著者
矢部 直人 有馬 貴之 岡村 祐 角野 貴信
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.3, pp.17-30, 2010-03-30

本研究では、GPSを用いた行動調査について既存の研究動向を整理し、課題を展望した。また、GPSを用いた行動調査の分析手法について、さまざまな可視化の手法に注目してその有効性を検討した。GPSを用いた既存の研究については、CiNiiより「GPS」、「行動」という言葉を含む研究を検索し、対象とする論文を抽出した。GPSを用いた研究は、情報・通信、建築・土木といった分野で多く行われている。2000年にはアメリカがGPS の精度を向上する施策を実施したため、GPSを用いた研究の数・分野とも2000年以降に本格的に増加する傾向にある。研究の主な内容は、1)GPSの利用可能性、2)人間を対象とした行動調査、3)動物を対象とした行動調査、4)分析手法の提案、5)システム開発などの応用、といった5分野に分けることができる。2000年以降の研究の増加に伴って、行動調査にGPSを用いる有効性が実証され、様々な分析手法も提案されてきた。しかしながら、しばしば膨大な量となるGPSのデータを分析する手法については、まだまだ洗練されていない。これは、分析方法が各学問分野の中のみで参照されており、学問領域を超えて参照される機会が少ないことが一つの要因であると考えられる。膨大な量のGPSデータから、観光者の行動パターンなどの有益な知見を引き出すためには、さしあたり探索的な分析手法が有効であろう。そこで、GISソフトを用いてデータを可視化することで、パターンを発見する手法について検討を加えた。2次元、3次元および多次元の可視化手法については、それぞれ対話的な操作を繰り返すことで有益な行動パターンの発見につながる。また、観光者の行動を文字列に変換することで、配列解析などの計量的な分析方法を援用することが可能になる。今後は、観光行動に関する分析手法について、実証研究を進める中で知見を蓄積していく必要があろう。
著者
小崎 隆 縄田 栄治 舟川 晋也 矢内 純太 角野 貴信
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、湿潤地において定常的な有機物動態を攪乱・変容させるストレス要因を、土壌有機物動態モデルへ定量的に組み込む可能性を検討した。その結果、多糖基質分解プロセスにおいては可溶化/無機化二段階プロセスモデルの、また単糖無機化プロセスにおいては段階的基質利用コンセプトの適用が有用であり、反応論としてミカエリス-メンテン式の利用によって定量的に評価することが可能であった。いずれにおいても土壌酸性がストレス要因として重要なものであることが検証された。