著者
赤澤 堅造 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Abstract, pp.S240, 2018 (Released:2018-09-14)

認知症予防には,正常集団から軽度認知障害(mild cognitive impairment MCI) への移行予防, MCIから認知症への移行の予防,認知症の増悪予防,である.米国のnun研究に見られるように,認知症予防の非薬物的な効果は認められている.認知症に対する音楽療法は,3編のコクランレビューがある.「被験者数が少なく,研究の方法論的な品質が低いため,メタ解析を実施できなく,有益な結論を導出できなかった」,との結論である. しかし成果を示す研究報告は多くあり,現状を把握する必要があると考えた.まずメタ解析の研究報告を参考にし,そして最近の文献のレビューを実施した後,効果量を用いてエビデンスを比較し,音楽療法によって得られる認知症予防の効果の現状および課題をまとめた.なお, 結果は次の通りである.認知症に関しては,音楽療法は不安の改善に効果量が中程度である,という結果が得られている.MCIに関しては,楽器演奏により認知機能改善が見られ,正常集団については,楽器演奏が認知症の危険度を低下させる,ことが示されている.
著者
赤澤堅造 真殿 隼 星野 佑一 加藤大貴 神谷善三 奥野 竜平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.50, pp.61-64, 2008-05-21

現在,中高年者で楽器の演奏を楽しみたいという希望を持つ人が増えている.本研究室では,開発コンセプトを,"難しい楽曲でも簡単に演奏できる","演奏を楽しめる","上達が出来る"の 3 つとした,バリアフリーの楽譜内蔵型電子楽器 Cymis (Cyber musical instrument with score) の基本システムを開発してきた.本発表では練習には時間を要するが,ボーイングを模擬した動作によりピチカートやアルコなどのバイオリン音による楽曲演奏が可能な弦型 Cymis について発表する.また 6 名の被験者による演奏実験と評価実験を行い,上記のコンセプトに合致した結果を得た.We have developed a barrier-free type of new musical instrument "Cyber musical instrument with score (Cymis)", that the middle and elderly people could play music easily, and joyfully. However, it was difficult for players to control volume of sound with finger pressure. The purpose of this study was to develop a string-type Cymis (Cymis窶都tring) enabling performance of arco and pizzicato with bowing-like motion. Six healthy volunteer subjects played various sorts of musical compositions for an experiment. It was showed that they could play music with Cymis窶都tring and enjoy it.
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平 金 寛 彼末 一之
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

近年,筋萎縮性側索硬化症,運動ニューロン病など,進行性で,かつ死に至る神経・筋系疾患が多く見られ,その診断,治療のため運動ニューン個数・サイズ分布の計測手法の開発が非常に強く望まれている.本研究では,等尺性随意収縮時の筋電信号を用いて,運動ニューロンの個数およびサイズ分布を推定する新しい理論を提唱し,筋電信号発生のモデルの構築とモデル解析により,推定法の妥当性と推定誤差を明らかにし,臨床診断への適用可能性を示すことを目的とした.本研究では,運動ニューロンの個数およびサイズを推定を以下の通り遂行した.(1)筋電信号発生モデルの構築サイズの異なる多数の運動ニユーロンからなる筋電信号発生のモデルを構築する。運動ニューロンのパルス発射パタンを与えて、筋電信号(時系列信号)をモデルにより作成した。(2)運動単位発火周波数の計測独立成分分析を用いた運動単位活動波形のデコンポジションプログラムの開発を行った.等尺性収縮時の多チャンネル筋電位信号を対象とし,運動単位の同定と運動単位発火周波数を算出した.その結果,収縮レベルの増加に伴い,運動単位発火周波数が増加することを示した.
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平 一ノ瀬 智子 竹原 直美 松本 佳久子 益子 務
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.54Annual, no.Proc, pp.3OS2-3-5-1-3OS2-3-5-2, 2016 (Released:2016-11-19)
参考文献数
2

There is an important cohort study indicating that frequent performance of music instrument has the significant effect of reducing the risk of dementia in the elderly. We have been developing a novel electronic musical instrument Cymis (Cyber Musical Instrument with Score), showing that persons with neural or motor impairments such as cerebral palsy can play the piece easily. The aim of the present study is to develop a network system enabling the ensemble of the Cymis. Firstly we found that the elderly can play the Cymis easily under support of a music therapist. Secondly, four university students including two female majoring music and two beginners of music were able to perform ensemble with the Cymis, where two beginners watched guide of performance on the monitor. By measuring time differences in performances of four people, it was indicated that beginners also could perform ensemble with slight time differences against others.
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Proc, pp.30-31, 2018 (Released:2018-09-14)
参考文献数
25

Effects of music therapy and playing musical instrument on prevention of dementia were reviewed , with utilizing effective size written in the published literature; the results of dementia were obtained from random controlled trials and clinically controlled trials. Effects on people of MCI and normal elderly peoples were also examined.
著者
赤澤 堅造 一ノ瀬 智子 前田 義信 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual60, no.Proc, pp.275-277, 2022 (Released:2023-05-12)

