著者
西田 正憲
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.298-309, 1996-03-29 (Released:2011-07-19)
参考文献数
77
被引用文献数
2 2

幕末から明治にかけておびただしい欧米人がわが国を訪れ, そして瀬戸内海を航行し, 瀬戸内海の風景を賞賛する。19世紀のシーボルト以後, 多くの欧米人が近代的な風景観でもって瀬戸内海の風景を賞賛し紀行文等にその記述を残している。明治後期, 日本人はこの欧米人の賞賛を引合いに出して瀬戸内海の風景を評価してきた。この19世紀の近代の欧米人が賞賛した瀬戸内海の風景とは何か, その風景の見方や捉え方つまり風景観の特質は何か, その風景観の変遷過程はどのようであったか, さらに日本人に与えた影響は何かについて, 欧米人の当時の紀行文等の文献から, 瀬戸内海の風景に関する記述を読み取り分析することにより, 考察を行うものである。
著者
西田 正憲
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.785-790, 2008-03-31 (Released:2009-05-08)
参考文献数
44
被引用文献数
1 1

In late years modern art to unfold in the depopulated area recruits many visitors. The article considers a characteristic of this modern art from the viewpoint of scenery theory, paying attention to this situation. It performs analysis about modern art and the representation of the meaning of the place from a field work and the verbal explanation of some directors and artists, through the analyses of the examples of the art festival of the earth of the Echigo Tsumari in Niigata prefecture and the Benesse art site of Naoshima of the Setouchi Naoshima island in Kagawa prefecture. As a result, the article considered the following characteristics of scenery theory. Modern art keeps a mountain remote place and climate in Seto alive and makes much of endemism. Modern art reminds of the former working of people and makes much of the memory of the place. Modern art intends scenery of consecutive space and time and questions modern civilization and contemporary civilization. Art works are supported by inhabitants and volunteers and express scenery of participation and collaboration.
著者
西田 正憲
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.91-96, 1994-03-31
被引用文献数
2

瀬戸内海国立公園には明治大正時代に築かれた近代の要塞が数ケ所に渡って残っている。紀淡海峡,芸予諸島,広島湾口,関門海峡,豊予海峡と国立公園の優れた風景地に,同じような構造をもつ堅牢な砲台跡や煉瓦造りの兵舎跡を見ることができる。要塞遺跡はそれ自体自然と一体となった明治の洋風建築として情趣あるものであるが,さらに一帯は,瀬戸内海の典型的な瀬戸景観などを眺める優れた展望地として,国立公園の重要な利用拠点になっている。瀬戸内海国立公園の近代要塞遺跡とはそもそも何かその概要を体系的に明らかにするとともに,この要塞跡地が瀬戸内海国立公園の利用拠点をいかに形成してきたかその経緯を明らかにするものである。
著者
西田 正憲
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.395-400, 1998-03-30
被引用文献数
3 6

わが国においては,中世以降,優れた名所・観光地が三景,八景,十二景,百景等として定数(名数)で選定されてきた。この全国レベルで選定された定数の名所・観光地とこれに準じる箇所を瀬戸内海について調べ,その選定の意図・背景,位置,景観,新出箇所の特徴を分析し,瀬戸内海における定数名所・観光地等の変遷を考察した。意図・背景については志向性の変位として,位置は近畿,中国,四国,九州の間の変化として,景観は自然景観と人文景観の変化として,新出箇所は新出率の問題として,変遷を論じた。なお,古代において瀬戸内海の各地を最初に名所化した万葉集も,本論の変遷の考察に有効な前提として,その地名等を調べ論じた。
著者
西田 正憲
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.439-442, 1999-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

京都御苑は戦後国民公園となり, 都市公園的要素と自然公園的要素を付加するかたちで公園化を進め, 変遷した。この京都御苑の戦後の変遷を, 国民公園の発足, 都市公園的施設の整備, その後の自然保護への傾斜等の観点から論じる。国民公園は, 連合国軍総指令部の強い意向のもと, アメリカ合衆国の国立公園体系にならって, 誕生した。京都御苑の変遷は, 戦後一時的に京都府が管理したことによる影響と, 国民公園行政が国立公園行政の一環に組み込まれたことによって, 大きく方向付けられた。また, 新しい公園施設の整備は, 御所の風致景観を守るために, ハレとケの計画原理にしたがってなされ, 不変部分と可変部分の共存が図られてきた。
著者
西田 正憲
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.91-96, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12
被引用文献数
2

