著者
豊原 容子
出版者
華頂短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

マイタケ中に存在する血栓溶解酵素が経口摂取により、生体へ取り込まれ有効な効果をもたらすのかどうかについて検討を行うことを目的として実験を進めてきた。精製法について検討した結果、強陽イオン交換担体であるSource担体Sを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーをpH6.0で行なうことにより、より効率よく精製できることが判明した。この方法によりマウス投与に用いる本酵素の精製を進めるとともに、ポリクロナール抗体作製用のサンプルを調製した.ラビットにてポリクロナール抗体を作製し、本抗体について、ウエスタンブロット、免疫染色に用いることができることを確認した。また、イオン交換カラムクロマトグラフィー後の精製物を用い、本酵素のアミノ酸シークエンスを行ったところ,電気泳動にて2本のバンドがみられていたが、いずれも同じシークエンスであることが確認され、糖鎖などの変化によるものであると考えられた。また本酵素はJ.Biol.Chem.,272(48),30032-30039(1997)に報告されているメタロエンドペプチターゼと同一の酵素であることが明らかとなった。生体への効果をみるために、飲料水に本酵素を加え摂取させるという方法を以前から試してきたが、摂取量を正確に把握できないことから、ゾンデによる経口投与法に変え摂取させる実験を行った。6週令マウス♂C57BL/6CrSlc(n=7)に毎日200μg投与した。このマウスについて5日目に頚椎脱臼によりサクリファイ後、心臓採血し血漿についてザイモグラフィーを行ったところ体内でのマイタケの本酵素の明らかな痕跡は認められなかった。さらに投与する量や投与期間などを検討し実験を継続する予定である。
著者
道川 慧太 渡邉 哲弘 豊原 容子 佐藤 敦政 豊原 治彦
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.589-593, 2014 (Released:2014-09-25)

琵琶湖周辺で食用とされているイシガイ科の二枚貝であるタテボシガイの貝殻の有効利用を目的として,金属吸着凝集材の開発を試みた。貝殻粉末の鉛,六価クロム,ヒ素に対する吸着能を調べたところ,鉛に対して特に高い吸着能を示した。鉛に対する吸着能は,ホタテガイ,マガキ及びアコヤガイの貝殻粉末でも認められた。タテボシガイ貝殻を焼成することによって表面の多孔質化とカルサイト化が認められ,鉛に対する吸着能の向上が確認された。貝殻粉末に少量のポリマーを添加することで,吸着能に加え凝集能を付与することに成功した。
著者
坂本 裕子 桐村 ます美 豊原 容子 福田 小百合 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】平成24・25年度特別研究として京都府下の昭和30〜40年代の家庭の食について行った聞き取り調査から,副菜の地域別特徴を探った。</p><p>【方法】京都府下の北部(丹後,舞鶴,丹波),京都市内,南部(京田辺,宇治田原)の地域において,64歳から84歳の計22名を対象として平成25年12月〜平成26年2月に聞き取り調査を行った。これより地域別に副菜の特徴を比較検討した。</p><p>【結果および考察】各地域とも季節ごとに地元で採れる野菜や山菜,芋,豆を中心に,日々の副菜を作っていた。北部や南部では野菜や豆は自給自足,市内では店での購入が多かった。調理法としてはお揚げと炊く煮物,和え物,汁物が多く,大根をはじめ野菜はさらに多様な漬物や干し物にして保存性を高め料理に利用していた。古漬け沢庵はひと手間をかけ,「ぜいたく煮」として府下それぞれで食べられていた。野菜や芋の煮物は全域で「○○の炊いたん」と呼んでいたが,わかめ等の海産物利用は北部の海寄りで多くみられた(料理例「わかめのパ−」)。</p><p>地域別に料理をみると,汁物は北部で「けんちゃん」,京都市内,南部で「粕汁や若竹汁」が,和え物は北部で「白なます」,市内で「ずいきのごま酢和え」,南部で「古老柿なます」が,常備菜は北部で「ふき味噌や黒豆味噌」,市内で「きごしょうの炊いたんや山椒とちりめんじゃこの炊いたん」が作られていた。漬物は「糠漬」が多いが,市内の北では「すぐき漬やしば漬」も作られていた。保存性を増すとともに,多く収穫した時は南部では「きゅうりとお揚げの炊いたん」を作るなど食材の有効利用が図られていた。福知山では豆,京田辺では田辺ナスを利用した料理が多く見られ,京野菜や地域の特産野菜の利用が進められた。</p>
著者
豊原 容子 桐村 ます美 河野 篤子 坂本 裕子 福田 小百合 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】日本調理科学会平成24~25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の一環として、京都府下の昭和30年~40年代の家庭の食についての聞き取り調査を行った。この調査結果から、京都府全体に共通する家庭料理の特徴について明らかにすることを目的とした。 【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき、北部海岸沿いの丹後地区と舞鶴地区、中部の丹波地区、京都市内、南部平野部の京田辺地区、南部山間部の宇治田原地区の6地区の64歳から84歳の計22名を対象として、平成25年12月~平成26年2月に聞き取り調査を行った。この調査内容から、京都の家庭料理の特徴について検討した。 【結果】京都の家庭料理において、「倹約(しまつ)」を旨として材料を活かし使い切る工夫がさまざまになされていた。日常は、自家製の味噌を使った味噌汁、野菜や豆の炊いたん、切り漬けやどぼ漬けなどの漬物といった、季節の野菜、採集した野生の動植物、また自家製の乾物や加工品などを主材料とした料理を組み合わせて食べていた。これらの料理には、高価な昆布や鰹節のだしは使わず、煮干しが使われた。さらに野菜の炊いたんには、じゃこや油揚げなどを取り合わせおいしく食べる工夫がなされていた。油揚げは肉の代用として使われることも多かった。一方、魚や肉などを主材料とする料理は、野菜や乾物を主材料とするものに比べ非常に少ない。この中で、全域であげられた鯖寿司や自家で絞めた鶏のすき焼きは、行事やもてなしの折に作られる特別なごちそうであった。バラ寿司も行事に欠かせない特別な料理であるが、具については地域や家庭によって違い、常備した素材を用いる質素なものもあった。