著者
詫摩 武俊
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.237-240,254, 1968-12-15 (Released:2013-02-19)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

延べ組数にして543組のMZ, 134組のDZに集団式知能検査を実施した。どの知能検査の結果においても, またほとんどすべてのサブテストの結果においてもMZ間の相関はDZ間の相関より高く, 知能検査の成績を規定している機能に遺伝性が働いていることは疑い得ない。しかし, 遺伝性の強さは, サブテストの種類によって差があり, 一般に精神作用の速度をとくに必要とする問題, 言語記憶に関する問題, 計算に関する問題, 図形の空間的配置に関する問題では, 遺伝性係数が高く, これに対して過去の経験にてらして判断する問題では低かった。この資料は知能を構成する下位機能の特色について知る一つの手がかりであるが, このデーターの一義的な解決はまだ困難である。
著者
詫摩 武俊
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.237-240,254, 1968
被引用文献数
5

延べ組数にして543組のMZ, 134組のDZに集団式知能検査を実施した。<BR>どの知能検査の結果においても, またほとんどすべてのサブテストの結果においてもMZ間の相関はDZ間の相関より高く, 知能検査の成績を規定している機能に遺伝性が働いていることは疑い得ない。しかし, 遺伝性の強さは, サブテストの種類によって差があり, 一般に精神作用の速度をとくに必要とする問題, 言語記憶に関する問題, 計算に関する問題, 図形の空間的配置に関する問題では, 遺伝性係数が高く, これに対して過去の経験にてらして判断する問題では低かった。この資料は知能を構成する下位機能の特色について知る一つの手がかりであるが, このデーターの一義的な解決はまだ困難である。
著者
山形 伸二 菅原 ますみ 酒井 厚 眞榮城 和美 松浦 素子 木島 伸彦 菅原 健介 詫摩 武俊 天羽 幸子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.103-119, 2006-08-30
被引用文献数
6

本研究は,人間行動遺伝学と双生児研究の方法,とりわけ多変量遺伝分析について紹介し,その適用例として4-6歳児の気質と問題行動の関連性を検討した。双生児の母親142名に対し質問紙調査を行い,子どものエフォートフル・コントロール(EC)および外在化問題,内在化問題についての評定を得た。表現型の相関を検討した結果,外在化問題と内在化問題は中程度の正の相関を示し(r=.55),またECは外在化(r=-.42),内在化(r=-.18)のいずれの問題行動とも負の相関を示した。多変量遺伝分析の結果,ECを低めるような遺伝的影響は同時に両方の問題行動のリスクを高めるような働きをすることがわかり,ECの低さが両問題行動の共通の遺伝的素因である可能性が示唆された。また,外在化問題と内在化問題の相関関係には遺伝(22.8%),共有環境(53.4%),非共有環境(23.8%)のいずれもが寄与していた。問題行動間の相関関係への遺伝要因の寄与は相対的に小さかったが,これはECに関わる遺伝要因が両問題行動を正に相関させるように働くのに対し,ECとは関連しない遺伝要因が両問題行動を負に相関させるように働くため,互いに相殺しあった結果である可能性が示唆された。
著者
山形 伸二 菅原 ますみ 酒井 厚 眞榮城 和美 松浦 素子 木島 伸彦 菅原 健介 詫摩 武俊 天羽 幸子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.103-119, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
65
被引用文献数
13 6

