著者
山下 奈穂 郭 静 白川 博章 谷川 寛樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.II_23-II_31, 2021 (Released:2022-02-09)
参考文献数
26

資源生産性は循環計画の大目標として掲げられている物質フロー指標であるが,本指標では物質フローを支える物質ストックの間接的な影響を評価できない点が課題であった.先行研究において,物質ストックを考慮した資源生産性の要因分解は行われているものの,物質ストックの価値はその用途や種類によって多様であることから,全ての物質ストックに一概に適用することは困難である.本研究では,提案型論文として日本の住宅を対象に要因分解式を試用し,住宅ストックの変化が資源生産性に及ぼす影響を明らかにした.分析の結果,2008年から2017年にかけてストックあたりのサービス発生効率の低下や空き家の増加による資源生産性への負の影響が明らかになった一方,住宅の長寿命化が資源生産性の向上に最も貢献していることが確認された.
著者
杉本 賢二 奥岡 桂次郎 秋山 祐樹 谷川 寛樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.II_293-II_300, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
22

自然災害による被災地域の復旧・復興に向け,被災前の社会状況に回復するために必要となる資材投入量の把握や,効率的な災害廃棄物の処理計画が求められる.本研究では,空間・属性詳細なマイクロ建物データと,災害被害分布情報との重ね合わせにより「失った建築物ストック」を推計する手法の構築を目的とする.マイクロ建物データの建物情報より建築物ストック量の空間分布を推計し,それに平成28年熊本地震の計測震度分布による建物倒壊判定を行い推計した.その結果,熊本県における建築物ストックの約6割が震度6弱以上の強振動域に分布しており,全壊棟数の推計結果は被害調査報告に近しい値となることが示された.また,地震動による建物被害により260.7万トンの失った建築物ストックが発生し,その半分がコンクリートであることが明らかになった.
著者
松野 泰也 谷川 寛樹 藤本 郷史 村上 進亮 中島 謙一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、世界全体での鋼材のダイナミックMFAを実施した。具体的には、鋼材の最終用途(自動車、土木、建築、機械など)に関して2050年までのストック量を推計するとともに、需要量、使用済み製品からのスクラップ発生量を推計した。統計データ等ダイナミックMFAを実施するためのデータが得られない地域に関しては、夜間光衛星画像やGISを用いて、ストック量を推計した。さらには、国際貿易に伴う取引量(グローバルマテリアルフロー)を推計するとともに、途上国でのスクラップの回収状況を調査、推計することで、将来需要を鑑みたスクラップの利用に関して提言を得た。