著者
谷口 功一
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.212-220,226, 2004-10-20 (Released:2008-11-17)
参考文献数
20

On the 10th of July 2003, a bill cleared the Japanese Diet and was promulgated six days later ironically under the name and with the seal of the Emperor which is often said to represent the ‘patriarchal symbolic system’ of Japan. In defiance of the long-accepted idea that Parliament “can do everything except make a woman a man, or a man a woman”, this law enabled people with ‘gender identity disorder’ to legally change the sex registration on the family register (koseki). In this article we offer a brief description of this legislative process and a certain normative argument on it. Firstly, we examine the very concept of transgender, transsexual and gender identity disorder from medical and sociological viewpoints. In addition, the history and environment surrounding transgender in Japan is outlined here. Secondly, we take a look at the legislative process itself on its two phases formal and informal. The formal phase is concerned with the public/visible procedures mainly in the Diet, and the informal one with the ruling party's internal/nvisible examination. Standing on these analyses based on social and political reality, we go further to examine the contents of this law. Compared with similar laws in such countries as Sweden, Germany, Italy…, this new Japanese legislation is more severely termed, notably in that only people without children are allowed to change their registered sex. At the same time, the law contains a proviso that it is to be reviewed and opened to revision in 2007 (three years after its enforcement). Though legal philosophers have traditionally paid less attention both theoretically and practically to legislature than to judiciary, this epoch-making legislation and its process in Japan seem to offer us a meaningful insight into the former.
著者
谷口 功
出版者
コミュニティ政策学会
雑誌
コミュニティ政策 (ISSN:1348608X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.173-189, 2004 (Released:2014-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

NPOは、地域社会が直面する高齢者・障害者介護、リサイクル、防災・防犯対策、環境保全、外国人の雇用定住対策など地域生活の様々な領域において、専門性を活かした実践を展開している。そして、こうしたNPOと町内会や自治会に代表される地域住民組織が連携し、コミュニティ形成を目指す様子が各地で見られるようになってきた。事実、コミュニティ政策学会・研究フォーラムの設立以来、主体間の連携の問題は、コミュニティ政策をめぐるテーマの一つとして取り上げられている。コミュニティの形成あるいは再生過程において、NPOが主体としてどのような役割を担いうるのかを継続的に捉える必要がある。本稿では、その前提として、NPOが主体的力量を形成していく社会的背景を問うていく。コミュニティの担い手として制度的狽J面からと、担い手自身の内的動機によって、主体的力量を高められようとしており、そこでは、複数の主体間の連携も課題となる。さらに、NPOや地域住民組織といった集団を構成する個人の主体性の獲得についての議論を深化させることは、各種団体が抱える担い手育成の問題を政策として論じていく手がかりにもなる。
著者
谷口 功一
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.73-78, 2009 (Released:2021-12-29)