本研究は,人間行動遺伝学と双生児研究の方法,とりわけ多変量遺伝分析について紹介し,その適用例として4–6歳児の気質と問題行動の関連性を検討した。双生児の母親142名に対し質問紙調査を行い,子どものエフォートフル・コントロール (EC) および外在化問題,内在化問題についての評定を得た。表現型の相関を検討した結果,外在化問題と内在化問題は中程度の正の相関を示し (r=.55),またECは外在化 (r=−.42),内在化 (r=−.18) のいずれの問題行動とも負の相関を示した。多変量遺伝分析の結果,ECを低めるような遺伝的影響は同時に両方の問題行動のリスクを高めるような働きをすることがわかり,ECの低さが両問題行動の共通の遺伝的素因である可能性が示唆された。また,外在化問題と内在化問題の相関関係には遺伝 (22.8%),共有環境 (53.4%),非共有環境 (23.8%) のいずれもが寄与していた。問題行動間の相関関係への遺伝要因の寄与は相対的に小さかったが,これはECに関わる遺伝要因が両問題行動を正に相関させるように働くのに対し,ECとは関連しない遺伝要因が両問題行動を負に相関させるように働くため,互いに相殺しあった結果である可能性が示唆された。
著者
詫摩 武俊
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.3, pp.25-32, 1978-03

地方出身の青年が就労を目的として一定期間,大都市に居住しその後,再び郷里に帰る現象のことをUターン現象という。わが国の経済情勢の変化にともない,この現象が4,5年前より目立つてきたのは周知のことである。かつては地方の高校を卒業した青年の多くが大都市に集中したが,現在では郷里に止って,郷里の発展につくしたいと望む者が増えてきた。本論は,沖縄県の高校生が東京や大阪のような大都市の生活をどのようにみているかに関する質問紙法による調査の結果である。調査は沖縄県下の5つの高等学校の3年生,男子599名,女子614名,計1,213名について1976年秋に行われた。将来の進路に関して,この中の573名は本土に行って働くことを希望し(これをA群とする),510名は地元にとどまりたいと望んだ(これをB群とする)。のこりの130名はわからないと答えた。A群とB群のあいだにつぎのような差が認められた。1. A群の親の中にはB群の親よりも親自身が若いときに都会の生活を経験しているものが多い。またA群には本人が都市に行くことを親もまた望んでいることが多い。親の意向や経験が本人の意志決定に反映していると考えられる。2. 第1子は地元にとどまりたいと望むことが多い。3. A群は都市の生活を楽しく便利なものと考えているのに対しB群は都市は犯罪や公害が多く,健康に有害で恐ろしいところというイメージをもっている。4. 自分の性格を依存的で子どもっぽいと考えているものはB群に多い。学校の成績の自己評価に関しては両群のあいだに差がなかった。5. 本土で働えことを希望していてもそのまま本土の都市に定住したいというものはごくわずかで3年以内に再び沖縄に帰ることを予定しているものが多い。以上のように現在の沖縄の高校生はUターンすることを前提として都市に出ようとするものが多い。家族との連帯感や郷土に対する愛情がきわめて強いと感じられた。The problem of young people returning to their home towns after several year working in urban districts because of their maladjustment to social conditions is called "phenomenon of the U-turn". In recent years there has been an incase in such. Years before,young people of rural areas used to come to big cities such as Osaka or Tokyo after graduation from high sclool to work and live the rest of their lives. These days,however,it is said that the number of people who would like to stay and contribute to their hometown development has increased. This study attempts to reveal how senir high school students of Okinawa actually regard large cities. Among the twelfth grade students of 5 different senior high schools in Okinawa,1213 students (M=599,F=614) were administered a questionaire,concerning the above problem. In regards to the question as to where they would like to work after graduation,573 students showed the desire to come to the main land of Japan. This group is called group A. Then 510 students,called group B,revealed their desire to stay in Okinawa. The others stated no particular preferences to where they might work. Some significant differences between group A and groud B are as follows: 1. More of the parents of group A than those of group B experienced city life and therefore desired their children to work and live in large cities. 2. In group B,there were more of the first born children than those of group A. 3. The students of group A regard the city life as pleasant,enjoyable and convinient. In group B,the students regard the city life as difficult and unhealthy due to pollution and crime. 4. More student of group B than those of group A,see their personality as dependent and childish. It should be added,besides those differences,that even in group A there are few who are planning to stay in large cities for the rest of their lives,and most of them are planning to return to Okinawa in 3 years. It may be said that almost all of the students in this research had a strong kinship and tie to their home towns and families.