著者
松永 千晶 宮崎 彩 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.239-243, 2009
被引用文献数
5

本研究は,防犯環境設計手法に基づいた安全・安心な通学路設計のための具体的かつ定量的な知見を得ることを目的とし,交通量や沿道の状態,路上物件などの物的な道路空間構成要因と犯罪発生および不審者出没の関係について統計分析を行う.これは,子どもを対象とした犯罪の多くが下校時の通学路上で発生する機会犯罪であるという前提と,道路交通に関する空間構成要因が犯罪発生に影響を与えていること,またそれらの変化によって犯罪発生も変化するという仮説に基づく.福岡市内3校区を対象とした数量化II類による分析の結果,静的・動的監視性に関する道路空間構成要因が犯罪発生・不審者出没に与える影響度を定量的に表現・比較できた.
著者
劉 建宏 大枝 良直 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.513-524, 2008 (Released:2008-10-20)
参考文献数
21
被引用文献数
7 17

本論文は,パーソナルスペースという概念に基づいて歩行者が他の歩行者と干渉を避け,相互の間隔を保とうとする行動を記述するとともに,路上の障害物や車いす利用者と交錯・回避しつつ行動する歩行者の流動を表現する方法を提案するものである. 本論文で提案した方法は,従来から知られた歩行者流動の特性を良く再現するとともに,より複雑な状況における歩行者流動を推定可能である.
著者
吾郷 太寿 松永 千晶 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.331-336, 2010
被引用文献数
5

本研究は,防犯環境設計に基づいた安全・安心な通学路設計のための定量的な知見を得ることを目的とし,児童の交通量,児童以外の交通量および沿道状況や路上設置物などの物理的な道路空間を構成する要素と不審者出没との関係を分析する.児童を対象とした犯罪の多くが下校時の通学路上で発生する機会犯罪であるという前提と,道路交通に関する物的空間構成要素が不審者出没に影響を与えているという仮説に基づき,児童の存在密度を用いた不審者出没モデルを作成し,そのモデルから得られた結果より判別分析をおこなう地点を定めた.福岡市内5校区を対象とした判別分析の結果,静的・動的監視性に関する空間構成要素が不審者出没に与える影響度を定量的に表現できた.
著者
大枝 良直 角 知憲 中西 啓造 椿 辰治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.555, pp.83-90, 1997
被引用文献数
2

本研究では, 業務を目的とした航空旅客の出発時刻選択行動のモデルを提案する. 長距離業務交通では, 業務の開始時刻を規定されている. 旅客はこの時刻に合わせて旅行のスケジュールを決定することが多い. この行動が長距離交通の時間的変動を支配し, 高速交通機関の選択行動に影響を与えると考えられる. 提案するモデルは, 到着指定時刻に対し, 当日の航空便を選択するモデルとその前日の航空便を選択するモデルの2つからなる. これらのモデルは行動時刻に対して人が日常の生活パターンの中で感じる不都合の度合いを非効用の概念で与えている. モデルを千歳発東京着の航空路線に適用し再現性を確認した. このモデルにより, 交通所要時間の変化や空港の運用時間の変化に対する旅客の行動を予測することができる.
著者
吉永 誠 竹田 欣弘 松永 千晶 属 国権 角 知憲
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.463-469, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本研究では, 単一出発地・目的地における同一交通目的を持った歩行者を対象とした経路選択モデルを提示した. 歩行者は経路を選択する際, 距離の短い経路を選択することを基本とするが, その他にも路上障害物, 安全性に影響する直接干渉交通量, 快適性に影響する間接干渉交通量, 歩道の有無, 信号交差点など要因から決定される非効用が最小となる経路を選択する. ここで本研究は間接干渉交通量の感じ方に個人差のばらつきを与え, 実際に歩行者の通行経路を調査し, モデル中のパラメータを推定した. その結果, 適合性の高いモデルが得られた. さらにこのパラメータをもとに, 各要因の影響度, 経路選択行動の誘導可能性を検討した.
著者
松永 千晶 田嶋 龍 吾郷 太寿 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_659-I_666, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4

本研究は,防犯環境設計に基づいた通学路設計を考察するための基礎段階として,登下校時の児童対象犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.モデルを実際の小学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
角 知憲 外井 哲志 大枝 良直 梶田 佳孝 松永 千晶 小林 敏樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

九州地方の中小都市を対象に、高齢化と人口減少がもたらす都市の閑散化・低密度化と高齢者の日常的な交通の実態を調査した。さらに、将来の年齢構成に基づいて交通需要を予測し、それを支える交通システムと都市の改造の方向性を検討した。その結果、軽便な軌道交通システムと進歩した情報システムを用いた効率的な公共交通網とそれに沿って住宅やショッピングセンターなどを適切に再配置する必要と、そのために都市の土地利用を誘導し規制する方策が求められることが判明した。