瀬戸内海国立公園には明治大正時代に築かれた近代の要塞が数ケ所に渡って残っている。紀淡海峡, 芸予諸島, 広島湾口, 関門海峡, 豊予海峡と国立公園の優れた風景地に, 同じような構造をもつ堅牢な砲台跡や煉瓦造りの兵舎跡を見ることができる。要塞遺跡はそれ自体自然と一体となった明治の洋風建築として情趣あるものであるが, さらに一帯は, 瀬戸内海の典型的な瀬戸景観などを眺める優れた展望地として, 国立公園の重要な利用拠点になっている。瀬戸内海国立公園の近代要塞遺跡とはそもそも何かその概要を体系的に明らかにするとともに, この要塞跡地が瀬戸内海国立公園の利用拠点をいかに形成してきたかその経緯を明らかにするものである。
著者
佐山 浩 西田 正憲
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.749-752, 2000-03-30
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

1993年にわが国最初の世界自然遺産に登録された屋久島では, 近年, ガイド者数が急増するなど, エコツーリズムが著しい興隆をみせている。本論は, わが国において先駆的な発展をみせている屋久島のエコツーリズムについて, 発展を促した要因を考察することによって, 近年の動きとその特徴を明らかにするものである。屋久島のエコツーリズムは,(1) 屋久島の優れた資源と (2) 交通機関の発達と観光客数の増加を主因とし,(3) 縄文杉保全対策にみる自然保護問題の顕在化,(4) 鹿児島県の環境文化村構想の策定,(5) 世界自然遺産の登録と行政の支援,(6) 西部林道問題の事例に典型的にみる従来型開発の転換を誘因として, 発展してきたと指摘できる。
著者
西田 正憲
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.33-36, 1994-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
22
被引用文献数
3 7

江戸後期, 瀬戸内海を記述した紀行文に, 従来の歌枕や名所旧跡に捕らわれない風景の素直な評価と, 風景を遠く見渡し広く捉える広闊な俯瞰景の賞賛が現れ始める。それまで歌枕や名所旧跡しか讃えなかった日本人に, 徐々に歌枕や名所旧跡からの離脱が始まり, 瀬戸内海の新しい風景が少しずつ見えてきたといえる。その動きは, まだ従来の風景観の枠組みに強く支配された中での変化であり, 明治の近代的風景観の台頭ほど鮮明ではないが, 歌枕名所的風景ともいうべき伝統的風景の捉え方とは異なる新しい風景視点の萌芽であった。中世, 近世の瀬戸内海の紀行文を分析することによって, 江戸後期のこの新しい風景視点の萌芽を明らかにするものである。
著者
西田 正憲
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.17-20, 1996-03-29
被引用文献数
1 1

中世末から近世にかけて,瀬戸内海は多彩な異人たちが航行し,航海,寄港地等について多くの記述を残した。16〜17世紀のキリシタン宣教師,17〜18世紀の朝鮮通信使,17〜19世紀のオランダ商館員と,瀬戸内海はこれら異人たちの布教や江戸入府の海の道となっていた。19世紀にわが国を訪れた近代の欧米人は瀬戸内海の風景を絶賛したが,これに先行するこれら異人たちは瀬戸内海の風景をどのように見ていたのであろうか。これら異人たちの瀬戸内海の風景とは何であったのか,16世紀半ばから19世紀初めにかけての彼らの紀行文,報告,日記等の文献から,瀬戸内海の風景の記述を分析することにより,考察を行うものである。
著者
西田 正憲
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.407-410, 2005-03-31
被引用文献数
3

The paper considers characteristics of mountain representation that people captured in the gaze upon mountains, through analyses of the descriptions of the travel accounts and so on, in the Edo Era. It surveys first characteristics of mountain representation from ancient times to medieval times, in order to point out characteristics of the Edo Era more clearly. The analyses are done to the next by extracting the descriptions of 5 mountains, Mt. Tateyama, Mt. Daisen, Mt. Unzendake, Mt. Asozan, and Mt. Kirishimayama, from 6 travel accounts and so on, in the Edo Era, and by judging the descriptions from 4 standards of religious representation, historical representation, literary representation, and landscape representation. In consequence of these analyses, the paper shows, as characteristics of mountain representation of the travel accounts and so on in the Edo Era, that sense representation which consisted of religious and historical representation became more than a half, that landscape representation of the Edo Era increased considerably as compared with ancient and medieval times, and that literary representation of the mountains decreased extremely as compared with plain parts and seashore parts.