著者
陳 明裕 浅見 勲零 吉位 尚 藤田 邦夫 寺延 治 石井 準之助 寺尾 牧 浜田 充彦 平田 たつみ 島田 桂吉
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.5-11, 1993
被引用文献数
1

矯正治療におげる歯牙移動時にはしばしば疼痛を伴うことがある。 近年, 低出カレーザーによる除痛効果は一般臨床において広く認められている。 <BR>そこで本研究では矯正治療における歯間離開時に発生する痛みに対するレーザー除痛効果の有効性を二重盲検法を用いて検討した。 歯と歯の間隙が正常範囲内 (50μm-110μm)で, 予め左右対象であることを確認した28例の被検者の両側第三大臼歯近心, または近遠心にエラスティックセパレーターを挿入直後に左右どちらかの第1大臼歯のみに低出力Ga-Al-As 半導体レーザー (波長830nm, 出力20mW) を2分間, 歯根相当部頬側歯肉より接触照射した。 その際, 二重盲検とするため, 左右どちら側を照射するかは, 乱数表に従い, 検者被検者双方に判らないように決定した。 疼痛評価には, Visual analog scale (VAS) を用い, 次来院時に被検者自身により記入された用紙を回収した。 その結果, 28例中重7例において, レーザー照射側の疼痛軽減が認められた。 また, VAS平均値も2%の危険率で有意の差が認められた。以上の結果から低出力Ga-Al-As半導体レーザーは矯正治療における歯牙移動時に発生する痛みに対しても有効であることが判った。
著者
陳 明裕 寺尾 牧 浅見 勲 吉位 尚 藤田 邦夫 寺延 治 石井 準之助 島田 桂吉 浜田 充彦
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-7, 1994

矯正治療時の疼痛は殆どの場合-過性ではあるが, 有効な対処方は少ないのが現状である。我々は, 矯正治療時の疼痛緩和を目的に, Na: YAG レーザー, Ga-Al-As 半導体レーザーを応用し, その有効性を報告してきた。しかし, レーザーは波長によってその作用が異なるためHe-Neレーザーについて同様の実験を行い, その有効性について先の半導体レーザーでの結果と比較検討した。被験者は, 神戸大学病院矯正部外来患者および同医局員で, 平均年齢20.7歳であった。予め歯牙接触関係等に左右側で, 差が無いことを確認した同顎左右第1大臼歯を被験歯とした。被験歯近遠心もしくは近心に同じ厚みのエラスティックセパレーターを挿入し, 挿入直後にレーザーを片側にのみ近心根, 遠心根の各中央相当部頬側歯肉に各々1分間ずつ計2分間接触照射し、反対側を非照射対照側とした。なお, 照射に際しては被験者に, 照射側が判別されないよう努めた。レーザー装置は, 波長632.8nm, 出力6m W のSOFT-LASER 632<SUP>R</SUP>を連続波で2分間用いた。調査はアンケート用紙にて行い, 疼痛の開始時期, 消失時期, 最大疼痛の時期およびその程度を患者自身に記入させ, 次の来院時に回収した。疼痛評価はVisual analog scale (VAS) を用いて行い, 各症例の非照射側を対照として比較した。その結果22例中14例で照射側VAS値の滅少を認め, VAS平均値も照射側2.33, 対照側3.91と有意の差を認めた。疼痛時期については両群間に差を認めなかった。半導体レーザーとのVAS値の比較も有意の差を認めず, 何れのレーザーにおいても同程度の除痛効果が得られたものと考えられる。
著者
小澤 正直 浜田 充 北島 雄一郎 西村 治道 Buscemi F.
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

【不確定性】ブランシアールの関係式を混合状態の任意の分解に適用する事で,混合状態に対する誤差擾乱関係を導く事ができる事を示し,2014年に本研究で導かれた,混合状態に対する誤差擾乱関係は最適な分解に対する誤差擾乱関係である事を示した。【相補性】測定過程が物理量の値を再現するのか,確率分布を再現するに過ぎないのかは未決着の問題であるが,定説では,Kochen-Specker の定理から測定は確率分布を再現するに過ぎないと考えられてきた。本研究では,定説に反して,任意の状態で確率分布を再現する事のできる2つの装置で同一の物理量を同時に測定するとそれらの測定値が常に一致することを示した。【情報理論的非局所性】量子通信路が他の通信路に分解可能であるための新しい必要十分条件を発見した。このような条件は,逆データ処理定理と呼ばれ,確率分布のマジョライゼーション順序を量子通信路に拡張している。【計算量理論的非局所性】量子対話型証明における検証者が多項式時間量子アルゴリズムを実行できることに加えて事後選択と呼ばれる能力を有する場合における検証能力を完全に特徴付けることに成功した。具体的には,このような量子対話型証明で検証可能な問題のクラスがPSPACEと一致することを示した。この成果はPSPACEという従来の計算量理論において重要な問題のクラスに対する新しい量子計算的特徴付けを与えるものである。【相対論的非局所性】非文脈依存的な隠れた変数の存在から導かれるKCBS不等式について研究し,非相対論的量子力学においてはすべての状態においてKCBS不等式が破れるわけではないのに対して,相対論的場の量子論においてKCBS不等式はすべての状態において破れるということを示した。【量子暗号】2014年発表のユニタリ演算子構成の定量的な限界式の一般化を行い,より広範囲の系に対して適用可能なものを提案した。
著者
小澤 正直 神保 雅一 松原 洋 西村 治道 浜田 充 ブシェーミ フランチェスコ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

量子測定理論と量子集合論を軸に量子計算量理論と量子符号理論に新しい数学的方法を開発した.本研究代表者が確立した小澤の不等式と呼ばれる普遍的な不確定性原理の研究を発展させ,世界で初めて測定誤差と擾乱に関するハイゼンベルクの不等式の不成立を実験的に観測し,小澤の不等式の成立を確認した.また,量子計算の実現に伴う様々なモデルに対して,計算量,デコーヒーレンス,必要な物理的リソースなどを明らかにした.更に,誤差を回避するための新しい符号化法を開発した.これらの成果により,量子情報技術の開発,関連産業,文化などにも幅広いインパクトを与えた.