This paper is a reply to the Prof. Ihori's 'Economic Effects of Public Policy'. In this paper, firstly we take a glance at the (historical) difficulty of connecting jurisprudence and public finance studies. Secondary, we try to find the core of the Ihori's argument and it can be summarized as 'the concern for the coherence of a policy'. Thirdly, examining that core argument of Prof. Ihori. we focus on the concepts such as politics, leadership and government (that is 'legislators') used in his argument so as to connect the context of this paper to the jurisprudence, especially the legisprudence. In this substantive section, we examine the normative premise of Prof. Ihori's argument and try to show the necessity of considering the problem of 'how to control the legislators'. And lastly, we put some external comments on Ihori's argument, especially about the absence of 'power' and prospect for the speculation into the anthropological foundation of legislators.
著者
谷口 功
出版者
東京化学同人
雑誌
現代化学 (ISSN:0386961X)
巻号頁・発行日
no.421, pp.22-27, 2006-04
著者
谷口 功 FARRELL Nich CHELEBOWSKI ジャン エフ HAWKRIDGE Fr 木田 建二 西山 勝彦 FARRELL Nicholas P WYSOCKI Vick JAN F.Chelbo VICKI H.Wyso FRED M.Hawkr
出版者
熊本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究では、金属タンパク質の構造変化による機能制御の本質を解明、応用するための基礎を確立するため、日米二つの研究グループの得意な領域を有機的に結合して、金属タンパク質の電極上での直接電子移動を自在に制御し、金属タンパク質の電気化学的性質を明らかにすると共に、界面電子移動反応に関する基礎的知見の増大と新しい概念の創出を目指して研究を進めた。本研究の過去3年間の研究成果は以下の通りである。1.金属タンパク質の界面電子移動制御とその生物電気化学的応用について(1)種々の機能電極の開発によって、ミオグロビン、ヘモグロビン、チトクロムc、フェレドキシンなどの電極上での直接電子移動制御が可能となった。(2)ミオグロビンについては、酸化インジューム電極を用いて、不均一電子移動速度定数と電極表面の親水性の関係を定量的に評価し、金属タンパク質の電子移動制御のための界面機能を一般化した概念を提唱した。また、種々の起源のミオグロビンの電子移動と配位子置換による電子移動反応の影響を明らかにした。さらに、マンガン再構成ミオグロビンやモノアザ及びジアザヘミン置換ミオグロビンを作製してヘム鉄の軸配位子の酸化還元電位および不均一電子移動速度定数への影響を明らかにした。(3)チトクロムcのための機能修飾電極について、フレームアニールクエンチ法で作製した金単結晶電極上にチオール系機能化分子を修飾した電極を作製して、その界面機能を電気化学法、分光学、走査プローブ顕微鏡などを用いて詳細に明らかにした。また、機能化分子の微細な構造の相違が金属タンパク質の電子移動促進効果に大きく反映することを明確にした。(4)フェレドキシンのアミノ酸改変体を作製し、そのレドックス電位や酵素反応速度への影響の定量的な解析から、フェレドキシンの機能をアミノ酸残基レベルで酸化還元電位の制御部位と酵素分子との結合部位などに明確に区別されていることを明らかにした。2.金属タンパク質の構造変化のダイナミクス測定について(1)円二色性(CD)分光電気化学法について、電子移動過程の速度論的な情報を得るストップトフローCD測定のための装置の開発・高度化によって、高機能測定装置を組み立てた。(2)本装置を用いて電子移動過程で金属タンパク質構造のin situ時間分解測定を行い、チトクロムc、フェレドキシンいずれも電子移動に伴う構造変化が多段階的に生じることを明らかにした。(3)電気化学法及び新しいCD分光電気化学法などを用いて電子移動過程に伴うチトクロムc、ミオグロビン及びフェレドキシンの電子移動速度及び電子移動に伴う全体的かつ局部的な構造変化のダイナミクスに関する新しい知見を得た。(4)フェレドキシンの電気化学挙動の温度依存性から、ボルタモグラムのディジタルシミュレーション法による解析を用いてその反応機構に微細な構造変化が存在することを明らかにした。3.フェレドキシンの電子移動制御と光合成モデル生体機能化学反応への応用について(1)フェレドキシンの電極反応を、フェレドキシン-NADP^+-リダクターゼ(FNR)系と共役させ、さらにNADPHを補酵素とする酵素と共役させて、立体選択的精密化学合成へと展開した。具体例として、ピルビン酸からLーリンゴ酸が、さらに、オキソグルタル酸からL-グルタミン酸が得られることを示した。(2)電気化学測定から酵素反応の速度論的解析と反応機構の解明のためのディジタルシミュレーション手法を開発した。4.半人工改変金属タンパク質のユニークな機能発現の分子構造的解明(1)ミオグロビンを用いて、その活性中心を人工分子で置換した半人工再構成分子を作製し、その特性を電気化学的に明らかにした。特に、ヘム鉄の配位子であるヘミンの構造やヘム鉄周りの分子内環境が酸化還元電位やミオグロビンの機能の発現に重要であることが示された。(2)フェレドキシンのアミノ酸変異分子の酸化還元電位の大きな変化は、主に、特定のアミノ酸残基への置換によって生じる鉄-イオウクラスターの歪みによって生じる可能性が、コンピューター分子構造モデル計算による立体構造表示から示唆された。
著者
荻野 博 谷口 功 松村 竹子 田中 晃二 佐藤 弦 佐々木 陽一
出版者
東北大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

本研究を推進する上で基本となる単核、二核および多核錯体ならびにクラスターの合成について大きな進歩が見られた。特に二核錯体については系統的な錯体の合理的な合成がいくつかの系で可能となった。これらの成果にもとずき、錯体の電子状態と酸化還元電位との関連および混合原子価状態の理解を深めることができた。ゼロ次反応速度則に従う電子移動反応系、プロトン移動と共役した電子移動やCO_2還元を触媒する錯体の発見など、興味ある種々の電子移動反応系が発見された。金属タンパク質の電極上における酸化還元挙動の研究の歴史は極めて浅いが、本研究においても大きな進展が見られた。金属錯体の光誘起電子移動反応が理論および実験の両面から研究された。走査トンネル顕微鏡(STM)の発明とその後の急速な発展は、これまでほとんど推測の域をでなかった固体界面の研究状況を一変させつつある。電極と溶液界面における電子移動との関連から、本研究においてもSTMを使った表面化学種の構造解析が行われ、大きな発展があった。以上述べた研究は研究者間の相互の連絡のもとに進められた。平成3年11月11日および12日の両日にわたって東工大において、さらにまた平成4年11月11日および12日の両日にわたって分子科学研究所でそれぞれ公開シンポジウムを開催し、総括的な検討を行った。なお1992年のノーベル化学賞は「化学系における電子移動理論への貢献」を行った米国カリフォルニア工学大学のマーカス教授が受賞した。我々の研究提案がいかに緊急性があったか、また時宜を得たものであったかを証明したものと自負している。