時間量子アルゴリズムを発見して20年,この間に量子計算の理論は量子情報科学の分野の中核をなす理論として大きく進展した.本稿では,量子計算を理解する上で必要な量子力学の基礎概念や,量子計算の計算モデル,およびその基本原理を紹介する.加えて計算量という観点からの量子計算と古典計算の違いについて述べる.
著者
川崎 涼 西村 治道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-8, 2014-06-06

Gharibian, Kempe [ICALP2012] は局所ハミルトニアンの冗長性に関する問題 QIRR を導入した.この問題は,局所ハミルトニアンの和が与えられたときにエネルギー期待値の条件を満たした部分和が存在するかを問う問題である.彼らはこの問題が cq-Σp2 困難であることを証明したが,その完全性を示すことはなかった.本論文ではまず,局所ハミルトニアンに関する計算複雑さの高い問題から QIRR への帰着を与え,QIRR が cq-Σp2 に属さない証拠を与える.その後,より適切な形で局所ハミルトニアンの冗長性に関する問題を定義し,再定式化した問題が cq-Σp2 完全であることを示す.Gharibian and Kempe [ICALP2012] introduced a problem on irredundancy of local Hamiltonians, named as QIRR, which asks whether, given a sum of local Hamilitonians, there is a partial sum preserving a given energy constraint. They showed that QIRR is hard for the class cq-Σp2(a quantum analogue of Σp2 ), while they did not show cq-Σp2-completeness. In this paper we first show that QIRR is reduced from some problem that seems too hard to show cq-Σp2-completeness. Then, we introduce another problem on irredundancy of local Hamiltonians in a more suitable form, and show that the problem is cq-Σp2-complete.
著者
西村 治道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.682-688, 2014-06-15

Shorが整数の素因数分解に対する多項式時間量子アルゴリズムを発見して20年,この間に量子計算の理論は量子情報科学の分野の中核をなす理論として大きく進展した.本稿では,量子計算を理解する上で必要な量子力学の基礎概念や,量子計算の計算モデル,およびその基本原理を紹介する.加えて計算量という観点からの量子計算と古典計算の違いについて述べる.
著者
小澤 正直 浜田 充 北島 雄一郎 西村 治道 Buscemi F.
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

【不確定性】ブランシアールの関係式を混合状態の任意の分解に適用する事で,混合状態に対する誤差擾乱関係を導く事ができる事を示し,2014年に本研究で導かれた,混合状態に対する誤差擾乱関係は最適な分解に対する誤差擾乱関係である事を示した。【相補性】測定過程が物理量の値を再現するのか,確率分布を再現するに過ぎないのかは未決着の問題であるが,定説では,Kochen-Specker の定理から測定は確率分布を再現するに過ぎないと考えられてきた。本研究では,定説に反して,任意の状態で確率分布を再現する事のできる2つの装置で同一の物理量を同時に測定するとそれらの測定値が常に一致することを示した。【情報理論的非局所性】量子通信路が他の通信路に分解可能であるための新しい必要十分条件を発見した。このような条件は,逆データ処理定理と呼ばれ,確率分布のマジョライゼーション順序を量子通信路に拡張している。【計算量理論的非局所性】量子対話型証明における検証者が多項式時間量子アルゴリズムを実行できることに加えて事後選択と呼ばれる能力を有する場合における検証能力を完全に特徴付けることに成功した。具体的には,このような量子対話型証明で検証可能な問題のクラスがPSPACEと一致することを示した。この成果はPSPACEという従来の計算量理論において重要な問題のクラスに対する新しい量子計算的特徴付けを与えるものである。【相対論的非局所性】非文脈依存的な隠れた変数の存在から導かれるKCBS不等式について研究し,非相対論的量子力学においてはすべての状態においてKCBS不等式が破れるわけではないのに対して,相対論的場の量子論においてKCBS不等式はすべての状態において破れるということを示した。【量子暗号】2014年発表のユニタリ演算子構成の定量的な限界式の一般化を行い,より広範囲の系に対して適用可能なものを提案した。
著者
小澤 正直 神保 雅一 松原 洋 西村 治道 浜田 充 ブシェーミ フランチェスコ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

量子測定理論と量子集合論を軸に量子計算量理論と量子符号理論に新しい数学的方法を開発した.本研究代表者が確立した小澤の不等式と呼ばれる普遍的な不確定性原理の研究を発展させ,世界で初めて測定誤差と擾乱に関するハイゼンベルクの不等式の不成立を実験的に観測し,小澤の不等式の成立を確認した.また,量子計算の実現に伴う様々なモデルに対して,計算量,デコーヒーレンス,必要な物理的リソースなどを明らかにした.更に,誤差を回避するための新しい符号化法を開発した.これらの成果により,量子情報技術の開発,関連産業,文化などにも幅広いインパクトを与えた.