著者
尾崎 晃 草川 高志 西脇 由博 マルタ ルーカス 宮島 千代美 西野 隆典 北岡 教英 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2118-2128, 2010-10-01
被引用文献数
3

人間の行動を真に理解するためには,行動を記録すると同時に心的状態を知る術も同時に記録する必要がある.更にこのようなデータが大量に必要となる.そのような研究のための第一歩として,自動車実走行環境における自動車挙動を含む運転操作信号,生体信号などのデータを同期測定・記録する機器を作成した.様々な運転環境の負荷を調査するため,平静の運転をはじめ,標識や看板などを見る,イヤホンを通じて英数字を聞いて発音する,携帯電話でナビゲータと会話をする,そしてコンピュータと音声対話を行う4種類のタスクを自動車走行中に実施している.運転行動を測定するため,アクセルペダル踏力,ブレーキペダル踏力,ステアリング操作角,走行位置,車速,加速度,車間距離を収録する.また生体信号を測定するため,心拍数,皮膚電位,発汗量のセンサを搭載している.運転手と交通状況は,四つのビデオカメラと全方位カメラによって動画として記録する.運転手とナビゲータの声は,携帯電話と車内に配置されたマイクロホンで計12チャネル録音する.これらのマルチモーダルデータは同期して収録できる,2008年末までに,357名の被験者を募集して実験走行を行った.走行環境,運転行動,発話内容などに応じて詳細なラベルを定義し,実験後に運転データへ手作業で付与した.更に,このデータベースを用いた研究例を挙げ,データベース活用による今後の人間行動理解の可能性を示した.
著者
栗脇 隆宏 西野 隆典 成瀬 央
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.48, pp.1-4, 2015-05-16

本研究では,様々な楽器音が混在した音楽信号を対象としてスネアドラムとバスドラムの自動採譜に取り組む.提案手法では,対象楽曲に使用されているスネアドラムとバスドラムの特徴を表す周波数成分をそれぞれ 1 箇所ずつ検出し,検出したピーク周辺の周波数帯域におけるスペクトログラムのパワーの立ち上がりに着目した認識対象楽器のスペクトルのモデルを作成する.その後各時刻においてモデルとスペクトルとの距離を計算し,閾値処理を行うことでドラムスの発音時刻検出を行う.RWC 音楽データベース中のポピュラー音楽 5 曲を対象とした評価実験より,F 値の平均がスネアドラムでは 0.95,バスドラムでは 0.93 という結果が得られた.
著者
西野 隆典 井上 直哉 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-12, 2006-12-25 (Released:2017-06-02)
参考文献数
14

バイノーラル信号は,頭部や耳介などによる音波の反射や回折の影響を含んだ信号である。バイノーラル信号による音源方向推定が実現できれば,あらゆる音源方向を識別するロボット聴覚への応用が可能となる。本論文では,バイノーラル信号を用いた音源方向推定手法の提案,及び評価を行う。両耳間音圧差の包絡のケプストラムを単一ガウス分布で近似した音源方向推定モデルを構築し,残響時間が異なる環境において計測された両耳室内インパルス応答を用いて,提案手法が前後左右だけでなく,上下方向の識別について評価を行った。実験結果より,本提案手法は,異なる残響時間,及び上下方向に対応した音源定位手法であることが示された。
著者
福嶋 慶繁 丹羽 健太 圓道 知博 藤井 俊彰 谷本 正幸 西野 隆典 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2039-2041, 2008-08-01
被引用文献数
7 2

本論文は,三次元の音声・映像を統合した新たなメディアを提案する.まず,多数のカメラ,マイクロホンを並べたカメラアレー,マイクロホンアレーで,多視点・多聴点データを撮影した.次にそのデータより自由視点映像,自由聴点音声を生成し,自由視聴点映像の生成に成功した.
著者
西野 隆典 梶田 将司 武田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.91-99, 1999-02-01
被引用文献数
47

ヘッドホン受聴では, 頭部伝達関数(Head Related Transfer Function ; HRTF)を用いることにより, 立体音場を忠実に再生することができる。しかし, HRTFは方向に依存した関数であるため, HRTFを用いた聴覚バーチャルリアリティシステムでは, 測定した音源方向については忠実な立体音場が再生できるが, その他の音源方向については, 再生に必要なHRTFを新たに測定するか, すでに測定されたHRTFから推定して求める必要がある。しかし, HRTFの補間が可能であれば, 少数の測定HRTFから全方位のHRTFが作れるため, データ削減の有効な手段となるだけでなく, 滑らかな移動感を得ることができる。本論文では, (1)線形2点補間, (2)主成分分析を用いた補間の2手法を用いて, 水平面上のHRTFのインパルス応答と周波数振幅応答の補間可能性を, 客観基準と主観基準(移動感並びに方向定位感)により評価した。その結果, (1)水平面上のHRTFは45゜もしくはそれ以下の角度間隔で測定を行い, 未知のHRTFはそれらから補間可能であること, (2)線形2点補間は主成分分析による補間手法と比べて, より良い補間が可能なこと, (3)補間対象のインパルス応答と周波数振幅応答の間では, 補間精度の有意な差はなく, 位相は最小位相であっても良いことが明らかになった。