著者
合田 理人 外井 哲志 大枝 良直
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.A_82-A_90, 2022-02-01 (Released:2022-02-18)
参考文献数
13

今後老朽化の進む高速道路の点検や補修のための工事によって各所で車線規制による渋滞の頻発が予想される.このときの交通状況を改善する合流方法として交互合流法がある.工事車線規制渋滞時の交互合流を定着させるためには, ドライバーに交互合流に関する適切な情報を提供して心理的負荷を軽減し,交互合流への協力意識を向上させる必要がある.そこで本研究では,交互合流に関する情報を道路標識で提供するドライビングシミュレータを作成し,情報内容の違いによるドライバーの心理や合流区間での運転挙動の変化を分析した.その結果,ドライバーが走行する車線やその隣接車線でのとるべき行動を道路上で教示することで,ドライバーの心理的負荷を軽減し,交互合流への協力意識を向上させ,さらにより安全でスムーズな合流行動を促進し得るという結果を得た.
著者
外井 哲志 大塚 康司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.319-324, 2008

道路案内標識で表示される地名を運転者が情報として十分に利用するためには,案内標識の情報を記載した地図を用いて自らが経路と地名の関係を事前に学習しておく必要がある.また,この地図を利用することで,案内標識が設置された経路を選定するなど,地図と連携した案内標識の積極的活用が可能になる.本研究では,こうした観点からシミュレータを用いた室内実験によって,案内標識情報を記載した地図を用いた事前学習の効果を分析した.その結果,地図を用いた事前学習により,地名情報の利用が増加し,予定経路どおりに走行できる割合が向上するばかりでなく,予定経路以外の経路を走行する距離,心理的負担が軽減することが明らかとなった.
著者
外井 哲志 坂本 紘二 井上 信昭 中村 宏 根本 敏則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.791-798, 1997-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

著者らは、究極の歩行行動である 「散歩」 に着目して、散歩者の行動や評価の実態から、快適な歩行空間が備えるべき道路特性を抽出することを目的として、福岡県田主丸町で散歩行動実態調査を実施した。本研究では、散歩距離、散歩経路として利用される道路特性、散歩行動分類と道路特性の選好状況の関係などを分析し、(1) 散歩距離は平均で約2.8kmであり、個人属性や行動分類によって大きく異なること、(2) 散歩経路として選定される道路の特性は市街地的な特性ではなく、田園的な特性であること、(3) 散歩行動分類と市街化の程度、散歩距離との間には明確な関係があること、(4) 同一経路上で1度しか現れないリンクは田園的な特徴を示し、2度現れるリンクは市街地的な特徴を示すこと、などを明らかにした。
著者
野村 哲郎 外井 哲志 清田 勝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.625, pp.125-133, 1999-07-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

本研究は, 道路網における案内標識の最適配置に関して, ネットワーク上における迷走の最小化をはかることを目的とし, その数理モデルの提案およびアルゴリズムの開発を行ったものである.<br>目的地の案内方法としては地名または路線番号方式および併用型とし, その設置箇所は交差点流入部に限定している. 運転者の迷走度の表現として到達迷走度を導入している. 最適化の考え方としては, すべてのODの到達迷走度の和を最小化する立場を提案している. 最適化の数理モデルでは, 運転者の迷走度に関する指標を目的関数とし, 標識設置リンク数および案内1方向あたりの表示数を制約条件として, 解法には動的計画法を適用し, 計算例により地名, 路線および併用型案内の性質を示している.
著者
松永 千晶 塚本 恭子 大枝 良直 外井 哲志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_699-I_709, 2015

本研究は,防犯環境設計に基づいた安全・安心な通学路設計を考察するため,登下校時の中学生対象の犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.<br>モデルを実際の中学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
八尋 和郎 外井 哲志 梶田 佳孝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.37-42, 2011

近年、都市に人を集める産業としてプロ野球観戦が注目されており、その特性を把握することは有益であると考えられる。本研究では、福岡ソフトバンクホークス(野球チーム)の観戦者に対するアンケート調査によって、観戦者の特徴と観戦者がもたらす経済効果を分析し、以下のことが明らかになった。(1)遠方からの来場者や、1人で来た来場者は消費単価が高い。(2)試合観戦前後に、来場者は福岡ドーム(野球場)以外の場所にも立ち寄っており、都市の賑わいに貢献をしている。(3)プロ野球観戦に直接関係がない産業にも大きな需要が創出されている。(4)交通費は集客に対して大きな影響を与えている。以上より、福岡ソフトバンクホークスは都市に無視できない大きな影響を与えていることが分かった。
著者
牧 大佑 吉武 哲信 出口 近士 外井 哲志
出版者
社団法人日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.409-414, 2008-10-15
参考文献数
4
被引用文献数
2

本研究の目的は、散歩行動の特性や散歩に適した空間整備のなされた地区において、散歩経路の特性と経路の変更要因を把握することにより、散歩に配慮した空間整備のあり方について検討することである。具体的には、宮崎市中心部に位置する天満橋周辺地区での散歩者を対象としたアンケート調査にもとづき、散歩行動の特性を分析した。分析内容は、散歩の目的や時間、距離など散歩行動に関する対象地区の特性、天満橋開通に伴う散歩経路の変化、散歩経路として利用されたリンクやそのリンクと魅力的な場所との関係、散歩経路の変更要因等である。この結果、多くの散歩者が経路変更前後での散歩距離の差が小さくなるよう経路変更すること、特にそのような散歩者の散歩距離は3~4kmが多いこと、散歩に適した空間整備を行なう際、3~4km程度に収まる多様な散歩経路を確保する重要性が高いこと、整備を行う空間とその周辺の魅力的な場所とを結ぶ必要があること等、いくつかの知見を得ることができた。
著者
松永 千晶 塚本 恭子 大枝 良直 外井 哲志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_699-I_709, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
21

本研究は,防犯環境設計に基づいた安全・安心な通学路設計を考察するため,登下校時の中学生対象の犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.モデルを実際の中学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
角 知憲 外井 哲志 大枝 良直 梶田 佳孝 松永 千晶 小林 敏樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

九州地方の中小都市を対象に、高齢化と人口減少がもたらす都市の閑散化・低密度化と高齢者の日常的な交通の実態を調査した。さらに、将来の年齢構成に基づいて交通需要を予測し、それを支える交通システムと都市の改造の方向性を検討した。その結果、軽便な軌道交通システムと進歩した情報システムを用いた効率的な公共交通網とそれに沿って住宅やショッピングセンターなどを適切に再配置する必要と、そのために都市の土地利用を誘導し規制する方策が求められることが判明した。