筆者らは認知症に対する楽器演奏,音楽療法に関心があり,エビデンスに関して文献レビューを実施して,楽器演奏が健常者の認知症リスクを減少させる効果があることを報告した.当学会大会でも報告した(第1報(2018),第2報(2019)).筆者らは,演奏初心者でも本格的な演奏が楽しめるアクセシブルな電子楽器サイミスを開発しており,短期であるが,地域の健康な高齢者を対象としたサイミス応用の準備的な研究を実施した.ここで判明したことは,認知症予防のためのプロトコルを策定する必要があることである.最近,健常者,MCI者に対する音楽介入のランダム化比較試験の報告がいくつかあるので,プロトコル策定の手がかりをえるために,「認知機能」に焦点を当て文献レビューを実施した.本発表では,その文献レビュー結果を報告する.
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平 一ノ瀬 智子 竹原 直美 松本 佳久子 中山 実音 益子 務
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.Supplement, pp.S341-S346, 2015 (Released:2016-06-18)

We have been developing a novel electronic musical instrument Cymis (Cyber Musical Instrument with Score), showing that persons with neural or motor impairments such as cerebral palsy can play the piece easily. The aim of the present study is to propose a basic idea of prospective music performance on the Cymis which may attenuate cognitive impairment and reduce the risk of dementia in the elderly. In the beginning, we have tried to show that Cymis performance could be an effective cognitive stimulus. Five subjects, university female students majoring music, were instructed to perform a song, keeping the constant tempo, with pointing each head of note displayed on the touch monitor. Two popular songs that they knew well were selected, under the conditions of with and without sound production, and regular tempo of 84[BPM ] and extraordinarily fast tempo of 150[BPM]. By examining both answers to fourteen questions regarding cognitive functions and results of performance, it was indicated that Cymis performace could be an effective stimulus to cognitive function.
著者
河合 俊和 菊谷 功 赤澤 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.103-108, 1998-01-31
被引用文献数
1

本研究では, 動力義手に要求される事のうち, 高速・静音駆動で, かつ非通電時にわずかな外力で指を動かすことが可能な電動義手の開発を目指している. 今回はその第一段階として, リニアアクチュエータを用いた動力義手の開発を目的とした. まず, 義手用のリニアアクチュエータを設計・試作し, その特性を測定した. つぎに, 義手に組み込み, 本義手が高速・静音駆動を実現でき, かつ非通電時にわずかな外力で指を動かすことが可能であることを示した.
著者
川崎 賢一郎 奥野 竜平 吉田 正樹 赤澤 堅造 川崎 敦子 宮本 芳明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.109-115, 1998-01-31

筋電義手を日常生活において使用するためには, 義手の開閉動作の妨げにならないグローブの開発が必要になる. 本研究では, 脱タンパク天然ゴムを用いた, 柔軟性の高い筋電義手用グローブを試作した. 試作したグローブを本研究室で開発したバイオミメティック筋電義手に装着し, 義手開閉動作に対する負荷が市販品と比較して小さいことを示した. また, 健常者による物体把持実験を行い, グローブ装着時においても, 本研究室の義手の特性を損なわず, 物体を柔らかく把持できることを示した.
著者
奥野 竜平 吉田 正樹 内山 孝憲 赤澤 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.581, pp.99-106, 1997-03-17
被引用文献数
2

本研究の目的は,可聴周波数以下の振動周波数を用いた義手感覚フィードバック装置を開発し,義手の操作性に対する効果を検討することである.本研究で試作した感覚フィードバック装置は,義手が物体を把握した時に指に生じる反力(把握力)を,可聴周波数以下の皮膚振動刺激を用いて使用者に伝達するものである.情報の伝達方式としては,刺激パターン(連続刺激と断続刺激)の切り替えによって行う.健常者を用いた心理物理実験を行い,本感覚フィードバック装置に用いる皮膚振動刺激の振動周波数と断続刺激の刺激提示時間,刺激休止時間を決定した.健常者を用いた物体把握実験を行い,試作した感覚フィードバック装置の義手の操作性に対する効果を示した.
著者
加藤大貴 神谷善三 星野 佑一 真殿 隼 奥野 竜平 赤澤堅造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.127, pp.25-27, 2007-12-15

現在,中高年者で楽器の演奏を楽しみたいという希望を持つ人が増えている.本研究室では,開発コンセプトを,"難しい楽曲でも簡単に演奏できる","演奏を楽しめる","上達が出来る"の3つとした,楽譜内蔵型電子楽器 Cymis(Cyber musical instrument with score) の基本システムを開発してきた.本稿では,従来の Cymis の機能に加え,呼気の強さにより音量を制御することでより豊かな演奏表現を可能としたウェルネス電子楽器 Cymis-tube の設計及び試作を行った.また,4名の被験者による演奏実験を行い,試作した Cymis-tube を用いて楽曲が演奏可能であることを示した.We have been developing a new musical instrument "Cyber musical instrument with score (Cymis)", that the middle and elderly people could play music easily, skillfully and joyfully. However, it was difficult for players to control volume of sound with finger pressure. The purpose of this study was to develop electronic wind instrument "Cymis-tube" with that the players can control volume of sound by changing his breath strength. Four subjects played various sorts of musical compositions for an experiment. As a result, it was shown that the players can play music with Cymis-tube.