著者
村木 里志 三星 昭宏 松井 祐介 野村 貴史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.401-416, 2006 (Released:2006-07-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

交通バリアフリー法やハートビル法の施行により,公共施設や設備のバリアフリー化が進められている.このような背景から,近年,公共施設利用時に生じる身体的負担を定量的に表し,公共施設のバリアフリー度合いを示す手法が必要となっている.そこで本研究は,公共施設内のスロープ走行を模擬できるトレッドミルを用いて車いす走行時の酸素摂取量等を測定し,身体的負担の定量化を試みた.その結果,一定距離当たりの酸素摂取量は登坂勾配に対して指数関数的に増加した.車いす走行時の身体的負担と移動距離の組み合わせから見た推奨されるスロープの勾配基準は4.0%以下であった.また,スロープの勾配と酸素摂取量との関係等から,車いす身体的負担算出モデルを提案した.
著者
松井 祐樹 日比野 直彦 森地 茂 家田 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_533-I_546, 2016
被引用文献数
4

インバウンド観光は,今後の日本にとって重要な役割を担うものである.近年では,台湾,韓国,中国からの訪日外国人旅行者に加え,東南アジア諸国からの旅行者も急増している.観光行動の多様化が進む中,ニーズを十分に捉えた観光政策が求められている.しかしながら,彼らがどのような地域を訪問し,どのような観光活動を好むかを観光統計データに基づき複合的かつ定量的に分析された研究はこれまでにない.本研究は,訪日外国人消費動向調査の個票データを用いて訪問地傾向と観光活動を組合せて分析し,個人属性による差や時系列変化を定量的に示したものである.分析結果より,訪問地傾向と観光活動を組合せて分析することの重要性を示すとともに,近年増加する個人旅行者は,都市部を中心に多様な観光活動をする傾向にあることを明らかにしている.
著者
松井 祐興 野田 大介
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.143-147, 2017-03-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

咽頭から頸部皮下まで刺入した歯ブラシによる深達性穿通性損傷の小児例を報告する. 症例は 1 歳 9 ヵ月男児. 室内用ジャングルジムから歯ブラシを加えたまま, 顔面から落ちて歯ブラシが咽頭に突き刺さり受傷した. 造影 CT で歯ブラシは右副咽頭間隙から右頸動脈内側を通り, 右側頸部皮下まで歯ブラシが達していることが判明した. 歯ブラシの柄により全身麻酔時のマスク換気が妨げられるという問題があった. そこで, 鎮静を行い自発呼吸下に, 皮膚を切離し, 歯ブラシの植毛部をニッパにて切断して皮膚側より摘出し, 歯ブラシの柄を口腔内から引き抜いた. その後, 全身麻酔を導入し, 皮膚切離を行い, 温生理食塩水にて洗浄を行った. 口腔内穿通性損傷では, 集学的な治療体制が整っている施設で治療すべきである.
著者
松井 祐介 松岡 宏晃 金本 匡史 渋谷 綾子 室岡 由紀恵 大高 麻衣子 竹前 彰人 高澤 知規 日野原 宏 齋藤 繁
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】HITは,血小板第 4 因子(PF4)とヘパリンとの複合体に対する抗体(抗PF4/H抗体)の産生が起こり,その中の一部で強い血小板活性化能を持つもの(HIT抗体)が,血小板,単核球,血管内皮の活性化を引き起こし,最終的にトロンビンの過剰産生が起こり,血小板減少,さらには血栓塞栓症を誘発する。治療には,まずはヘパリンの使用を中止することに加え,抗トロンビン作用を持つ代替抗凝固療法 (アルガトロバン) が必要である。今回我々は体外式膜型人工肺を用いた心肺蘇生後にヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia , HIT)を発症し,回路内凝血により持続的腎代替療法の継続が困難であったが,透析膜の変更で治療を継続することができた1症例を経験したため報告する。【臨床経過】我々は,体外式膜型人工肺を用いた心肺蘇生後にHITを発症し,除水ならびに血液浄化目的に、持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)が必要となり,ポリスルホン,セルローストリアセテートの透析膜を用いても,血栓による閉塞を頻回に起こし、回路交換による中断をせざるを得なくなり,管理に難渋する症例を経験した。本例は,ヘパリン中止,アルガトロバンによる全身の抗凝固療法と,ナファモスタットを用いた回路内の抗凝固療法を併用し,活性化凝固時間を延長させたにもかかわらず,頻回な回路閉塞によりCHDFの継続は困難であった。しかし,高い親水性をもった厚い柔軟層を有するポリスルホン製の透析膜のダイアライザー (商品名:トレライトNV) を用いた持続的血液透析および体外式限外濾過療法より,比較的長時間の腎代替療法を行うことができ,除水を継続することができた。【結論】HIT患者においても,ダイアライザーの種類を変更することで,腎代替療法を継続することができた。水分管理が困難であった場合,酸素化不良による静脈返血での体外式膜型人工肺(V-V ECMO)が考慮されたが,本症例では導入を必要とするまでには至らず,重篤な合併症を回避することができた。
著者
古本 太希 浜田 大輔 片山 綾音 松井 祐 川村 由佳 友成 健 加藤 真介 西良 浩一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.531-539, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
31

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後患者の階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できているのかを明らかにすること。【方法】対象は,術後1 年以上経過し降段動作が1 足1 段様式で可能なTKA 群8 例と同年代高齢者である健常群10 例とした。降段動作解析は,三次元動作解析装置と床反力計を用いて矢状面の関節角度,関節モーメント,関節パワーと表面筋電図にて下肢筋活動を計測した。主要な計測項目である膝関節伸展モーメントの第1 ピークの立脚前期(20%)と第2 ピークの立脚後期(80%)ですべての計測データを比較した。【結果】TKA 群の降段動作時の遠心性膝関節伸展モーメントは,立脚前期および立脚後期のいずれも健常群よりも有意に低かった。【結論】TKA 後1 年経過しても階段降段動作では,同年代健常者の遠心性膝関節伸展モーメントを再現できていなかった。